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目が覚めたら一瞬自分のことが分からなくなった話

作者: 如月海月

 

 とある事情があって、このゴールデンウィーク寝たきりの生活になっていた。寝たきりと言っても入院しているわけではない。

 一人で起きて、少し食べて、それから寝て寝て、寝て。それが今の私の体に最も必要とされる行為だったので、そのような生活を送っていた。

 ここ数日、起きている時間より眠っている時間の方が長かったように思う。



 すると、ある日、起きた時に一瞬だが私は自分のことが分からなかった。「私は誰だ?」と思ってしまった。すぐに私は私であると分かったが、一瞬でもそのような感覚に陥ったことで、あることを悟った。

 それは、人間は多様性によって存在しているという感覚だった。


 私はこの数日、買い出しにも行けず本当に、文字通りただの1人とも交わらずに生きていた。人間の姿を目にすらしていない。

 すると、私は自分を定義付けるものが何もないことを知った。文字を書くのが好きだとか、人と話すのが苦手だとか、容姿はこんな風だとか……他の人間がいないのだから、こんな概念は成り立たない。

 人間は他の人間との違いによって存在している。人間は何故存在しているだけで尊いのか。それは、他のどのような人間であれその存在が自分を存在させることを可能にするのだ。

 こんなことをふと思った。



 仏教で『色即是空』という言葉がある。これはおよそ『この世の存在は全てお互いがお互いに依存して存在しているため、この世に真に絶対的な存在はない』という意味である。

 別に私は仏教徒などではないが、他の存在・他の人間というものの尊さを、少し感じた夜だった。(目覚めたのが夜だったので)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 自分があまり好きでない私でも、自分を尊ぶことができるようになる理由が本文に書かれていたことです。下から8行目がそれに該当します。 [一言] 似たような経験がありました。私だけだと思っていま…
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