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私は精霊ではありませんよ   作者: lassh-leyline
第二章   閉ざされし森の賢者
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第三話   森の人《エルフ》

第三話   森の人エルフ


「おはようございます。お父さんいらっしゃいますか?」

・・・・

「どこに行かれたんでしょうかねえ。」

念のため庵の裏手の方へ回った見ると・・・


「なにいっておるんじゃ?あれに関してはわしの方が正しかったんじゃろ?」

「おおそうじゃ、あれはどうなっとったかの・・・うむ確かに。ではしばらくしたらなあ、うん入れてやるからまっとれ。かっ、かっ、かっ、かっ。」

 魔力感知をしてみたがなんの反応も無かった。

 何も無いところと話をしていた父がゆっくりとこちらを向いた。凍り付いた笑顔が怖かった。

「お父さん今から村に行きましょう。みんな心配していますから、早く準備して、さあ!」

「まて、わしはまだ耄碌しとらん!しとらんと言っておろうが!」

「はいはい、解っておりますから。子供たちも心配しておりますから早く支度して村に帰りましょうね。」

「ええい、ナオも何とか言ってくれ。」

 ・・・・・・

「うおい!」

「さあ行きますよ、お父さん」


 荷馬車に揺られる老賢者エルフ

どこからかあるメロディー(ドナドナ)が・・・・



「お義父様の具合はどうですか?」

「うむ噂道理の状態だった。」

 いつの頃からか父が独り言を言いながら森を徘徊していると噂が立ち、今朝確認してみたところどうやら真実であったようだ。

「もっと早く気づいてあげていたらそんな寂しいことに成らないでよかったのに・・・」

 さめざめと泣くメルル幼生体(幼児)から未成体(児童)ぐらいの子供に囲まれて昔話をしている誇らしげな父を見てもう一人にできないと思った。


 昼過ぎ頃森の外れに見知らぬ人間らしい女性が現れた。

 応対に出た守人の話によればフィリーに会わせろと言っているらしい。先にわたしが会うことにした。


「父に会いたいとおっしゃるのはあなたですか?」

『はい、あなたはタムローンですね。お名前はフィリーに聞きました。で、彼はどこですか?』

 少しくぐもったように聞こえるがきっちりとした精霊語である。

「言葉はどこで?}

『フィリーがしゃべっているのを聞いて解析しました。で、彼はどこですか?』

 魔力感知で魔法は発動していないのは解るが、どこか違和感がある。

 改めて確認してみる。 

 腰まである金髪水色の瞳、妖精族並みに整って見える容貌。これは左右のバランスが等しいから特に整って見えるんだな。

 さらに体型もほぼ左右対称に見える。いやに作り物じみている。

 年齢は成体(成人)であるが老いを感じない。だが動きに違和感がある。

 服装は簡易的なドレス足下が隠れるほどの丈だが汚れたり引っかけたような後も無い。

 日傘のような物を持ち静かにたたずんでいる。

 人の住む町や村なら違和感は無かろうが、森と一体になってる妖精の村ではまともに動ける格好では無い。

 それにその格好で森を抜けてきたとすれば驚異である。

「悪いがあなたを父に会わせるわけには行かない。」

『さすがにあの人の息子ね。結構な洞察力。だけどわたしはあの人に捕らわれているの。解放してもらわないと何もできないの。だから教えて、彼はどこですか?』

 お父さん何したんだ!しかしこんな胡散臭いやつを村にいれれるわけにはいかない。

「ならば父にきいてきます。会う会わないは父次第ですが。それでよろしいですか?」

『仕方ありませんね。ならば「森の館のナオ」が会いに来たとお伝えください。』



「お父さんいったい何があったのですか?」

「なんじゃ藪から棒に、わしは何もしとらんぞ。」

「じゃあ、あれ・・・いやあの方はなんなんですか?」

 違和感の原因がわかった。それは何も無かったことだ。

 本来あるはずの命の揺らめきやそれに伴う漏れ出る魔力、また、意思ある物特有の波動、話や視線による意識の動きなどが一切無かったのだ。

 幻影の類なら特有の魔力波動があるがそれすら無く、ただ存在だけはしっかりあり風が吹けば髪や服がたなびくし、足跡もちゃんと残っている。

「森の館のナオと仰る方がお父さんに会いたいといらっしゃいました。」

「なんと?どこにいらっしゃるのだ、すぐに案内してくれ。」

 道すがら問いただす。

「あの方はもしかして魔道師なのですか。」

「おう、もしかするとわし以上の大賢者じゃ。」

「・・・なにやらお怒りのようでしたが。」

「そういえば今日も行く約束をしておったのじゃった。いきなり連れ出されるから連絡すらしておらなんだ。」

 いそいそと先を急ぐ父を見てなにやら浮かれた物を感じて、

「お父さんとはどのようなご関係ですか?」

「む、いやただの茶飲み友達じゃ。転移に失敗して屋敷ごと森に放り出されたらしい。いろいろと不遇な生活をしておられたらしくてのう、いろいろと相談に乗ってやっておるんじゃ。」

 ちょっと嘘が混じってますね。もしや何らかの魔法で縛り付けて無理矢理あの女性を囲っているのでは?

 これは双方を交えて問いたださねば。場合によってはわたしの手で処分しなければならぬかも。

さすがに親子

善意と思い込みがクロスオーバーw

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