プロローグ
「こんばんは。命を渡して異世界に行ってくれないか? 」
……は? 何言ってんだこいつ?
突然、自室にいた俺の目の前に現れた男はよくわからないことを言い放った、シルクハットをかぶった全身を白黒の服__執事服っていうのか? __を着ている男にどう対応しようか悩んでいると、目の前の男がもう一度言い放った
「こんばんは。命を渡して異世界に行ってくれないか? 」
「いや、聞こえなかったわけじゃないから。何を言っているのかよくわからないだけだから! 」
返事をすると男は考え
「すまない。これは命令でもなければ強制でもない。ただのお願いなんだが君の命__生命エネルギー
__を譲ってくれないか? 」
言い直されてもよくわからないけど、異世界……ってのはちょっと気になるな
「ちょっと待ってくれ。先に質問に答えてくれないか? 」
「了承しよう。どんなことが聞きたい? 」
質問に答えてくれるらしいが、何を聞こうか?
俺は男が俺の椅子を引いて座るのを横目に考えてみる
男が言ってることは最初から最後までよくわからないけど、要するに命くれって言ってるようなものなのか? それなら断固拒否するんだが……とりあえず気になることは質問していくか。
やっぱり一番気になるのは、やはり男の正体だな
「まず最初にお前は何者なんだ? どうして俺の命を欲しがっているだ? 」
「ふむ、私はこの世界の調停者みたいな者だな。俗にいうバランサーだな。君の命というか『生命エネルギー』を求めているのは、それが一番手っ取り早いからだな」
調停者? バランサー? 何言ってんだコイツ?
「要するに神様みたいなものか? 」
「違うな。君のいう神は人間たちによって集められた力が実在化したものであり、私はそれよりも前にこの世界にすでに存在していた」
「えと、どういうこと? 」
「君の言う神さまという存在と私という存在は概念から違うということだ。というよりも役割が違う」
役割? さっき言ってたバランサーどうこうか。まぁいいや、それよりもこの男の言いぐさだと『命』と『生命エネルギはー』違うものみたいに聞こえるんだが
「さっき言ってた『命』と『生命エネルギー』の違いは何かあるの? 」
「私が求めているのは君の『生命エネルギー』であって君の『命』ではないのだ。似たように聞こえるかもしれないが、君みたいな者には大分違うものなのだ」
「だから何が? 」
「わかりやすく言うなら『生命エネルギー』は材料であり『命』は完成品ということだ。平均10の『生命エネルギー』で一人の人間の『命』ができているとすると、君の『命』は大体100万以上の『生命エネルギー』でできている。そして君は材料となる『生命エネルギー』を余剰に抱えている。それも驚くほど大量に」
説明されてもわからない、てかこれ説明か?
「わかりやすく頼む」
「要約すると、君の抱えている余剰エネルギーを生命に概算すると、3000憶超えるを超える『命』を作れる。これは、今現在の地球が持っている君とほかの特異点を除いたエネルギーの合計を遥かに超えている」
説明されてもよくわからないだけども、要は俺自身のエネルギーと余ったいるエネルギーのどちらもすごく多くて、余っているエネルギーは地球自体より多いってことなのか?
後は俺のほかにも、いっぱいエネルギーを持っている人『特異点』がいるってことかな?
「えーと、『命』と『生命エネルギー』についてはわかったのですけど、俺の『生命エネルギー』を欲しいってのはどういうこと? 」
「君が抱えている余剰エネルギーを使ってこの世界を救おうとしているのだ」
おーと、いきなりに話のスケールが世界になったな。いや、さっきから地球規模だったしいきなりでもないのか? それでも意味わからないけど
「世界を救うってのは地球に何かあったんですか? 」
「地球自体には何かあったわけではないのだが、太陽に似た他の恒星のエネルギーが枯渇してきていて、早くて10年以内に星の終わりを起こして宇宙全体に多大な被害を起こすことが分かっている。その枯渇している恒星の寿命を延ばすために、君と他の特異点の余剰エネルギーが必要なんだ。」
とても大変なこと言ってるはずなんだけど、まったく現実味ないな
「俺が譲らないといった場合は? 」
「そこを何とかと言いたいところだが、余剰エネルギーとは『命』に結びついているから無理やり取るわけにはいかないのだ。殺してしまうと『生命エネルギー』は減ってしまうからな。普通は少しなんだが、君の量だとさすがに多すぎるしな。その場合はしょうがないがほかの量が多いエネルギー体などに助けてもらうしかないな」
成功率は格段に下がるがな、と呟いているけど、これ俺のエネルギーを譲るしかないんじゃないか?
余っているらしいし別に減っても大丈夫なのか?
「余剰エネルギーってのは譲っても俺に害はないのか? 」
「特にないな。譲ってもらうときに少し痛みがあるぐらいだな」
少しの痛みぐらいで世界を救えるのか~、俺が死ぬわけでもないしなぁ
「最初に行ってた異世界ってのは? 」
「余剰エネルギーをもらうときに効率がいいように変換させてもらうのだが、君の『命』が少し変質してしまうかもしれないのだ。そうなると地球レベルの星では君の重さに耐えられないからな。耐えられる星に行ってもらうのだが、この世界にはないからな。別の世界に移住してもらうことになる」
ちょっとまて。痛みぐらいって言ってたのに『命』の変質って大丈夫なのか
「変質したらに何か変化はあるのか? 」
「少し『魂』と『命』の強度が高くなる。『生命』としての格が高くなるな。鍛錬したら現人神ぐらいにはなれそうだな」
「それは大丈夫なのか? 」
「君という個体の記憶やそのほかの状態が変わるわけではないからな。少し記憶力や身体能力が高くなるぐらいだと思う」
なんだかんだエネルギーを譲って異世界に行ってもいい気がしてきた。どうせ両親もいなくて知り合いも少ないしな
唯一の心残りはリプ○ンが飲めないことだけど、どうにかなんないかな?
「その異世界ってのはどんな感じなんだ」
「規模は地球の約20倍はある。それに少しずつ成長している。変化後の君に耐えられるレベルの格だからこっちの世界より格が高い。それに地球と違い、多種多様な生命態に未発見の場所や現存する神などがいる。ほかには魔物という生命体とそれを狩るものがいるな」
「神がいるってすごいな。会えたりするのか? 」
「神も分類的には知的生命体だからな、会える可能性はあるにはある」
結構行きたくなってきたは、ほかに何かあるかな?
「ほかに地球とは違うところは? 」
「原理がいろいろ違うからな。魔法とやらがあるな。科学ではなく魔法で進化してきたみたいだな。一番の違いは格を上げることで補正が入る」
よし行こう! 早く行こう! どんどん行こう! 夢にまでみた魔法だ!
「余剰エネルギーを譲って異世界に行くのはいいんだけど、二つほどお願いがあるんだけど」
「私個人でできることならできる限り融通しよう」
お願いは聞いてくれるみたいだから、生存率を上げるためにいろいろ交渉だな
「まず最初のお願いは、場所と武力についてかな」
魔物のいる世界で、土地勘もなくて知り合いもいない異世界で俺なんかが個人でいたら速攻死にそうだしね
「了承した。場所はなるべく人が多い場所の近くに送ろう。武力に関しては君は心配なさそうだが、武器かなんかを送ろう」
場所は安心だけど、武力が心配ないとか何言ってんだろうか? こちとら喧嘩なんてしたこともない一般ピーポーだぞ! まぁ心配ないと言ってることだし、たぶん安全な場所に送ってくれるんだろう。
そんなことより本命は二番目のお願いだ
「リプ○ンを持ち込み、もしくは月ごとに60個ほど送ってくれ! 」
「了承した……と言いたいところなんだが、残念ながらそれらはできない」
…………っえ? ……
……っは! 驚き過ぎて思考停止したは
時計をみると30分ほど経っている
男を見るとさっきの質問に答えた状態から一切動かずにいた
「マジで? 」
「そうだ。物質は君だけしか送れない。衣服も何もかもも現地に送っておくが、この世界のものはあちらの世界には送れない」
えーまじかー、リプ○ンを持っていけないなら異世界行くの諦めるかー
「すみませんが、お引き取「待ってください! 」り、なんですか? 」
「物質は送れませんが情報は送れるので、現地で作れる方法を授けるので行ってくれませんか? 」
どっちなんだろうか? リプ○ンを異世界で飲めるのか飲めないのか? はっきりしてほしいな
もちろん飲めなければ異世界行かないんだけどね?
「異世界では、格というこことは違う原理があるのと同様にスキルというこの世界にはない法則があります。そのスキルの中の『創造』というスキルがあります。それを使って、送った情報をコピーしてリプ○ンを『創造』していただければ」
スキルかー本当にゲームじみてきたなぁ
でもゲームではスキルって結構手に入れにくいものなんだけど、手に入れるまでリプ○ンを飲めないとか無理っていうか死ぬんだけども。
「でも、その『創造』ってスキルを手に入れるまで飲めないんでしょう? 」
「そこはエネルギーの譲渡を快く承諾していただいたので私が付与しますのでご安心ください」
……なんかこの人がいい人に見えてきたわ
「なら俺からは以上ですけど、どうやって異世界に行けば? 」
心残りといえば、1ピースの最後が分からないぐらいだな、諦めるしかないか。
「では、これからの手順の説明を、といっても後は私がすることだけですから、寝ていただいて目が覚めたら現地についておりますので、そこからは新しい人生として頑張ってください」
男が椅子から立ち上がり優雅に挨拶をする
「最後に、今回世界を救うお手伝いをしていただくことになり、感謝の極みです。成神仁<なるかみじん>様。君に異世界での名前を授けますので、後で確認してください。君の人生に幸あれ! 」
「ちなみに、私は男ではなく女です」
なんと! 男かと思っていた女性が指挙げて綺麗に鳴らすと意識が遠ざかる。
そして俺が地球で最後に感じたことは、余剰エネルギー渡すのめっちゃ痛い!!!!
リプ○ン大好き人間です






