150 Side.レイア 4
………今この玉座の間は…、冷気で満たされている…。
「シシ、シメール殿…」
「レイアちゃんは会うの初めてだったよね~?
私達と同じ666の眷属達のチルブリアだよ~」
平常通りの声色で返答してくるシメール殿…。
「そそ、そっちも聞きたいことではありますががその前にシメール殿…」
「なぁにぃ~?」
「へ、部屋の中のはずなのに…、すすす凄く寒いんでですががが…」
身体は平熱のはずなのに…、何故か全身が凍えるような感じがする…。
部屋中に冷気が満ちているような感じだ…。
以前見せてもらった冷凍庫に近い気がする…。
「チルブリアは冬の霊だからねぇ~」
「ふ、冬の……霊…?」
精霊とか妖精ではなく…?
「そ~そ~、雪とか冷気とかそういう極低温の塊みたいな子なんだ~」
「どど…、道理で寒いわけですね…」
要するに私に耐性が無いだけなのだろう…きっと…。
「いや~、普通の冬の精霊とか妖精ならここまでじゃないよ~」
「と、言うと…」
「冬の霊って言ったでしょ~?
魂にまで浸透してくる極低温だから~、普通の方法じゃあどうあっても防げないよ~」
つまりこの寒気は、魂が凍えているということなのか……。
「まだレイアちゃんには難しいから~、今回は私がしてあげるね~」
そう言ってこちらに手を翳すシメール殿…。
すると寒気がみるみる治まり、通常の体感温度に戻ったように感じる…。
「これは…」
「魂魄干渉遮断って言って~、一定の実力を超えると会得出来る魔法だよ~」
魔法…、確かに魂に干渉する手段等、魔法や能力以外で行える者などいない…。
とりあえず凍死せずに済んだことを喜ぼう…。
※用語解説:魔法
特定の個人が有する能力及び魔法以外の手段では絶対になし得ない現象を引き起こす方法。
主に魂に干渉するものを"魔法"と呼ぶ。
魂に干渉しないものは例外を除き"魔術"と呼ばれる。