148 Side.ディオン 3
あぁ…、極楽……。
「痛くはありませんでしょうか、ディオン様?」
「そのままお願い~…」
「了解しました」
今、普段側に控えている機械人形に、マッサージをしてもらっている…。
幾ら父様の力で身体性能が向上していると言っても…、根を詰めすぎると流石に不調になるみたいだ…。
まさかぶっ倒れるとは…。
現状は危急の案件も無いし…、休憩を挟みつつ作業をするかな…。
趣味も兼ねているから、気を抜くと没頭しがちなのも困りものだね…。
「ディオン様、お客様がいらっしゃるようです」
「誰だ~い…?」
「アナスタシア様です」
「…あぁ…、あの子か…」
あの子と会うのは…、顔合わせ以来になるのかな…。
それにしても無限図書室に用とは…、珍しいこともあるものだ…。
……何か知りたいことでもあるのかな…?
とか何とか考えてる間に、扉からノック音。
「どうぞ~…」
扉の向こうへ呼び掛けると…、遠慮がちにゆっくりと扉を開け、銀髪の少女が入ってきた。
「失礼します…、ディオン様…」
「様付けしなくていいって~…」
「では…、ディオンさん…」
「はいはい~…、何か用かな~…? あ~…、こんな格好でゴメンね~…?」
「……いえ…」
こちらを見たり見なかったり…、流石に寝転がったままじゃ格好付かないか…。
「一旦中断~…」
「かしこまりました」
上からどいてもらい、起き上がって上着を着る。
さて…。
「それで…、何か用があったんじゃ…?」
「……はい…」
なんとなくぎこちなさを感じるけれど…。
ゆっくりと彼女の言葉を待つ。
そして彼女が口を開く…。
「クレスのことについて…教えてほしいの…。」