手中盆(ポエムバージョン)
僕たちは
流れる水 あふれだし
背骨まで 浸しながら
遠くの工事を見てる
見上げた空
雲 クライマックス
自販機に 虫がたかる
夏の田舎町で
自転車の
音が闇に 消えて行く
暗がりに
拡げられた触覚が
遠くの
音に触れて
うるさい
手のひらを耳に当てて
遠くの工事を見てる
見上げた空
月クライマックス
ボクタチハ
ナガレダシ
アワダチテ
キエテイク
クラガリニ
ヒロゲラレタ
ショッカクガ
トークの
音に触れ
うるさい
#######↓ZONE−50℃#######
手のひらを合わせて作るお椀の名前を知っていますか? 私は知りませんでした。
だから勝手に手中盆(手の中にある器=お盆)と命名して、そこに夏のイメージ(お盆)と、手のひらで良く飲んだ水道水を重ね合わせて作った辻ポエムがこの〝手中盆〟です。
同名のホラー短編は、この辻ポエムからとりました。
夏の田舎町は暇で、それ故に感覚が鋭敏になっています。それこそ自販機の灯りに集まるヤンキー少年少女の様にナイーブなんです。
夏、ヤンキー、コンビニ前、的な感覚で書いたこのポエム、皆さん如何お感じでしょうか?
この歌は中学運動部時代、水を飲むことを制限されて育った世代の呪歌です。水を飲むとバテると言われて水分摂取を制限され、休憩時間になって我先にと飲み下した水道水。あの感覚への反逆としての辻ポエム。皆さんこの呪いを感じて頂けましたでしょうか?
次回予告「お願いシスター」




