132 Side.アリス 5
今日から再び月曜更新を再開していきます。
「それじゃあ、このままで問題無いのね?」
「はい、予定通りでお願いします」
目の前の男と会話をするのも何度目だろうか…。
過去の皇帝達も中々の者であったが、今の皇帝も聡明だ。
彼の帝国の興りから知っているが、よくもまぁここまで続くものだと感心する。
いくら私達から過去の歴史の情報があったとはいえ…、独力で戦争を生き抜き…、三度も文明復興を果たしているのだから猶更だ…。
基本的に人類社会に関わらないクレスが、唯一積極的に関係を維持し続けている国家だけはある…。
私達眷属の大多数が人類を蔑視しているが、そんな者達でもこの帝国には一目置いている。
「それと一つ…」
「何かしら?」
言い辛そうに皇帝が言葉を続ける…。
何かあるのかしら…?
「以前そちらに訪問したという冒険者三名が、再び会いたい…、と…」
「………」
ふむ……。
クレスが何も言っていない、言ってこないということは…、問題無いということね。
「構わないわ、クレスも承知しているようだし…、他には無いかしら?」
「大丈夫です…、ありがとうございます」
それならとりあえずは…、用事はもう無いわね…。
「それじゃあ私は帰るわ…、次は会談の日に会いましょう…」
「解りました…」
そのまま私は近くの影に潜り込み…、帰路に就いた。
「…で、戻ってきてみれば……」
『お帰り…、アリス…』
「ただいまクレス…」
クレスは帰ってきたことにすぐに気づいたようだけれど…、玉座の下で喧嘩している二人は気づいていない…。
しかしまぁ珍しい二人が揃って居るなんてね…。
「で…、何を騒いでいるのかしら雷光兄弟は…」
「あっ! 御帰りなさいアリスの姉御!!」
「おかえり~…」