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149 Side.アグニル 7
「そちらは終わったか? フィロン…」
服に着いた汚れを掃いつつ、こちらに向かってくるフィロンに言葉を投げかける。
出発前と変わらぬ様子で戻ってきた以上、無意味な問い掛けではあるだろうが…。
「問題無い…、他の有象無象も撤退したみたいだ…」
目を細めて遠くを見遣るフィロン。
同じ方を見遣れば、多数の魂の炎が遠ざかっていくのが解る…。
これで任務完了か…。
「愚者二名は始末した…、我が主の許へ戻るとしようか…」
「あぁ…」
そうして踵を返したところで、背筋に悪寒が奔る…。
「!!?!?」
「…? どうしたアグニル?」
「このレイ気は…、まさか…!」
「…あぁ…、あの子が帰ってきたのか…」
何ということだ…!
「一足先に戻っている!」
「あんまり被害は出さな───」
フィロンの言葉を聞き終わる前に、世界樹の方角へ跳躍する…。
急いで戻らねば…!!