102 Side.魔王軍"参謀"テイル
さて…、ここまでは予定通りですね…。
進軍も順調…、四天王もレイヴン以外は配置に着いた…。
後はこのまま予定外が起きなければ…。
「…!?」
アレは…!
(レイヴン!聞こえますか!?)
(どうしたテイル?)
(先程の頼みは撤回します!今すぐそこから離れてください!)
(!…何かいるのか…この先に…)
(…えぇ、不確定要素である以上…、接触するのは避けるべきです…。 貴方は元の任務に戻ってください…先程の件は私の方で対処しますから…)
(……分かった…、無理はするなよ…)
私の言うとおり、レイヴンは再び影を各地に飛ばしその場を離れた…。
「ふぅ…、危ないところでした…」
流石に彼女達と無暗に接触させるのは不味い…。
ああ言った以上、レイヴンもあのあたりを調べようとはするまいが…。
出来ることなら…、衝突する前に彼女達の目的が達成されてほしいところですね…。
彼女達と遣り合うことになれば…、確実に此方側が敗北する…!
彼女は手を出さないとは言いましたが…、他二人は分からない…。
不明な以上、接触しないのが一番安全でしょう…。
しかし…彼女だけでも此方を殲滅できそうな程だと言うのに…、彼女に匹敵する者を更に二人も引き連れて何を探しているのか…。
目的の二人組とやらを知っておけば回避する方法も解るかと思いましたが…、まさか知ることそのものが出来ないとは…。
…あまり余計なことを考えるのもよくないですね…。
私に出来るのはこの場所より戦場全体を監視し、魔王軍の被害を最小限に抑える事…。
魔王様と四天王は…、彼女達と件の二人組に近づけないようにしなくては…。
「今のところは…、本格的に人族側と衝突した所は無いようですね…」
まずは軍を広く展開し…、少しずつ前線を押し上げていけばいい…。
数は此方が圧倒的に多い…、力と数で勝っている以上は下手な策を弄する意味は薄い…。
仔細策を理解できる者が少ないというのもあるが…。
あちら側の勇者にだけ気を付ければ…、この戦いは勝てる…!
「しかしその肝心の勇者が何処にもいないというのは…一体…」
勇者の場所を特定できなければ…、魔王様に戦っていただくこともできない…。
このまま不明瞭な状態が続くのは…。
「!?!!」
な、何だアレは…!!
蒼い…三角錐…?
一体何が……。
!!
あそこにいるのは…!
…そうか…、彼女達か…。
であるならば、アレに近寄るのは不味いですね…。
全軍に伝えなくては…!