134 Side.シメール 5
「………」
……何だったんだろうかね~…、あれは~…。
珍しくライト君が姿を見せたと思ったら…、ズタボロの塊を引き摺っていた……。
相変わらず雑というか~無関心というか~…。
しかしま~…、流石に引き摺ったまま走るのはダメでしょ~……。
微妙に血の跡があるし……。
とか言ってるまに跡も消えてくし…。
相変わらず便利だことで……。
しかしライト君が戻ってきたってことは、レイ君も戻ってきてるってことだよね~…。
……近々何かありそうだなぁ…。
「あっ! シメール様!」
「およ? ヘスティアちゃんじゃ~ん!」
廊下の向こうから姿を見せたのは、平服姿のヘスティアちゃん。
何時もの服じゃないのは珍しいね…。
「どしたん?」
「いえ、血の跡を見つけて辿ってきたんですけど…、消えてしまいまして…」
「あ~…」
跡は5秒もしないうちに消えるけれど、ライト君は奔るのも走るのも速いからなぁ…。
普通なら血の跡を見つけたら原因も一緒に見つかるけれども…。
「まぁ気にしなくていいよー」
「…い、いいのですか…?」
「いいのいいの~」
説明するにはライト君を紹介する必要があるし、今玉座の間は危ないからねぇ…。
ヘスティアちゃんに何かあるのも不味いし…。
「そうだ! お昼まだでしょ? 今から食堂へ行こ~!」
「へ? あの、シメールさま?」
「レッツラゴ~!」
返事を聞く前にヘスティアちゃんの手を掴み、強引に玉座の間から遠ざかる…。
御飯食べてる間には終わるでしょ~。