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117 Side.黒と灰色の世界
その世界は……、緩やかな死を迎えようとしていた…。
突如として世界中であらゆるものが死に絶える現象が発生…。
動物、植物、鉱物、凡そありとあらゆるモノが次々と死んでいった…。
緑豊かな大地は砂漠と成り果て…、美しい宝石は崩れて塵と化し…、生物達は唐突に事切れ、骨となった…。
何一つ前触れもなく訪れた死の濁流に…、世界の人々は恐怖した…。
村が滅び…、街が滅び…、国が滅び…、文明すらも瞬く間に滅んでいった…。
だが世界の9割程が死に絶えたところで…、死の速度が緩やかになった…。
最初にそれに気づいた誰かは…、新たな場所で人々をまとめ上げ…、再び国を興した…。
それに触発されるかのように…、各地で様々な国が興っていった…。
そして再び世界中を死の濁流が襲った……。
再生しては荒廃し…、復興しては滅亡し…、磨きあげては塵になっていった…。
一体それを幾度繰り返したことだろう…。
世界は再び荒廃し…、そして人々は再び復興しようとしていた……。
死の濁流を考えないようにして……。