ゼリエース越しの蛍光灯
透明な液を
軽い金属の器に流す
合成香料の
刺激的な香りと
合成着色料の
鮮やかな緑
うっとりと冷蔵庫へ
別れを惜しむように扉を
閉めては開ける
覗き込んで揺らすと
まだ固まっていない
叱られて閉める
それを繰り返した午後
取り出したる器を
皿に落とそうと苦戦する
そのまま食べようとしたら
そういうものじゃ無いと
また叱られた
少し湯煎して落とす
皿の上のゼリエース
越しの蛍光灯は
淡く優しい
お姉ちゃんとの記憶
#######↓ZONE−50℃#######
駄菓子を買い与えない親の元で育ち、お小遣いで駄菓子屋にて買う以外のお菓子は、自分で作って食べていました(そのお小遣いは、ほとんどキン消しに消えてました)
友達が来た時に作っていたお菓子の第一位は「焼肉」冷蔵庫の食材をチョロまかし、単に焼いた肉に醤油をかけたものを、三時のおやつにたべていました。そして栄えある第二位は「コーヒーゼリー」粉ゼラチンをインスタントコーヒーに溶かしたものを固めて、砂糖と水を加熱したシロップをかけて食べる、というシンプルメニュー。色々工夫しても固くなり過ぎる、もしくは固まらないかの二択で、市販のゼリーのようにプルルンとはできませんでした。
たまに作らせてもらうゼリエース(ハウス食品のゼリーの素)は、それ故に貴重で、我々姉弟の間では〝本物〟と呼び崇められていました。
特にメロン味の好きだった私は、固まったそれを蛍光灯にかざして、鮮やかな緑を堪能していた記憶があります。




