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第六話 男の戦い死なぬが勝ち。



目の前に、広がる光景に絶望した。

煙が周囲に吹きつけられ、圧倒的な力が、俺の前に出てくる。

甲斐犬親。

そいつは俺の目の前に居た。

左手で二槍を纏め、右手であるモノを担いでいる。

ボロ雑巾のようになった人を。


一目で分かった。

顎が外れるかと思った。

賢人も、不動も、驚愕を隠せていない。

改造制服の筋肉質な体。

人並みより少し程大きい体。

それを容易く片手で、持ち上げていた。


「佐々木…………?」


嘘だ。

さっきまで、甲斐犬親と大立ち回りをしていたじゃないか。

甲斐の一撃を避け、周囲に群がる生徒を圧倒的な力で凪いでいたじゃないか。


甲斐は、獰猛な顔つきで、にやりと笑った。


「佐々木小次郎。確かに、強者だったぜ。だが、これぐらいの実力で俺と一騎打ちするのは、蛮勇だったな。」


それを見て、身震いした。

そこらの万夫とは格が違う。

佐々木小次郎も確かな腕を持つ猛者だ、それを打倒した挙句、余裕すら見せているのだ。

正直言って、一人で行きたい。

格好つけて、それで倒せれば万々歳だ。

だが…俺の実力では、無理だ。精精、俺の実力は佐々木より少し強いぐらいだ。

仲間は、大事だ。

俺は、俺らは、一人じゃ戦えないから仲間を作るんだ。



だから俺は、


「賢人。一緒にやるぞ。」


賢人に声をかける。すると、


「無論。不動、頼んだぞ。」


賢人は不動の肩を叩いた。

不動は唯、無言で頷く。俺はそれを見て安心する。


「久しぶりの共同戦線だな、賢人!」


「ああ、もう三年も張っていないな。懐かしい…。」


賢人も俺の問い掛けに応える。

その言葉を聞くだけで安心感が体を駆け巡り、隣で余裕の表情を見せている賢人に絶大な信頼を得る。


「では、」


「武藤賢人!」


「火村無命!」


「参るっ!!」


掛け声を掛け、俺たちは爆ぜる。

それに槍の穂先を向け、甲斐も力のあらん限り、叫ぶ。


「甲斐犬親!参る!」


奴の足元が爆ぜる。人外魔境がよくやる秘技の一つ、縮地で奴は距離を詰めていく。賢人も同じような技を使って距離を詰める。

最初は、我が軍屈指の実力者との対決のようだ。頑張れ、甲斐犬親よ。


ガキンッ!


刃引きもされてない、どう考えても銃刀法違反です本当に有難うございましたレベルの槍に臆せずに木刀で鍔迫つばぜる賢人に対して奴は右手の槍で対抗する。

猛禽のように引き締まられた奴の右腕の筋肉が躍動する。奴め化け物か!片手で賢人の金剛より強い筋力に対抗するって!おい!不動の専売特許だろ!返せ!……すいません調子乗りました。

もう一度、目を凝らして観察する。

ぎりぎり…と互いに隙を探している…いや、探しているのは甲斐だけだ、賢人は唯、隙を見せないようにしているだけ。


にやり、俺はほくそ笑んだ。某新世界の神になろうとした人のように。


…俺はそこを狙う。

卑怯かもしれないけどこれって現実なのよね。勝てばいいんだよ。

躊躇いなく賢人の後ろから奴の股間めがけ右手の木刀で突いた。


ヒュッ!


風切り音と共に、音も無く突いた俺の木刀が横に逸らされる。


俺は内心臍を噛んだ。奴は二槍使いだし、頭も良い、それなりの準備はしていると思って当然なのに。

自分の浅慮に脱帽した。自分のバカさ加減に頭を痛めた。

しかも逸らした木刀に沿って左手の槍でカウンターをしてきやがった。

右手で鍔迫りをして左手で攻撃を弾いてカウンター。


おい、神業すぎるだろ。

どういうこっちゃ。


まぁいい、さっきのは偶然だ。今度は!


「賢人!あれやるぞ!」


「あい分かった!」


………あれの正体分かったの?俺分からないんだけど。


「うぉおおおおお!!」


とりあえず煙幕を投げて煙の中から槍に負けず劣らずの突きを三発。大まかな場所しか分からないため急所は狙えなかったが、それでもいい。

賢人もどうやら合わせてくれたようだ。弾かれた音が4回したもの………え?


両手で槍のように木刀を持ち、三発適当に突いた。流石にそれは防げるだろう、二槍使えばの話だが。

だが同時に4発だ、しかも内一発は突きと頭上からの唐竹割りその後間髪入れずもう一発の突きだ。


それを全て弾いた。


鳥肌は立たなかった。

もうどうしようもない。


甲斐犬親────────正しく最強だ。


最良の判断を下さなければ此処で俺らは負け、勇者どもに捕まり、死刑になるだろう。

此処は一度………


「賢人!今の俺らじゃ勝てない!退くぞ!」


「だが!」


渋る賢人の腕をつかんで無理やり退く。

甲斐はその間何もしなかった。逃げる相手は切らぬ性格のなのか、今はそれすらどうでもいい。


「不動!退路を開け!新道!援護!頼んだ!」


悔しさに顔を歪ませる賢人を引きずりながら、俺らは撤退した。

不動も佐々木を担いで後ろからついてくる。



これが初めての俺らの敗北だった。






________________4階屋上階段前



いつもの場所まで俺らは退却してきた。何故かわからないが此処には奴らは来ないからだ。

中央に拾ってきたちゃぶ台を置いてその周りをメンバーが囲む。要するに円卓会議だ。

佐々木も既に復活済みだ。賢人も大丈夫なはず。

………さて、



「今回は我々の敗北だ。その要因を考えるべきだ。新道、どう思う。」


「無命がチキンで足を引っ張ったからだとおもいます。無命殿。」


「喧嘩売ってんのか?」


「いいえ!売ってないですチキンざ無命殿!」


「上等だ表出ろ!」


新道のイラつく態度に俺は切れる。フハハハ、男を舐めるな。胸ぐらをつかんで新道をぶんぶん振る。


「…………………やめろ。俺らは経験が足らないんだ。」


新道が泡を吹き始めたら不動が口を開いた。

……その言葉には一理ある。

周囲のメンバーもそのとおりだ的な空気を出している。


「………無命。シキという奴が居るって言ったな?」


不動の言葉で俺は不動の含んだ意味に気付いた。


「ああ、だがな、不動。奴らは俺らの命を獲りに来るんだ。生半可な気持ちで戦おうとか言うなよ?」


だが不動の提案は妙案だ。命を賭けて戦う経験などそう無いだろう。甲斐も無いはずだ。そこで差を埋めればいい。


「おい、俺に命を賭けろ、そう言っているのか?」


佐々木が不機嫌そうにそう言った。

というか不機嫌だ。確かにな…甲斐との戦いでは散々だったし。


「別に命を賭けろとは言ってない。唯手っ取り早く強くなる方法は其れぐらいしか無いだろ。」


なんか俺賛成的な意見出しちゃった。俺賛成じゃないんだけど。つか此処で否定を言ったらどうなるんだ?




「別に、賛成ってわけじゃないんだからね!」




あちゃー、ツンデレになっちまう。そいつは駄目だな。だから俺は口を噤もう。

佐々木も今回の戦いで強くなろうと思っていたのか、渋々引き下がった。いいのかよ、命を賭けるんだぞ!?


「僕は賛成ですよ。それに死鬼ってやつに実弾ぶち込みたいですし、強くなりたいですし、ぶち込みたいだけですし。」


「大事なことだから二回言ったんだな?そうだな?だったらいいんだ。」


なんか言っちゃった。自然に口が開いちゃった、てへ☆


キモイな。



まぁいい。



「とりあえず、賢人、どう思う。」


最後まで口を開かなかった賢人に問う。

これによって変わる、多分。


「俺は賛成だ。何分、不動の言うとおり、経験が足らぬからな。」


賢人の言葉で、今日の夜。

死鬼との戦いが始まることになった。

はい、というわけで次回!

死鬼との戦い始まるぜ!

ウィーアーバトルジャンキー!!

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