第八話 村民会議
第八話 村民会議
なながゴーレムの修理をしているうちに村の主だったものが集められた。
のべ3日に及ぶ会議の結果、いくつかの事柄が決まった。
「ななさんおはようございます。」
『おはよう、シンディ。いまあける。』
「きょうはなにかあった?」
「村長さんが、今日は大事なお話があるので、村の全員で集まってくださいって。だから、ななさんも来て欲しいって。」
「いいの?」
「・・・ななさんこの村のこと嫌いなの?わがままな人が居るから嫌いになっっちゃたの?」
ななさんが駄目って言ったのに勝手に村から出て、そのせいでななさんの大切な家が壊れちゃったってきいているし。
その前からみんなよそよそしくなってたし。
「そんなことない!みんなだいすき!」
「だったら、ずっとこの村にいてね。もっともっと立派になってきっと良い村になるから。お婿さんも村長さんたちが探してきてくれるから。」
ななさんは優しい顔でわたしの頭を撫でてくれました。
「これで皆そろったな。」
去年に比べると倍ぐらいの人が居ます。家族を連れて帰ってきた人たちです。村長さんも人手が増えたと喜んでいます。
「今日はこの間からの会合での結論がでたから発表する。」
息子さんのハンスさんが進み出てきたました。
「まず、村長の補佐として俺が細かいことの調整することになった。まだ若造だが親父が引退する前に一人前になるつもりだ。よろしく頼む。」
誰も反対する人は居ません。前から次はハンスさんだって思ってましたから。
「つぎに、今使われている産屋だが今後はそこまで出産が重なることは無いと思うからそのまま病院として使用することとする。」
「それは良いが、エリックが死んで今は医者がいねえじゃねえか」
エリックさんはカレンさんのおとうさんでわたしが生まれた頃に亡くなったそうです。
ああ、この人はななさんがお医者さんもできるってしらなかったっけ。
「この病院は近隣の村にも解放して規模大きくして街から医者や治癒師を数人雇う。」
皆さん納得したみたいです。人手が増えるならななさんも楽になりますね。
「次にリックの所の工房だが、あそこの生活雑貨だがそこらも商品化したいと言ってきている。そこで村をあげて協力することにする。」
「俺の所は、まず材料の確保だ。これは村の外の森や丘の辺りに結構大きな木が生えてるので計画的に植林と伐採を繰り返せば安定して手に入るし、鉄の方は商会で準備してくれるそうだ。後は弟子を取ってさらに新しいものを作る研究をする。」
「人手はよそから雇っても良い。作業場の近くに待避所と予備監視員を置くか。」
「すげえ!ちょっと前まで出稼ぎの村だったのに今度は雇うがわになっちまった。」
ほんとにすごい!これなら、ななさんにアイデアをもらいに行かなくてもいろいろ作れるようになるね。
あとでジルが怖いんだ、特に妊娠がわかってから。ななさんも気をつけていたけど。
あれ?
「次にこの村に学校を作りたいと思う。カレン頼む。」
「あいよ、あたしやその前の世代はおとうさま、じゃなくてうちの父親が読み書きや簡単な計算を教えてたし、あたしが帰ってきてからはできるだけやらせてもらってたけど、人も増えてきたし他所からも人が入ってくるならきちんと教えられる人を入れたい。」
「確かにあれは助かった。字が書けるだけで賃金が倍ぐらいになったからな。」
「できれば魔物に対応できるくらいの魔法使いがほしいな。」
「悪かったな才能がなくて。まあ場合によっては医者たちと掛け持ちしてもらうかもしれないけどね。」
「それを踏まえて今年から将来有望と思われる者を大きな街に留学させたいと思う。」
みなさん納得の様子です。
ただ筆頭がわたしなのはなぜでしょう?このままではななさんと離ればなれです。
「以上が今後の予定だが、俺たちで拾えたのはこのぐらいだ全部拾えたか?ななさん。」
え?
ほとんどの人が不思議そうにななさんに目を向ける?
まるでいたずらに成功したような本当にうれしそうな顔。
「ほんとうにゆうしゅうだわ、あなたたちは。それでもわたしのすべてをあげるわけにはいかないの。だからわたしはたねをまいただけ。」
「あなたは黙って出て行くつもりでしたね。」
え?でていく?だれが?ななさんまさか?
「やっぱりよまれてたか。」
とたんにみんなの非難がななさんに集まる。
わたしはあまりのことに声が出なかった。ななさんもどこかに行っちゃうの?
・・・も?
「カレンがな、ななさんはいつも誰かの膝に乗ってたんじゃないかってね、いつも言ってたんだよ。」
はじめての人には普通は嫌がったり固まったりするんだけど、ななは普通にしていた。
特に無理矢理に抱き上げても抵抗する様子が無かった。
そしてそのだれかは、ななにとってとても大切な人。
ななの微笑にひびが入る。これ以上はやばいか。
ハンスの口をふさぎつつ、
「あたしが犀の前に出て行かなかったらとんずらこいてたんだろ?」
「あれでよていがくるいましたよ、あそこまでおおごとになるとは。」
「じゅうぶん精霊様のお怒りを買うぐらいにはなってたよねえ。」例の三人が身をすくめる。
「わたしはせいれいさまではありませんよ。ですからたすけにいきました。」
軽い調子で躱すなな。でもそのために足止めさせてしまった。
だから、
「もうこの村に居る必要はないだろ?」
「え?」
「あのゴーレムは時間が来れば使えるようになるんだろ?」
「ええ。もともとみつからないくらいとおくまでいどうするためにためていたのですよ。」
「ならここで預かっててやる。むろんだれにも近寄らせねえ。」
「え?」
「力が貯まった頃取りに来れば良い。」
「それ以前に勝手に追っかけて行くんだろあれ。」
「ほんとにゆうしゅうだわ、あなたたち。」
「それと今後あなたが必要になる路銀や生活費、情報料すべてこの村で持ちます。」
「じぶんのあしでたびをするなら、ひつようになってしまうわね。」
「ふっ、それはお前の当然の権利じゃ。お前とお前の子孫はこの村が無くなるまで、どこにいようがわしらの兄弟、で親子じゃ。」
まったく変なところで遠慮深いんだから。
ちなみにこの小説のタイトルは、ななの台詞ではありません