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144 Side.テレス 6




 ディサイエン帝国との会談が迫る中…、少々面倒な問題が発生していた…。

 情報を持ってきた雷光兄弟(レイ君とライ君)曰く…、


「北東大陸の魔族達と北部大陸の人間達が蜂起しました!

 それぞれ魔族達の扇動者が魔王、人間達の扇動者が勇者を名乗っており…、世界を私欲で支配する世界樹の守護者達を打ち滅ぼす…と言っております!」


「ぶんめいがかわるごとにおこるいつものイベントだけど~…、どうします~?」


 ライ君の言う通り、今回のことはこの世界(オリジン)での文明が代替わりする度に起こる風物詩(イベント)だ…。

 それ自体は何時ものことだけれど…、今回は少し勝手が違っていた…。


『今回は重なったか…』


「…何時もは順番が前後してたけど…」


 お兄様もグーロも…、辟易とした空気が伝わってくる…。


「どうしましょうか我が(しゅ)よ…」


「滅ぼすだけならば容易いが…」


 アグニルもフィロンはいつも通り…。


「その場合は北東大陸と北部大陸が空白地帯になってしまうけれどね…」


「それは面倒よお姉さま…、ただでさえ既に南東大陸は定命の存在は生きられない大陸になっているのに…」


 姉さまの言葉に難色を示す…。

 東部大陸から南部大陸にかけて…、生物が生きるのには不適切な環境が定着してしまっている…。

 それに加え北部大陸と北東大陸もそのようなことになってしまったら…。


「そうなると~…、東半分が完全に未開の地になっちゃうね~…」


 私の考えを理解しているかのように、シメールが言葉を零す…。


「とりあえずは、件の魔王と勇者のみを滅ぼすというのはどうでしょうか!」


「ひとまずそれでようすみかな~…」


 前回(南東大陸)の件を反省しているのか…、頭のみを潰すことを提案するレイ君…。

 ライ君はそもそもやる気が無いから、レイ君の提案に興味無さげに言葉を続ける…。


『とりあえずはそれで行こうか…』


「となると…、私とフィロンが行くのが最適でしょう、我が主よ…」


『それで頼む…、アグニル…フィロン…』


「承りました、我が主よ…」


「行ってまいります、父上」


 そう言うと…、即座に部屋を退室するアグニルとフィロン…。


「あの二人なら仕損じることも無いわね…」


「そりゃあ対個人では最強戦力ですもの、姉さま…」


 一対一ならばあの二人で右に出るものはいない…。

 集団戦規模や戦争規模ではまた別だが…、特定の個人を殺すのならばアグニルとフィロンほど適している者もいない…。


「しかし毎度の事ながら…、学習する余地が無いにしてももっと情報を集めるものだと思いますが…」


 今まで沈黙していたリースが、呆れ果てたように溜息を吐く…。


「…それも仕方ない…。 …彼らはこの世界(オリジン)の…正規の魔王と勇者じゃない…。 …記憶や経験も継承していないのだから…、思い上がった愚者(おろかもの)が出るのも仕方のないこと…」


 珍しく苛立ちを露にしながら言葉を零すグーロ…。

 流石に何度も同じ騒動を起こされれば、イライラしても仕方がない…。

 特にグーロはお兄様のことが大好きだしねぇ…。


「その辺はどうなのかしら…、正規の魔王で勇者さん?」


 姉さまが揶揄うように言葉を投げかける…。


『最初こそ面倒ごとが未来永劫無くなると安堵もしたが…、それとは別の意味で面倒ごとが未来永劫無くなることが無いと思うと…溜息しか出ないな…』


 部外者が存在しないからか…、珍しく大きくため息を吐くお兄様…。

 感情が殆ど無いとは言っても、流石にこうも同じことが繰り返されればクレスお兄様も疲れるみたいね…。


『他には特に無いな…、レイ…』


「クレス様の手を煩わせるようなことは!」


「かかわるひつようがあるのはもうないかな~…」


『なら引き続き巡回を頼む…』


「了解しました!」


「りょ~か~い…」


 言うが速いか…、雷と光になってその場を立ち去る二人…。

 相変わらず便利な能力だなぁ…。


「それじゃあ私達も戻りましょうか」


「はーいお姉さま!」


 お姉さまと共に部屋の出口へ向かう。


「用があれば呼んでねクレス。」


「また後でねお兄様♪」


 そう言い…、私達は部屋から退室した…。




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