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私は精霊ではありませんよ   作者: lassh-leyline
第二章   閉ざされし森の賢者
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第二話   館の主

第二話   館の主

 


 こやつは何者じゃ?

 わしの聖域に進入してくるなんぞ、できるやつはこの百年無かったことじゃ。

 或いは屋敷の住人が残っておったということか。

 改めてナオとか名のった者を観察する。

 確かに姿形みためは妖精族の小翼種ピクシーに見えるが等身が微妙に大きい。

スタイル的には人族の少女か、わしと同じ妖精種(エルフ族)の亜成体ぐらいに見える。

 翼は見たことの無い形で昆虫の羽のようじゃ。

 明らかにおかしい。

 最も透けて見えておるから明らかに”仮幻影めくらまし”の類じゃろうから術者の作り出した合成品じゃろうが、バランスや整合性から見て作り物とは見えないぐらいじゃ。

「本当におしいのう、せめて本物を見たことがあれば、主ほどの力量、わしにも見破ることができんかったかもしれんのう。」

『なるほどこの世界のピクシーはこうでは無いと・・・実物を見てみたいですね。』

「そのうち紹介してやってもかまわんよ。」

『他意の無いことは理解してもらえたようですので改めまして。わたしは頭脳船ブレインシップ NN-7077 ナオと申します。わたし自身はこの船に接続された殻の中に居るため直接お話をすることはできません。そこはご容赦願います。』

「わしはフィリー・メソッドという。」

 そういうことか。魔力源として人そのものを船の中枢とすれば、一時的に空を飛ばせるぐらいの魔力は確保できる。そしてこのものは高名の賢者であったに違いあるまい。その力を持ってすればこの船ぐらいは自由自在に操れよう。

 人とはどこまでも俗な輩じゃ。

 同族じゃろうに優秀な賢者をあたかもただの道具のように船にしてしまうとは。

『なにやら興奮しておられるようですが、一つおねがいがあるのですが。』

「うむ、わしのできることなら言え、なんじゃ?」

『この船の乗員と連絡が取りたいのですが、何か方法は無いでしょうか?』

 恐らくそやつは監視役でもあったんだろう。

「良いじゃろう知り合いに聞いておいてやろう。そやつの特徴は?」

 先ほどの幻影から翼が消え髪の毛が銀色に変わる。そして人と変わらない大きさまで大きくなった。

 ふむ、まだ成体に成ってないのでは?こんな子供に監視役をやらせるとは・・・

『この子はナナと言います。わたしの孫になります。この船のチームで肉体担当ブローンです。』

 血縁者をあてがうなぞどこまでゲスなやつらじゃ。

「よかろうすぐに知り合いに話をして手配しておこう。」

 再び金髪に戻し、いや微妙に作りが違うところを見るとこちらはナオの本来の姿か、昔の。

じっとこちらを見ていたが、諦めたように

『何をそんなにお怒りなのかは解りませんが。なにとぞお願いします。孫の無事を確認したいのです。』

 どうやら感情や嘘を見抜くことができるらしい。思考までは読まれてはおらんようじゃが、今はわしの手の中じゃ。

 あんなゲスどもに返してはやらん。せめてわしが守ってやろう。そのためにもしばらくは聖域を解除するわけにはいかん。

「そのうち手がかりが掴めるじゃろう。まあその辺は焦ってもしょうがあるまい。それよりもわしはお前さんのことが知りたい。」

『あらあら、熱烈なアタックですわ。でもわたしの守りは堅いですわよ。』

「何、ゆっくりと攻略してやるわい。かっ、かっ、かっ、かっ。」

 おそらく精神支配系の魔法や催眠系の術で支配しておるのじゃろう。

 いきなり全部解いてしまっては精神が持つまい。少しづついらない物から解いていくことにしよう。

『ふふふ、何をお考えかは解りかねますが、未だわたしをおとせた殿方はいらっしゃいませんのよ。』

「それは、それは。先が楽しみじゃ。」

『ふ、ふ、ふ、ふ、ふ、ふ・・・・』

「かっ、かっ、かっ、かっ,かっ、かっ・・・・」

中途半端な情報で判断するとこうなりますよね。

善意の食い違いで話がこじれることはよくあることで。


挽回できると良いですねえ。

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