135 Side.ライト
「この愚弟！！」
「ぐへぇっ」
兄さんの蹴りを腹部に受けて吹き飛び…、そしてそのまま壁に激突して床に落ちる…。
幾らダメージは大したことは無いとはいえ…、痛いものは痛いんですが…。
相変わらず兄さんは容赦が無いなぁ…。
「いたいじゃないかに～さん…」
「蹴られたくなかったら改善する努力を見せろ！」
「え～めんどくｓ」
「この戯けがぁ！」
「ぐぺっ」
今度は顔面に踵をもらう…。
間髪入れずに二発目とは…。
「いたいですに～さん」
「同じことは何度も言わんぞ！」
「は～い…」
「で…、何を騒いでいるのかしら雷光兄弟は…」
「あっ！ 御帰りなさいアリスの姉御！！」
「おかえり～…」
今帰ってきたのか、アリス姉さまが玉座の方に居た…。
「はいただいま…。それにしても珍しいわね…、二人が揃って居るなんて…」
「捜索を命じられていた対象を捕縛しましたので！ 捕縛した愚弟はめんどくさがって自分に投げてきましたが！！」
「……目の前に転がってるソレのことかしら…？」
そう言いながらアリス姉さまの視線は、呻き声を漏らしながら転がる塵芥の方を見る…。
「何の粗大ゴミかと思ったけれど…」
「じじつそだいごみだよ～…、クレスさまにたてついたおろかものだし～…」
少し前に亡んだフルボルート王国の第二王女レン…、逆恨みでクレス様の手を煩わせる度し難い愚か者…。
僕としてはその場で最大限の苦痛と恐怖と絶望を与えたかったけれど…、僕の力じゃその前に死んでしまう…。
そういうのが得意な兄さんに任せようかと思ったけれど…、その兄さんも、クレス様に裁可をもらう…、って言って持ち帰るように言うし…。
「この愚弟！！」
「ごへぇっ」
考えてることを見通されたのか…、兄さんから蹴りをもらう…。
宙を舞い、天井に激突し、床に落下する…。
痛い…。
「ぐふぅ」
「クレス様の判断無しに勝手な行動は厳禁だ！！」
「そりゃ～そ～だけどさ～…」
そうだとしてもクレス様の邪魔をした愚か者が、未だに生命活動していることが許容し難い…。
まぁクレス様の判断が優先なのは確かだけど…。
『何れにせよ…、よく堪えてくれたね…ライト…』
「いえ～…、クレスさまにはおてまをおかけしまして～…」
『力を取り除けばその子に用は無い…、その後はライトの自由にしても構わないよ…』
「！ ほんと～ですか～…！」
「よろしいのですか！？ クレス様！！」
兄さんが目が飛び出んばかりに仰天している…。
普段はグーロに任せてるしねぇ…。
…そういえば何時もはクレス様の膝にいるグーロが見当たらないな…、何処にいったんだろう…。
『結局誰かがやるならば…、やる気がある子に任せた方が余計な手間が無いし…、ね…』
そう言うクレス様は…、悲しそうな顔をしていた…。
