155 レイアの口調
「そういえばレイアちゃんって~、前ののじゃ口調辞めちゃったの~?」
「ぶっ!?」
お、お茶吹いちゃった…。
あ、鼻に…。
「えほっ…えほっ…」
「だいじょ~ぶ~?」
「…だ、大丈夫です…」
話題の脈絡が無かったから驚いた…。
それはそうと…。
「辞めたというよりは、治ったというべきでしょうか…」
「ん~?」
「以前は一人だけで暮らしてましたからね…。 たまに訊ねてくるのも国からの遣いばかり…、私自身への客なんて永いこと無かったものですから…。 あそこでは賢者などと呼ばれていましたから…、見た目が幼い以上せめて口調だけでも威厳を出そうと…」
「へぇ~」
興味があるのか無いのか判りづらい返事が返ってくる…。
「そうして続けていたらその口調が染みついてしまいまして…、ここで色んな人と話す機会も無ければずっとあのままだったでしょう…」
「造物主様を意識して変えたかと思ってた~」
「!?!」
そ、それは……、……無い、とは……言えない…かな…。
少なからずあの方に好感を持っているのは確かだし…、自意識過剰だとも思うけどやっぱり気になるし…、でもやっぱり年寄り臭いと思われるのも…。
「一番の年寄りが造物主様なんだから気にしなくていいと思うけどね~…」
「……」
心の内を読んでいるかのような言葉に…、私は無言で返すしかなかった……。