128 Side.ディサイエン帝国初代皇帝 3
「…………」
「…………」
入り組んだ回廊の中を、前を歩く少女に先導されながら進む…。
彼女らの主様の部屋とやらにつくまでに、状況を整理する必要がある…。
彼女らは私たちが来ることを知っていた…。
正確には彼女らの主様が知っていたということらしいが……、恐らく何らかの予知系統の能力を持っていることは確かだろう…。
そうであってもそうでなくとも…、警戒するべき相手なのは違いない…。
この回廊も…、見る限りでは木の中のようだ…。
要塞内の部屋から扉を通り抜けてみれば…、唐突に木の中に通じていた…。
あの部屋自体が転移装置だったのか…、それとも扉が転移門だったのか…、いずれにしろ並大抵の者達では無い…。
しかし…、情報が少ない中で急いで結論を出すのも不味い…か…。
直に対面してみるまでは…、警戒以上の事柄は頭の片隅に留めておこう…。
「こちらです…」
「!」
入り組んだ回廊を抜けたと思えば…、その先はとても…広大な廊下……だろうか…?
天井まで50mはあるだろうか……とにかく高い天井と…、連れてきた部下たちが全員横並びに整列しても歩けそうなほど…幅がある広い廊下だ…。
彼女のような者達だけが通るだけならば…、不必要なほどに広いと言える…。
つまり…これほど広大な廊下でなくてはならない理由があるということだろう……。
開けた廊下に出て、彼女に連れられて向かった先に……開けた場所と、その奥の巨大な扉が見えてくる…。
闘技場のようなその開けた場所…、その奥に見える重厚で巨大な扉…。
かつて存在したという巨人族が使いそうな扉だ……。
「この扉の向こうに我らが主様がいらっしゃいます…」
少女がこちらに向き直りながら言葉を告げる…。
そして僅かな間を置いたと思ったら…、
「主様の了承が得られましたので…、どうぞお進みください…」
少女がそう言うと……扉が独りでに開き始めた……。
ゆっくりと開いているのに…僅かな音すら発していない……、いったいどういう原理なのだろうか…。
人一人が通れる程度だけ扉が開き…、少女が扉の向こうへと促す…。
ここが正念場か……。