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第1章
留守電は広島に住むお母さんからだった。3ヵ月ぶりに聞いた声だった。3ヶ月前もこんな風に留守電が入っていた。
しかし今回も電話をかけ直すようなことはしなかった。故郷である広島とは縁を切りたかったからだ。あそこには2度と戻りたくはなかった。あそこにいるとダメだった自分に戻ってしまう気がした。今ではあの頃とは違い、1年を通して20kgは痩せて筋肉も付いていた。
明日からは春休みが終わり新学期だった。あの馬鹿みたいに長かった春休みも終わり、授業が受けられる。研究ができる。幸せだった。こんな気持ちは大学に入るまでは考えられなかった。
「楽しみだな」
思わず独り言が出てしまった。実は授業や研究以外にも大きな楽しみが一つあった。
「LINE!」
お!誰からだ?、とスマフォの画面を見てみる。そして嬉しさのあまり顔が暑くなっていた。初めてあちらからLINEが来た。スマフォの画面には「明日花から着信が1件あります」と表示されていた。実は明日花は僕が大学に入ってずっとアプローチしている女の子だった。