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雪げしき

 お婆ちゃんが


 暑い夏に


 書道をしていたんだ


 生まれて初めて


 書に感動したんだ


 雪げしき 雪げしき 雪げしきって


 蝉しぐれの中


 雪げしき 雪げしき 雪げしき



 永遠の


反逆児かよって


 キープ・オン・ロックンロールって


 こういうのかなって


 単純に喜んでいたんだ



 雪げしき 雪げしき 雪げしき


 雪げしき 雪げしき 雪げしき




 あなたが亡くなった晩に


 雪がふったよ




 あの時


  思い出してたのかな


 こんな 雪げしき 雪げしき


 雪げしき 雪げしき 雪げしき


 夏 書に向かい


 目を閉じれば


 雪げしき 雪げしき 雪げしき


 雪げしき 雪げしき 雪げしき


 雪に隠れて形は朧


 雪げしき 雪げしき 雪げしき


 雪げしき 雪げしき 雪げしき



 墨の匂いで 思い出したのかな


 こんな…… 雪げしき…… 雪げしき






 #######↓ZONE−50℃#######







 仕事柄高齢者に接する事があり、レクリエーションとして書道などを皆でする機会がありました。その場で、あるお婆ちゃんがおもむろに「雪げしき 雪げしき 雪げしき」と一枚の半紙に書き上げました、真夏に。

 そのパンク魂に衝撃と感動を覚えた私は、その書を本人の了承を得て持ち帰ると、私のポエムノートに大切に保管しました。この様な衝撃を伴うポエムが書ければとの願掛け的な意味合いもあったと思います。

 その方は真冬のある日に亡くなられました。お見送りをした私が『そういえば書をもらったな』と感慨に耽っていると、フワフワと雪が舞い降りてきました。


 その雪は記録的な大雪となり、車で帰宅する間にも道にドンドン降り積もり、ハンドルを取られそうになる程。


 その時、ふと『もしかしたらあの時、あのお婆ちゃんには生まれ故郷の雪景色が見えていたのかもしれない』と愕然と思い至りました。


 この詞はその帰り道の30分程でできました。ちょうど辺見庸さんの「赤い橋の下のぬるい水」という本を読んでいた時で「雪に隠れて形は朧」というフレーズはそこから勝手に頂いてしまいました。


 その本には、全ての事柄は時間が経過する事でフィクションになる。何かを目で見ても、一瞬後には自分の考えている事すら現実とのズレが生じて全てがフィクションに変わっている。という内容があったと思います。それを読んでいた私は『お婆ちゃんが雪景色を思い出していた』というフィクションの物語を自分の脳が作り出したんだな、とドライに捉えつつも、見直した「雪げしき 雪げしき 雪げしき」と書かれた紙をみて、なんだか愛おしくなり、曲をつけました。これまた単純なスリーコードなんですけどね。

 下手くそな歌でこの曲を歌う時、何時も彼女の困った様な笑顔が浮かびます。

次回予告「暴力barさつき」

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