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130 Side.ディサイエン帝国海軍初代提督
「…………」
「…………」
「…………」
「………あっ、戻ってきました!」
「!」
見張りの声に顔を上げ、大樹の方角を見る。
複数の人影が見えるが、顔までは判別できない…。
だが先頭を歩くあの姿は遠目でも判る…。
「とりあえず無事ではある…か…」
「出発時と顔ぶれに変化はなく、怪我をしている者もいないようです」
「なら一先ずは安心だな…」
陛下と近衛達が無事であるならば…、一先ずは……。
「ただ……」
「ただ…、なんだ…?」
「陛下が何やら暗い表情で……」
何かあったのか…?
皆が無事ということは…、何か予想外のことが……?
「陛下が戻ってきたら、私が聞いてみよう」
「お願いいたします、隊長」
陛下が暗い表情ということは…、恐らくは何かを思案しながら移動しているということ……。
あの大樹には何かあるのだろうか……。
それとも……、何か……いる…のか……?