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13 Side.帝国の皇帝



 届けられた密書を開き、中の文書に素早く目を通す。

 どうやら我が帝国の教会で、神託が下ったようだ。

 聖女を生贄に捧げて行った神託となれば、この文書に書かれていることは全て事実なのだろう。


 魔王に関する事柄の隠蔽は、内容によっては国家反逆罪すらも凌駕し得る大罪だ。

 大陸全土に信徒が多数存在する教会といえど、その例外ではない。


(まぁ寧ろ彼奴らの方が、その大罪人を許さないだろうが……)


 内容を記憶し、読み終わったその文書を火に焼べる。


「ふむ…、やはり私の代で人魔大戦が起こるか……」


 密書に書かれていた魔王軍の侵攻と、勇者召喚成功の部分を反芻する。

 以前の人魔大戦は100年程前…。

 やはり100年周期に行われると見て、まず間違いない。


 人魔大戦ともなれば、普段は煩わしい教会も、今回ばかりは全面協力してくれるだろう。

 こちらも2年後に備え、軍の質を出来る限り向上させなければ…。

 その前にこっちを済ませねばな…。


「この密書を、各国の教会に届けよ……」


「承知しました。 直ちに手の者に届けさせます」


 言葉を宙に投げかけると、密偵の長が音もなく現れる。

 同封されていた各教会向けの密書を、密偵の長に託す。

 恭しく受け取った密偵の長は、即座に姿を消した。


 さて、とりあえず頼まれたことは済んだ…。

 こちらの頼みも聞いてもらわねばな…。

 そう思いつつ、手紙を速やかに認める。


「この手紙を大司教に届けよ」


「はっ! ただちに」


 近衛の一人に手紙を持たせ、教会へと向かわせる。

 さて次は…。


「各地の諸侯へ通達を! 2年後の北部決戦に備えよ、と……」


「はっ! 畏まりました!」


 そういって、また別の近衛の一人が玉座の間より退室する。


「さて此度の戦、魔王が勝つか…、人類が勝つか…、できれば後者であってほしいものだな……」


「前回の魔王との戦争は勝利こそしたものの、北部に魔王軍を追いやるだけであったようですからな……」


 私の言葉に、宰相が答えるように言葉を続ける。

 前回の大戦の記録には、魔王を北に追いやったこと以外、詳しいことは記されていなかった。

 それ以前の人魔大戦の記録も喪失してしまっており、大陸のどこにも記録が残っていないらしい。


 だが、今回は以前の時と違い、万全の準備を整えるだけの余裕がある。

 大陸各地の教会に伝われば、おのずと諸外国も準備を始めるだろう。


(今度こそ、我ら人類が勝利する時…!)



「行くぞ。 2年後に向けて、我ら帝国も万端準備を整える必要がある……」


「承知しました、皇帝陛下……」


 宰相と一部の近衛を伴い、玉座の間より出る。

 さて、これから忙しくなるな…。




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