157 Side.アリス 6
……そろそろ時間かしらね…。
「じゃ、皇帝を迎えに行ってくるわ…」
「気を付けてね、お姉さま!」
「こちらも準備しておきます」
『頼んだよ…』
テレス、リース、クレスからの返事を聞きながら、近くの影に身を投じる…。
影に沈み、暗闇の中をゆっくりと下りていく…。
下りきる前に闇を蹴り、ディサイエン帝国の方向へと跳躍する…。
久々の会合とはいっても…、今回は転移者も存在する…。
それとなく…、気を付けておきましょうか…。
※ ※ ※
十数秒の跳躍の後…、目的地の影に到達した…。
這い出る範囲に誰もいないことを確認してから…、影から外へと這い上がる…。
這い出た先には、皇帝と側近の一部…、そして転移者の3人がいた…。
向こうが気づいたら…、
「準備は出来てるかしら?」
声をかけて確認する…。
「出来ています…、アリス殿…」
返事をしながら玉座から立ち上がり、こちらに歩いてくる皇帝…。
そして…、
「貴方達が同行予定の転移者さん達ね…」
三人の男の子の方に視線を移す…。
「自分はキョウヤです…。 そしてこちらがカズマ…、こちらがショウタです…」
ローブを纏った子が喋り、薄着な子と大柄な子を順に紹介してくる…。
これで全員ね…。
「よろしく…。
…それじゃあ影廊を開けるわ…、先導するから逸れないようにね…」
近くの影を引き伸ばし、人が通れる程度の大きさに固定する…。
そうすると…、大きな闇の楕円形の穴が出来上がる…。
そこに招くように…、影の穴の中に先んじて入っていった…。