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私は精霊ではありませんよ   作者: lassh-leyline
第一章   空から墜ちてきたものは・・・・
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プロローグ~第一話 異形のモノ

宇宙船が出てくるのはまだまだ先です。

某小説世界と同様、人権問題や残酷な表現が含まれますが、作者本人の趣向考え方は作中より読み取ってください。

プロローグ


 夕暮れの農村

 赤く染まった田園風景その片隅に一人の老人が座っていた。

「おじいちゃん・・。もう日も暮れてきましたしそろそろ中に入りましょうか?」

「おお、そうじゃのう」

 息子の嫁に促されて寝ていたことに気づいた。

 孫たちも独立したり出稼ぎに出て行ったので、今はわしと嫁の二人っきりじゃ。

 妻も息子も何年か前に魔物に食われていまはおらん。


 椅子から立ち上がろうとしたとき、星がおちてきた。


第一話 異形のモノ


 星は遠くに見える、『壁の森』の中に落ちた。

 見ていたものの話では壁を突き抜けるようにして山の向こうに消えたらしい。

 この森にある見えざる壁は、人間とそのほかの獣人や亜人とを隔絶するために作られたとされる壁で太古の魔法と伝えられている。

 壁のこちら側は度重なる飢饉やどこからか紛れ込んでくる魔物により荒れ地となっているが向こう側は鬱蒼とした森が続いていた。


 大きな街道からも遠く、よそから来るのは壁沿いに迂回してくる魔物ぐらいしかいないこの村で唯一の自慢は、数キロ先まで見通せる監視塔だ。

 壁ができる前は一番の激戦地帯だったらしく、その名残を補修して今でも現役で使っている。

 塔の守り役の家族が移り住んだのがこの村の始まりである。

 最も壁ができたおかげで忘れられて棄てられた村である。


 村長の指示で、村の見回りを強化したが、しばらくは何事も起こらなかった。



 数日後


 今日で3回目の見回りだけど、日頃このあたりまで来ないので、みんなで山菜や食べれるものを採って帰ろうってはなしになりました。

「こっちにエルの葉が沢山あるよ~」

「あんまり採りすぎるんじゃないよ!次に来たときにとれなくなっちまうよ。」

「うん、わかってるよ~」

「場所覚えときなさいよ必要になったら取りに来るんだから。」

「うん!」

「やれやれ、もうそろそろ警戒といてくれないと家の仕事がたまってきてるし、畑の方も取りかからないと。」

「ほんとよねえ、うちはまだシンディもいるから何とかなってるけど、マールさんとことか大変そうだし。」

「おい、シンディ!あんまり遠くまで行くんじゃない!あれでも狼や熊ぐらいは出るかもしんないからね。」

「はーい!」


 結構いろんなのが生えてる。このテコテコは熱冷ましになるし、こっちのルイネは甘くておいしい。

 しゃがんで引き抜こうとしたら、頭の上を何かが通り過ぎた。

見上げると茶色くて大きな狼の口が閉じられたところでした。

 あ、これって餓狼っていう魔物だ。

 中くらいの魔物で私ぐらいは二口ぐらいで食べちゃうやつだ。おじいちゃんもこいつに食べられちゃったっておばあちゃんが言ってた。

 よだれが顔にかかって気持ち悪い、臭い。後ろから悲鳴が上がったけど何を言ってるのかわかんないや。

 魔獣の口の中って普通の犬と変わらないんだ・・・・


 大きな茂みをかき分けていた少女に声をかけたカレンさんが息をのむのに気づいて、皆、そちらに目を向けた。

 大きな口が閉じるところだった。


「シンディー!!」

 その声で呪縛が解ける。

「おまえたち!すぐに村に帰れ!知らせるんだ!のろしを忘れんじゃないよ!ジル、マリー!ココナを連れて行け!!あたしが時間を稼ぐ!!」

 

 飛び出そうとした少女の姉を、彼女の震える手が捕まえたとき、爆音があたりを包んだ。

 

 餓狼が再度少女に向かって口を開いたとき、頭が爆散した。


 衝撃で魔物の体は大量の血を噴きながら倒れ付し、少女も地面に倒れた。

 


 急に目の前が明るくなって何かがはじける音とともに見えないものが覆い被さるようにぶつかってきた。

 え、今のなに?とっても熱い風?

 誰かが駆け寄ってきて抱きかかえられたとき、初めて草の上に倒れていたことに気がついた。

 聞いたことのない、きれいな声で知らない音律の音を奏でるのは・・・・



 痙攣する四肢の立てる音のみに支配される中、まるで横から獲物をかっさらおうとするかのように異形のものが少女に掴みかかった。

 

 少女の上げた悲鳴でまた場が動き出した。

 暴れる少女とさらに押さえ込もうとする異形。

 そこへ姉が飛び込んで少女を奪還し、村の女性たちとともに警戒しつつ距離をとる。

 怯えて震える少女たちをかばうようにリーダーのカレンが進み出る。

 

 こいつは人族なんだろうか?それとも人型かそのたぐいの魔物? 

 両手をあげてじっとしているそれは、一見小柄な女性のようだが、光沢のある皮膚はまるでは虫類のような皺があり、細かな模様や突起が至る所につきだし、頭には何本かツノがあり凹凸のない顔は大きな口かそれに見える模様だけで目も鼻もない。

 さっきは見たこともない魔法をつかったが今の格好も何らかの魔法の前技か?


「あぅ、(こほん)、おまえは何もんだ?ここで何をしている?」


 ・・・・・沈黙が流れた。

もう一度声をかけようとしたとき、

『****、+--+++:;***;___』

不思議な声が流れた。

怯える女性たち。

ゆっくりと手を下ろしあごの辺りに手を当てると、いきなり口を開けて中を見せた。


そこには自分たちと同じ人の顔があった。とても美しくまるで貴族のお姫様のような整った顔立ち。

そこで初めてこれが武装した人であると理解できた。

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