第二話 彷徨い人
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第二話 彷徨い人
餓狼は特に単独行動を好むから今この辺りは魔獣も大型の獣もいないと思う。
わたしと二人ほど残して恐慌気味の娘たちに村への連絡と応援を頼み帰らせた。早く他の人と変わってほしい。あたしも怖いよ!
とりあえず相手に危害を加える気はないんだろうけど、知ってる言葉はどれも通じず、種族の特定もできてない。
兜を外した彼女は美しかった。銀の髪が腰までかかり青い瞳は静かな湖面のよう・・・
まさか伝説や神話の天使様や精霊様かも。でもあの方たちなら言葉が通じないわけはないし。
人の言葉は天使様から亜人の言葉は精霊様からの贈りもののはずだから。
彼女は自らの胸に手を当て
「:;;++*’、なな。``::++、なな。」
と繰り返し言った後私の方に手のひらを見せ、
「”;::+;?」
と言った。
こちらから何も反応がないとまた同じように繰り返した。
どうやら名前を名乗り合おうと言っているようですね。
「あたしは、カレンだ、か・れ・ん。」
同じように胸に手を当て、名のる。そして相手を指さし、
「あなたは、ななでいいのね? な・な。 ん?」
促すと、うれしそうにうなずきながら笑顔で双方を指さして、(あ、何かやばいこの子かわい過ぎ!)
「++:、なな! ++*、カーリーン!;;?」
「いや、カレンだから。カレン!」
わたしは思わずみとれていた。が、反射で突っ込みを入れていた。
表情を曇らせ腰を折り頭を下げる彼女。(ああ、やめて!そんな顔しないで!)
「**;;++:*、かれん.-+**。か・れ・ん。;:?」
こちらを伺うような顔をして確認してくる。(なでたい!だきたい!もふりたい!)
「うんそれでいい、カレンだ。」
危ない危ない、おもわず飛びかかるところだった。相手は正体不明の生き物だった。だから放せ、ジルにアリサ。
細かい所作は共通しているみたいなのでまったく駄目ではないな。
ジルもアリサもそれぞれ名前を教え合ってる。でもまだ怖がってるけど。
細かい話は理解できないが、東から壁沿いにここまできたらしい。
そして壁の中に入りたいらしい。
大昔の戦争中とは違い今は鎖国をしているわけではないのでいくつかの門が存在している。
盛んではないが交流も続いている。この村とは関係ないですけどね。
個人的にはこのまま村まで持って帰って、いろいろしてみたいけど。もう、いろいろと。
村としては、このまま村の向こう側まで監視して、出て行ってもらうのが一番なんだろうけど、けどねぇ・・・
お昼過ぎ頃に村長と警備の人たちが到着した。