154 ヘスティアの日課
「…………」
朝早くに起床し…、身嗜みを整え…、部屋に備え付けた祭壇で日課の礼拝を行う…。
「…………」
オリジンに来てからも…、前の世界と変わらぬ日課を続ける…。
前の世界とは信仰対象が違うけれど…、籠める祈りは前よりも増した…。
信仰する対象が身近に、確かに存在することへの安堵…。
私の奉げる祈りが…、確かに主様の力になっている喜び…。
私に出来るのは…、日々の祈りと眷属の皆々様との協同…。
私に出来ることは少ないけれど…、それでも私にも出来ることが確かに在る…。
祈りを奉げて幾許か時が過ぎたころ…、砂時計の砂が落ち切ったことを知らせる鐘の音が鳴る。
祈りを奉げ始めてから1時間経過したようだ…。
本当ならばもっと祈りを奉げたいのだが…、主様からあまり長い時間続けるのは咎められている…。
「よいしょっと…」
ゆっくりと立ち上がり…、鏡台で再度身嗜みを確認し…、部屋の扉へと向かう…。
今日も一日が始まる…!
「今日は書庫室でしたっけ…?」
まだまだ世界樹は広くて、半分ぐらいしか見て回れていない。
ここでは見たこと無いものばかりで毎日が楽しみ…!
「その前に主様に拝謁しなくては…!」
急ぎ至聖所へ……!