第七話 禁じ手
第七話 禁じ手
「いまのところこっちに来る様子がないが、そのうち見つかってしまうだろう。」
「ならば狩りに行くしかないのか。」
「その魔物はどんな魔法を使うのか?」
「おそらく普通の突犀だから『鎧』と『暴走』だと思う。」
「で、倒せるのか?」
「・・・『鎧』が発動するとまず無理だね。魔道師でも難しいだろう。」
視線がななに集まる。
「おおきさ?」
「高さ五メートル長さ十メートル。」
「じゅんびがいる。まにあわない。」
「くっ!」
「ちくしょう!これからだっていうのに!」
「みんなをむらでまもる。そとにでてはだめ。」
「うむ、今回は諦めるしかあるまいの。」
「何かできることはないのか?!」
「みんなでかかれば何とか倒せるんじゃねえのか?」
「犠牲の方が多いじゃろ。多少計画が遅れてもそのほうがええ。」
「すぐに村民の点呼としばらく柵から外に出ることを禁じると皆に知らせろ。」
「何かできるこたあねえのか?」
「しょーがねえよ、なな様々が無理だって言ってるんだから。」
「なら、まだこっちに気づいてねえなら囲えるところだけでも囲ってみるか?」
「少しでも足しになるならやってやる。」
「よし、村長たちにばれないように取りかかるぞ。」
「様子はどうだい。」
「おう、カレン。まだぎりぎりのところでばれちゃあいねえみたいだ。」
「このまま通りすぎてくれるといいんだが。」
「まったくだ。」
「あ!馬鹿が、何やってるんだ!!、村長に知らせろ、あたしはあいつら連れ戻して来る。」
「この辺までなら大丈夫だろう。早く建てちまおうぜ。」
「その前に、火をおこしておこう、動物は火を怖がるからあいつも近寄ってこないんじゃないかな。」
「なるほどじゃそっちは頼む。」
「ばかやろ!なにしてやがる。」
「ち、もう気づきやがったか。」
「すぐに村に戻れ!まだ間に合う。いそげ。」
「おい、カレン!まだ気づかれてないんだろ?」
「犀は火に敏感なんだ。見つけたら攻撃してくるぞ。」
「な?」
地響きが近づいてきている。
「はやく!!」
もう目視できるとこまで来ている。
慌てて距離を置きつつ魔法の準備をする。
「”大地の力を持ってかの者を戒めよ”アンクルスネア!」
地響きを立て転がっていく突犀。あたしの使える唯一の魔法だ、
だがそれだけの効果しかない。
のっそりと立ち上がってこっちに向かってくる。
すまない、みんな。犠牲を出しちまったか・・・
ドゴ!!ガガガガガ!!
再び『暴走』をかけようとした突犀に横から茶色い塊がぶつかっていった。
「なな!?」あれはななのゴーレム?
足が折れ動けなくなったゴーレムからななが飛び出してきた。
突犀の方は再び立ち上がって今度は壊れたゴーレムに向かって突進した。
「:;***+-’’”:**!」
それは音も無く終わっていた。
走り出した犀はその場で二分割にされ地に伏した。
壊れたゴーレムを呆然と見つめるななに声をかけた。
「ありがとう、助かった。」
「いい。カレンがぶじなら。」
「こいつは直せないのかい?」
「なおる。でもちからをつかいはたした。まえはとりもどすの1ねんかかった。」
ああ、だから村に居てくれたんだ。
「またさがしにいけなくなった。・・・なおにあいたい、なおのこえがききたいよ・・・」
座り込んで泣き出すなな。そういえば泣いているななを見るのは初めてだ。
ただ抱きながら背中を撫でてやることしかできなかった。
夕日がにじんで見える
以前出てきた餓狼の魔法は『消音』です
魔法の使える獣を魔獣と言います