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私は精霊ではありませんよ   作者: lassh-leyline
第二章   閉ざされし森の賢者
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第八話   北の賢者(魔王 血染めの月)

二人の世界に浸ってます。


前話の続きを書いてたらまた変に暴走。結構、鬱話。


閑話にしようと思ったけどまあじいさん視点なので本編とします。


気分が悪くなったら次話に飛んでください。

第八話   北の賢者(魔王 血染めの月)



『何があったか話してもらえます?』

 床にマットレスを敷き、座ったナオの膝の上に頭を置き寝そべる。

 ナオの国では膝枕とか言って、親しい者同士のスキンシップらしい。

 これはなかなか刺激的な体験である。

 体を重ねるでも無いのにその感覚を味あわれるし何より感じているナオがよく見える。

 ちなみに風呂は儂の体調不良により急遽取りやめとなりました。ふん!!

『あん、もう変な所をさわらない、ひん、・・・』

 おっと派手に動揺させると頭が落ちてしまうの。

 ベットは二人で入るには狭いと言うことで作り直すまで床でねることにしたのじゃ。

『今は私のことより旦那様の方が大変なのでしょ?あの様子ではかなり心の負担になっていますね。』

 さっきまでは儂がナオの体を研究しておったのに今度はナオが儂の心を研究しようとしておるのう。

 お互い難儀なスイッチがあるのう。  

 髪を梳くように頭を撫でていく・・・何とも落ち着くのう。ずっとこうしていたい・・・

 気づくと儂は誰にも言えなんだ儂の下卑た部分をさらけ出しておった。






 昔、とは言ってもたかが二百年あまり前の話じゃ、いや三百年前じゃったかの?まあいい。

 当時、壁の外の世界ではいくつかの大国が覇権を争っておった。

 儂は村の生活に飽きて外の世界に出たんじゃ。


 当時から魔法使いは希少価値が高くてのうどこでも引っ張りだこじゃった。そして大活躍というわけじゃ。かっ、かっ、かっ。

 そのうちある国に雇われてのう。

 まあ払いもよかったし、そこそこ強い国じゃったからそこの混成部隊に配置されたんじゃが、そこは最低のくずの集まりじゃった。

 そこは傭兵崩れや元犯罪者の集まりで敵にどれだけ損害を与えられるかを追求する部隊じゃった。


 ある意味魔法研究には最適ともいえる。どんな陰湿な魔法でも好きに使えるし捕虜やその辺の人間を攫っては実験に使っていた。

 所詮儂もあいつらと一緒の屑じゃ。まあ魔法使いとしての実力で誰にも文句はいわさんかったが。


 そのために悪目立ちしすぎたんじゃの結局自軍からは汚物扱いじゃし敵からはハイエナじゃの死肉ぐらいじゃのおっと同じ意味か、まあどちらからも恐れられておった。

 辺境の村では未だに部隊の名を取った悪魔がうろついとるよ。


 特に隊長は女好きで部下に常に村を襲わせてめぼしい女性をかき集めては使い捨てにした上部隊で使い回した後で簡単にいびり殺しておった。

 儂も付き合わされとったからしょせん、いやいや今更儂のことはどうでもいい。

 そんな関係で近くには使えそうな女は居らんようになってしもうた。

 ある意味その辺の村を根絶やしにしたようなもんじゃから相手国は時をおかずに滅んでしもうた。

 もっとも儂らの部隊も居場所が無くなってしまうわけじゃが、当時一番危険視しておった国があってのうそこまで遠征することになったんじゃ。

 その道中女も金目の物も一切無くてみな大慌てで逃げ出したのがわかっとるから隊長や徴収担当はおおあれじゃった。


 で、彼の国に着いたらとるものも取り合えず村を襲うことになった。そのときもひどい有様だったよ。

 あの国は徴兵軍人の制度があって男女ともに軍人になるんじゃ。

 その村はすでに敵軍が駐屯していたんだが、男は皆殺し、女も飽きるまでおもちゃにされて終いには死体すらのこらなかったってことだ。

 さらに軍人の女性は剥製にされて晒されたうえ女が切れた時用のおもちゃに使われたんじゃ。

 それ以来女性軍人は生け捕りが慣例になった。所詮欲望にとりつかれた異常者の集団じゃ。

 

 それでも実力は国で一番じゃし所詮普通の人間の考えでは計れんようなことをする奴らじゃ手に負えんようになるのも時間の問題じゃ。

 それで、街の三個も食われて奴らも人としての心を棄てたんじゃ。

 

 戦災孤児の中から見目麗しい少女をかき集め即席の兵士として訓練して儂らに差し向けてきたんじゃ。

 まあ親の敵討ちに立ち上がった可憐な乙女たち対するは死肉を食らう悪魔の集団。

 さらに女性の神官を数人混ぜてやれば神に祝福された乙女の兵団の誕生じゃ。

 適当に緩い戦場を経験させておいて、士気が上がったところでこちらにあてがってきた。

 

 儂は部隊の存在は掴んで居ったがまさかこちらにぶつけてくるとは思わなかった。

 いかに宣伝用の部隊だとしても儂らには格好の獲物である。そんな無駄なことをするわけが無い。

 しかし娘たちは来た。来てしまった。

 結果は推して知るべし。

 

 全てほぼ無傷で捕らえられて隊全員の前に裸で引きずり出された。その時点で異常に気付いた儂は隊長に進言した。

 お守りの神官が一人もいないと。そして捕まった少女は五十三人我が隊の正規の隊員の数である。

 しかも我が隊一人一人の好みを調べ上げそれに対応した容姿の娘が集められていた。

 

 まず隊長が籠絡され相手の副隊長の娘に最初の時はみんなといっしょが良いと言われ、結局駐屯地の真ん中で大乱交パーテーとなった。

 その間見習いや他所の部隊の人間は哨戒や徴収に出したし。

 儂の相手は部隊の隊長でまあ確かに好みじゃったがの。







 なんじゃ、なんでこめかみを拳で押さえるんじゃ、いたい、いたい、じゃから昔の話じゃというとろうが。

 何、どんなのが好みかって?それは、そうじゃのう、頭がよくて理性的で、体型は少し細めの小柄な子かのうって、うほ、なんじゃ今度は太ももの間に挟んで、いててて、締め上げるなって、だから理想よりも少し違うぐらいがかわいいんだぞ。お前も動けなくなるほど感じるならやめろ。

 第一儂はナオの本体と結婚すると言ったのじゃ。確かにナオのひとがた(人形)は理想に近いけど肉欲はおまけみたいなもので本当に一緒に居たいのはナオだけなんだから・・・・








 まあ話がそれたが、そのときは儂も誑かされとったんじゃ。

 さすがに隊長ともなれば精神操作の魔法なしで任務を理解して実行するぐらいの異常性を持って居ったのじゃろう。


 苦楽をともにしてきた仲間を自らとともに捧げたのじゃからな。自分も含めてすでに発動している魔法を肉体に封印し破瓜のタイミングで封印解除と捕縛の効果で一人残らず範囲内に押しとどめつつ複数同時発動の効果で威力と範囲を大きくする。

 あげく精神操作系の呪文まで解除するあたり、相手も十分いかれたやつじゃった。まあ目の前にいた娘も似たり寄ったりじゃが。


 まさかあのタイミングで来るとは思わず、対応が遅れてのう。

 なんとか詠唱が終わる前に目の前の小娘の頭と術の封印元の心臓を吹き飛ばして地面に塹壕を掘り当時試作中の聖域魔法を掛けるのが精一杯じゃった。

 結局部隊で生きのこったのは儂だけじゃし、その場に誰かも何人の人が居たのかも解らん状態じゃった駐屯地で残ったのは高温で焼かれて砂地になった林と溶けた武器や防具の痕跡が少し。あと結界内に残っていた性器同士でつながったままの下半身だけの少女。


 結局儂はその死体も焼き尽くしその場を逃げ出したのじゃが。

 あのときの娘たちの表情、巻き上がる業火と悲鳴、痛みを受けながら敵にとどめを刺そうとするゆがんだ笑み。

 理想に近かっただけ効いたんじゃろう。

 それまで人間の女なぞ実験動物のメスぐらいにしか思ってなかったのに、今度は恐怖の対象になってしもうた。

 




 あの後、前妻のシグラリーデに出会うまでの間儂の(性器)は使い物にならなくなったんじゃ。

 ん?ああ、出会っても百年くらいはそういう関係にはなれなかった。何しろ自分の鬼畜さにはほとほと愛想が尽きて居ったからの。

  




 で、続きじゃが、相手側も諦めて放っておけばもう関わる気もなかったのじゃが。あいつら異種族狩りをはじめやがった。

 さすがに儂は死んだと思ったのじゃろうが。混ざり者が元凶だと言い出したんじゃ。

 確かにうちの部隊はあぶれた混ざり者も多くいてそのために新たに転がり込んでくるやつも多かった。ある意味数少ない受け皿でもあった。


 一番腹が立ったのはあの少女たちのことじゃ。完全に無かったことにされて、神殿でも黙りを決めたんじゃ。

 身寄りも無く、まだ年端もいかぬうちに無理矢理武器を持たされた上、心まで縛り付け死地に送り込まれたのに存在自体を抹消されるとは。


 あの隊長と副隊長以外の娘たちにはかすかに残る古傷がいくつも見られた。さらにそのうち三割は混ざり者、混血の捨て子だ。

 たとえあのときに隊に選ばれなくとも、幸せにはなれておらんかったろうが、無かったことにされては倒された儂らも泣き叫びながら逝った娘たちも浮かばれまいて。


 隊長にしても副隊長にしてもあの作戦のためだけに訓練され生かされてきたのだろうに評価すらされない。本来なら士官待遇の葬儀ぐらいはしてもらえたじゃろうに。

 たった五十三人で万の戦果を上げてきた凶獣たちを仕留めたのじゃから。儂に恐怖を植え付けたのじゃから。


 奴らはしてはいかんことをしてしもうた。

 詰めを誤り、儂を逃がしてしもうた。魔王と呼ばれたこの”血染めの月スカーレッドルナを。

 そして、儂を本気で怒らした。





頬を何か柔らかい物が当たり流れる物を受け止めていた。

復習編はまた今度

こっから先はまた別の話なので改めてまとめます。


じじいまさかの鬼畜魔王編です。

認識がエルフ至上主義から人(族)はみな同じになる寸前の頃です。

復習編で現在の性格になります。



次からは少しは周りに目がいってくれると良いなあ・・・


宇宙船の参考にした小説にも彼女たちみたいな少女たちが出てくるのを思い出しました。あそこまで悲惨な生い立ちでは無く普通の少女たちでしたが、それもキツい話だなと思いました。

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