反射
寝るしか無いところで 眠れない夜に
思い出す真紅の鯉から 放たれる光
緑のドブ川の 真っ暗橋の下
一筋の太陽光が 鱗を反射する
近所の兄ちゃんが 大きいザリガニを
取ったから見に行った 踏切の川で
鱗に反射して 私の目に焼き付いた
記憶の反射で あの時の鯉がみえる
緑の中の赤が 真っ暗橋の下
乳白の淡い光が 夜に反射する
寝るしか無いところで 眠れない夜に
思い出す真紅の鯉から 放たれる光
#######↓ZONE−50℃#######
小学校低学年の時、近所のお兄ちゃんが伊勢エビ位でかいザリガニを取ってきました(子供の頃の記憶なので若干誇張されております)その場所を聞いた私は急いで線路の架線下にあるドブ川に向かいました。
真っ暗な川に膝まで浸かりザリガニを探していると、不意に深みに嵌り足を滑らせて転んでしまいました。そして全身ずぶ濡れになったその時。
真紅の大きな鯉が一筋の光に照らされており、悠然と泳いで去るのを呆然と見送りました。
当時は水質調査の為に鯉が大量に放たれる以前で、赤い鯉が川に居る事などなかった時代で、衝撃もひとしおでした。
その時の記憶が、暗闇でひとり酒を飲んでいると不意に思い出される事があります。暗闇に浮かび上がる真紅の鯉。鱗に反射したあの時の太陽光が、数十年後の私の部屋に反射する、というお話でした。
次回予告「灰皿通りのシケモク女」