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第五話 死鬼抵抗戦線のお知らせ

と言っても、まだ二人?ですけどw




無言で帰宅。

家の門をくぐって一軒家の家に入る。

薄汚れた自分の部屋に入って疲れきった体をベットに放り投げる。


いや~疲れた。

それに体も痛い。


こういうのはさっさと寝るしかない。



そう、自分に言い聞かせて俺は午後六時に就寝した。








その夜。




物音に気付いて、俺は目を覚ました。






「ん?親父か?」


最初は、寝ぼけていて帰ってこない親父かと思った。

だが、月明かりに照らされた人影はそれとは全く異なっていた。

親父はどちらかと言えばひょろりとした感じだ。


だが、こいつは違う。肩幅は広い。筋骨隆々、というべきか。

そして、一番異なっていたのが、


光が照らした狂人の目であった。



「っ!?」


息を詰まらせた。恐怖で足が竦む。

奥歯は反復運動を上下に繰り返すのみ。


だんだん、近づいてくる。

相手は無手、此方はいつもの護身用の短刀。

だが、恐怖は拭えなかった。

時刻は夜中を超え、二時に迫っている。

時計の針の音をかき消す、足音。

             殺される。



もう、間合いに入り込まれていた。

枯れ切った殺人者のようで、光を失った瞳がぎょろりと俺を見る。


そして、喉から声を出した。


「■■■■■■■■■■っっっっっ!!!!!!!!!」


音にしかなりえない声を上げ、目の前の奴は飛び掛ってくる。

あの夢みたいな現実とは違う。

あっという間に押し倒される。


吐息が顔にかかる。

腐った匂いが鼻をつく。


木の枝のような腕が、喉を押さえ、俺を殺そうとする。

それを、ようやく弛緩し始めた腕で懸命にどけようとした。


だが、人にはありえぬ力が、こいつにはあった。

万力のような力が、倒れた俺の首を掴み、持ち上げる。


「ぐ、が、」


搾り出した声すら、情けなかった。


結局、俺は死ぬのか。

いいや、前のようには行かせない。

二度と死んでたまるか。

前は不意を突かれた、今度は真正面から殺される。


そんな事、させない。


左手は奴から伸びる首もとの手に、右手は懐から出した短刀を持って、




奴の腕を一閃する。


紅い煌きと共に、腕から開放される。

すんなりと、奴の腕は切れた。


「■■■■■■■■■■____________ッ!!!!」


呻き声を上げ、奴はバックステップで距離を取る。

俺も俺で短刀にこびりついた血を振って落とす。


さぁ、ここからが本番だ。

奴の力は絶大、まず敵わない。

だが、奴は頭が逝ってるようだ、思考能力は皆無。


それを突く。



だが、短刀一本じゃ心もとない、幸い、地下室に行けば武器になるものは山ほどある。

此処を脱出して、タンスを横にずらす時間が欲しい。

時間稼ぎを出来るような攻撃方法は______。





周囲を見回す。

役に立つ物、役に立つ物。

今此処で必要なのは____!!!



「■■■■■■■■っっっっっ!!!!!」


コンセントにつながっていた照明器具のコードを繋げたまま本体から引っこ抜く。

さて、次にベットのシーツ。

準備は完了。ちょっと足りないがいいだろう。


準備中に飛び掛ってきた奴にシーツをかける。

本能なのか、もがくが生憎、脱出の時間はやらん。

コードをシーツにつければあら完成。


「■■■■■■■■■■■■__________ッ!!!!!」


電気は筋肉を弛緩させる。

奴は力なく、倒れる…だが、確実に生きている。右腕を切り落とされて尚動く生命力を考えろ、油断はしちゃいけない。

そっと奴の横を通り、扉から出ようとするが。



「マテ。」


右足を左手で掴まれる。

ぞっとするような冷たさ。死人としか思えない。

必死に手を振り払おうとする。だが、やはり力が違う。足を引っ張られ、バランスを崩して倒れてしまう。

さっき電気をモロに食らった人間とは思えぬ力だ。いや、こいつは人間じゃないだろう、無命。こいつは学校であの女に言われた野郎だろう。


「死鬼……」


短く、言葉を発する。

すると何故か手の力が弱まる。これはチャンスだ、二度と逃せない。

掴まれた右足を地につけ、左足で力いっぱい死鬼の顔を蹴り飛ばす。


がこんっ!


鈍い音と共に死鬼が吹っ飛ばされる、狭い部屋の中でこれ以上は戦えない。さっさと逃げよう。

俺は扉を開け、外に飛び出す。

廊下を走り、障子で囲まれた一室に飛び込む。


「良い判断よ。あのままじゃどうせ死んでた。」


障子を開けた横に今日の女がいた。ついでに話しかけられた。


「今忙しいんだ。後にしてくれ。」


水琴に背を向けて母の仏壇をどかし、後ろにある扉を開ける。

あまり奥にはいかない、行ったことがないからだ。

すぐに目的の物は見つかった。


「へえ、貴方の家は武装が多いのね。」


「これ以外はガラクタだ。」


「一般の家に比べればねぇ~。まぁ、慌てないで。死鬼が此処に来るまでの時間、私と話しましょ。」


左手に無銘の日本刀。短刀は鞘に収めて懐に入れる。少し観察をしよう。こいつの言葉はあんまり信じられないから油断はしない。


相変わらず、変わらない黒服に身を包み、白銀の髪をそのままに伸ばしている。

変わったところは腰に何かを装着しているぐらいか。


「なぁ、それなんだ?」


腰についているなにかを指さして言う。


「これ?銃弾を細工した銃よ。安心しなさい、一般人には傷つけられないから。」


とりあえず頭がオカシイことを再確認した。やっぱこいつ駄目だ。

厨二病乙だ、一般人に傷をつけることができないって…どこの厨二装備だ。

やれやれ、と体で表し表情で胡散臭そうに見てみる俺。やっぱ睨まれる。キッ、て睨まれた。


「貴方ねえ…まぁいいわ。今日、どうせ寝たでしょ。」


ガンガンガンッ!


郵便やさんが来た。


ガンガンガンッッ!


しつこいなコイツ。五月蝿いぞ。


「気にしないで、破ることなんてそうできないわ。ほら、答えは?」


先を促されたので答える。

はい、と答えたら嘆息された。

顔に出ていたのだろう、説明された。

曰く、おまじないらしき物をかけた、と。

起きていれば、聞き続ける。

但し、寝ている状態で接近されたらそれは壊され、容易く殺されてしまうらしい。



ふーん。





おい、説明先にしとけよ。俺死にかけたぞ。


「黙りなさい。言ったところで信じなかったでしょ。」


確かに…。


「さて、もう一つ、答えてもらいましょうか。あなたがさっきした一丁前な短刀による切断攻撃。あれ、誰から習ったの?」


「母さんだ。」


「その人は、生きているの?」


「死んだ。俺が高一になって最初の誕生日に。」


「なら、世界は最強の一角を担う人材を失ったってことね。残念だわ。」


「化け物扱いするな。」


「次、その短刀どうしたの?」


…………はぁ。


「親父から貰った。」


「貴方の家系…化け物ね。」


「もういいか?」


いい加減いらついてきた。なんだこいつは。俺の過去をあれこれと。


「まだよ。聞きたいことが沢山あるもの。」


………………ちっ。


「いい加減にしろよ!なんだお前は!俺の過去で何を知るつもりなんだよ!唯の平凡な家庭だった!親は馬鹿だったから誕生日に遊園地連れてってやるなんて言いやがった!」


そうだ、あの日母さんが死んだ。


「断るのも悪かったから行った!したら親共々どっかに行った!親父だけが帰ってきた!右手には血だらけで、左手にこの短刀を持ってな!」


親父は泣いていた。

なぜだかは分からない、が、母さんが死んだって咽びながら言ってきた。


目の前の女はただ呆然と話を聞くだけだった。


「親父は言った!此れを貰えと、葬式の日には行かなかった。親父がめた。………葬式が終わって、疲れきった表情で親父が帰ってきた。


その翌日、親父は行方不明になった。



なぁ!お前はこの話を聞いて何を知るんだ!何を考えるんだ!人一人の過去を、なんだと思ってるんだよ…。」


膝に力が入らない。相変わらず障子は音を鳴らしていた。

水琴は何も言わず佇んでいた。

そして、無造作に扉を撃ちぬいた。

乾いた撃鉄の音によって障子の外は沈黙した。


「ごめんなさい。そんなつもりじゃなかったの。」


水琴は、泣きそうな表情でそう言った。拳銃を握る手すら震えていた。


「ごめん。」


それをみて、俺はただ、謝ることしかできなかった。

女性の経験を多くするべきだな、なんて思った。




障子を開けると一目散に水琴が外に出る。

そのまま玄関に向かい外に出てしまう。

俺は勿論、追いかけた。



直ぐに水琴は見つかった。

近寄っていくと、水琴は顔を上げた。


「ごめんなさい。じゃあね。」


それだけを言って、水琴は俺に背を向け走りだした。

逃走を開始したのだ。

俺はその背を見て追いかける。

けれど、その足も直ぐに止まる。


「どうした?無命。こんな夜明けに会うなど、奇妙な縁だ。」


賢人が公園の入口で本物の日本刀を持って飄々と佇んでいたからだ。

出て行く水琴をちらりとみて、賢人は溜息をついた。


女子おなごを泣かすな。男の器が知れる。」


「お前には言われたくないね。何人泣かせた。」


「ふむ、数えておらぬ。」


イタチごっこになりそうな予感が頭の中でキュピーンとなったので、話題を変えてやる。


「なんで日本刀持ってんだ?しかも本物。」


「なぁに、朝方目を覚ましてな。暇であったから俗物を切り殺しただけよ。」


「暇で切り殺すって、まぁ暇ならしょうがな…くねえな。なんで殺してんだよぉおおおおおおおお!!!おかしいだろ!それ!!」


驚愕の真実に声が裏返ってしまった。なにを言ってんだこいつ?人を殺した?その手で?


「なに、俗物は怪生の類よ。殺してしまっても構わんのだろう?」


「怪生…?そいつ、人間じゃないのか!?」


「人の形は辛うじて保っていた。が、右手が変化していた。あれはなかなかの業物よ。俺の木刀を両断とは…なに、殺したら消えた。」


殺したら…消えた?そういえば、俺の家に来た奴も水琴が殺したら無くなっていた。殺せば消えるのか?


「そいつは、なにか喋ったか?」


「ふむ、なにか音を発していたが、亡者の戯言であろうと聞き流していたわ。そして、無命。お前、なにか知っておるであろう。話せ。」


やっぱり、気づかれていた。こいつが、俺になにか大事なことを話すときはそれに準ずるなにかを知りたいから。計算を間違った…。こいつは、こっちに来てはいけないのに。


「………そいつは、死鬼っていう化け物だ。恐らく、まだ居る筈だ。まぁ、知り合いから聞いた話だけどな、人外の力と、能力を持ってるみたいだ。」


「ふむ、道理で畜生にしてはやり手と思ったわ。なに、お前と俺、力を合わせれば、シキ如き楽勝であろう。」


自信有り気な表情で、俺を一瞥してくる。右手で握った刀を肩に載せ、左目を閉じた表情でだ。確かに、賢人の力があれば、死鬼の一人や二人は楽勝。




なんか、目的もわからないが、死鬼と戦う準備は出来ているようだ。









意味わからないが、死鬼抵抗戦線結成のお知らせ。




長かったですが、許してください。

分ける所が見つからなかったんです。

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