111 Side.ルキウス 2
「よし、これは終わり。
次は黒の棚の11から15を持ってきて!」
「かしこまりました、ディオン様」
側に控える機械人形に本を持ってきてもらうディオン。
相も変わらず忙しそうだ。
僕はと言うと…、暇が出来たので久々に読書に来た。
ここには様々な本が収められている。
ディオンが使う各世界の史料や、娯楽のための書物等、凡そありとあらゆる本が存在する。
艦船の開発は機械人形達だけで事足りる…。
設計図の作成は僕も関わったが、実際の組み立てとなると疲労し辛い彼女達の方が向いている。
今の所はやらねばならないこともないため、久々に寛ぐことにした…。
のだが…、何やら外が騒がしい…。
「ディオン様、ルキウス様。
今現在、世界樹内部に侵入者が現れたようです。
統率者から御二方をここで護衛するように仰せ付けられましたので、騒動が収まるまで暫しお待ちください」
「侵入者…?」
「寛ぐ時間は終わりかー…」
ディオンの側に控えていた機械人形が、武装を帯びながら告げる…。
ついこの間も侵入者が来たような気がするけど…、それとは別の奴らかな…?
まぁ僕自身、艦船外での戦闘は得意ではないし…、ディオンはそもそも戦闘技能を一切持っていない…。
ここは侵入者が帰るまで待つしかないかなー…。
あれ?そういえば主殿は…?
「創造主様は今現在、別の世界に出向いておられるらしく、現場の指揮はグーロ様が執っておられるそうです」
察したように機械人形が告げる…。
と言うことは…。
「前回の侵入者と対応は同じってこところかな…」
「ってことは…、今回の侵入者も転移者の一部ってことなのかな…?」
「そうでないなら、そもそも主殿は侵入される前に対処させているよ…」
転移者が存在することそのものが、僅かばかりだが世界に歪みを生じさせる…。
この惑星で暮らすならば問題はないが…、負担で無い訳ではない…。
今回の転移者達も、殆どは元の世界に送り返されるのだろう…。
それがいい…。
本来の家族の元で暮らせるなら、それに越したことは無い…。