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第三話 フドウとコジローとユータと勇者《バカ》

三話目ですのでもっと酷く!もっとやばく!

書き方帰るぜ!

________4時限目





「これが…地獄か…」


草木も燃え盛る猛暑の中、持久走という馬鹿な事を考えついた体育教師に呪いを送った

彼…火村無命ひむらむめいは本来ならばこんな授業なぞ出ない

だが、出ているのには理由があるが…割愛する

そして、隣に並びたって持久走の地獄を味わっているのは彼ら…武藤賢人むとうけんと不動凌太ふどうりょうたという

一人は役者のように整った顔立ちにむかし懐かし江戸の侍の様な髪型をしていた

もう一人はがたいがよく、獰猛な顔立ちの中に潜む優しさがにじみ出ている、髪型はオールバックにしていた


「流石の筋肉も…15周目に成れば疲労してくるか…」


「15周もしたのかよ…元気だなおい」


「右に同じだ…不動…天晴だ」


周囲の生徒は立派すぎるほど、持久走に熱を入れていた

おかげで彼らは退屈を持て余していた


「おい、賢人。なんかやれ」


「ごめん、無理」


「不動、やれ」


「任せろ」


不動が巨体を揺らし、武藤の顔を掴む


「ぬおぉ!流石筋肉マスター…抵抗もままならぬ…」


「ぬん!」


「みぎゃあああああああああああああああああ!!!」



悲鳴を無視して走る無命の耳に授業終了のチャイムが飛び込む

それを聞いて、彼はさっさと校舎に足を向けた


「授業終わったし帰るな、俺」


「お前がやれって言ったんだろう!」


さっきまで瀕死だった賢人がわりとまじで切れた



____________昼休み、屋上階段前




暗闇が、辺りを包んでいた

歴戦の勇者バカの侵攻を阻むこと二日目のダンボール城壁もどこか異様な空気を出していた



「………………さて、この時間が来た…。」


火村はどこか囁くようにこう言い放った


「無命…?お前…何言ってるのだ?」


それにいち早く反応したのは賢人だった、困惑に声を震わせ顔は動揺に染まっていた


「昨日は、辛くも俺らが勝った。だが、今回はかなりの強敵がいる。」


「無命…、はは、お前何言ってるのだ。こっちには筋肉マスター不動明王神こと不動凌太が居るんだぞ?それに対抗出来る奴なんて…それこそ限られてく…る、まさか!」


途中、その言葉の不条理に気付いたのか、声を最後まで言えずすぼませる


「………俺に…対抗出来る奴の中から、今回参加する奴はこの二人だ。」


のしり、と闇から出てきた大木のような手足を持つ、狂える戦士こと不動凌太が言葉を発する


「ふっ、普段無口だが戦闘になると狂う戦士が口を開くのだ…限りなく…俺らは追い詰められている。」


鋼鉄の要塞気取りのダンボール壁が階段を区切るように塞いでいる

ここが、彼らの作戦室だ


「一人は名高い剣士…全国優勝を小学3年生から連続で9回続けている猛者…佐々木小次郎ささきこじろうだ。」


空気は…変わった…余裕の空気が流れてた

それを察してか、賢人が明るい表情で口を開いた


「ふむ…惜しいよなぁ…佐々木の性で生まれたから小次郎なのだろう。宮本で生まれれば武蔵であっただろう。」


賢人が一人で頷いているのを横目で無命は流し見て黙らせろと不動に送る


「むん!」


「みきゃっ!」



「さて、もう一人は取り柄がありすぎて逆に無いことにされている器用貧乏の新道裕太しんどうゆうただ。」


………


「反応ぐらいしろ。不動、起こせ」


「ぬん!」


「ハンブラビ法典!目には目をなにはなにを!」


「さて、この二人を捕獲し、尚且つ此方に引きこみーの挙句に勝つ。」


「無理。」




「(ぽきゅっ!)………ふう、さっさと出陣だ。」


「了解だ」


ずるずると巨人が引きずる人形はボロ雑巾のようになっていた





_________四階廊下





「居たぞ!火村、武藤…不味い!不動も居るぞ!」


「仲間に引き込んだってことか!」


「どうすんだよ!」


「こうすんだよ!」


「意味わかんねえよ!意味わかんねえよ!!」


廊下に飛び出た瞬間、馬鹿共は混乱し始めた

そのまんま指揮官を失った軍勢、昨日は戦闘狂バトルジャンキーの指揮によってあの練度を保っていたのだろう、幸いなことに佐々木も新道も指揮の才能はない

しかもそのどちらも居ない


「なぁ、賢人…この学校…毎日戦争起きてるけど良いのか?」


「フリーダムが校訓だから…というわけだ。」


「なぁ、賢人…相手、銃持ってるけど。」


「フリーダムだから…というわけだ」


同じ事ばっか言っている賢人に飽きたのか、無命は迫る軍勢を見てから側に居る巨漢に話しかける


「エアガンといえど、痛いのは確かだ…不動、賢人をあの中に放り込め!あいつも剣道を嗜んでいる!」


「任せろ」


その水に大きな石を放り投げたように響く声が鳴らされると同時に厳つい腕が賢人の腕を掴む


「のわっ!」


大木のように太い腕が賢人を振り回す

そして


「おるぁっ!!」


勢い良く放り投げた

女子トイレに










「きゃぁーーーーーーーー!!!」


「任せなさい、それっ!」


響く女子高生の声とトイレに潜む魔人の声

周囲に瘴気をまき散らしながら、彼女は賢人に一撃を加える



ドゴォッ!


攻撃の正体は飛んでくる体を反転させ、頭から地面に落とすキン肉バスターだ

意味不明な威力を誇る一撃を受け、満身創痍の賢人がふらふらとトイレから出てくる

ゾンビの様になった賢人を見て無命は不動明王神に声をかける


「賢人がこんな傷だらけになっただと………捨てておけ、足止めにはなるだろ」


「無命…おぬし…悪よのぉ」


それを聞いてか、軍勢の前に放置されながら悪鬼の表情で無命を睨む賢人


ドドドドドドドドドドドッッッ!!


「不動、退却するぞ!」


「■■■■■■■■──────ッ!!!!!」




巨人と無敵は逃走を始める

………ここで、寝っ転がる賢人にもやることがある



すくっと何事もなかったかのように立ち上がる


「此処から先は…本気で通さぬ」


いつの間にか出した木刀を握り締め…鬼神の形相で仁王立ちする


目的は一つ



「火村は俺が殺すのだ!!」




「ちぃ!やつもか!数で行け!!」


「「「「「「うぉおおおおおおおおおおおおおっっ!!!!」」」」」」」




廊下に、人が飛んでいるという現象が、真しなやかに女子の間に歌われた

武藤賢人、去年全国一位・・・・の実力は本当であった








______________一階体育館



体育館につながる唯一の廊下を駆け抜けて扉を勢い良く蹴り破る


「頼もう!」


上履きの靴底に放たれる1,2mmの物体


ダダダダダダダダダダダッ!!!


機関銃(エアガンです☆)の掃射が火村無命と不動凌太の行く手を塞ぐ



そして、撃った張本人こそが新道裕太だった



「ようこそ…この場所へ…ここが…私の領域です!」


それを聞いて、二人は辿り着いた場所を見回して、

………広がる板張りの床、輝くライト、吊るされた模造刀

もう一度よく見なおして


「おもっクソ体育館だけど、うぉ!?」



「あはははははっ!そーれ、次行きますよ~」


「当たったら死ぬ!危険な匂いしかしない!!」


宣言したとおり、新道の右手からある物が放り投げられる

その物体が


「手榴弾!?新道!お前の血は何色だぁ!!!」


「多分赤。うん、確かめてみようか。」


「■■■■■■■───────ッ!!!!」


投げられた物体に向かって走りだす、巨体

大木のような右腕が、手榴弾に向けられる


「不動!何するつもりだ!?」


「行くぜぇ!おるぁ!」


そして、掴んだ手榴弾を逆に放り返した

いや、投げ返した

天井に向けて


ドゴォォォォォォォォンッッッ!!!


体育館が大きく揺れる

そして


体育館の天井に設置してあった模造刀が一気に落ちる

そして


最初に落ちてきた模造刀を逆手に掴み、近くに落ちてきた模造刀に叩きつけた

結果は明白、勢い良く飛んでゆく


新道に切っ先を向けて最初の先陣を斬る刀がどこまでも早く飛んでいった


「いいねぇ!それでこそこの学校に入った価値がある!仕掛けはこんなもんじゃ無いけどね!」


「てめえも物一つ当たっただけで泣きべそ掻くな、よ!」


無口な時とは一変して口調が荒くなる不動は更に剣を弾き続ける

先陣を駆ける剣を皮切りに数十の剣が新道に向けて放たれる


「行くよ~。そーれ!」


それを迎え撃つのは右手に機関銃、左に西洋の剣という凶悪な武装で新道は立つ


ダダダダダダダダダダダダダッッッッッッ!!!!!!!!


「そうは問屋がおろさねえ!」


最後に降り注いだ巨大な剣を担ぎ、たたき落とされ続ける模造刀を踏み越えて、新道に肉薄する


「いいよぉ!来な!!」


新道も決着を望むのだろう、機関銃を放り投げ、左手の剣で最後に向かってくる剣を叩き落としそれを右手に掴み地を蹴る

激突の瞬間、光が輝いた







「俺空気じゃん…武藤助けにいくか…」



体育館の入口でぽつんとしていた無命は背を向けて剣戟響く体育館を後にした






___________二階廊下





「ふぅ…どうなってんだよ…」


体育館からダッシュで来た無命だが行く先を阻む大きな石が階段の前に置かれていた

それに近寄りぺたぺたと触り感触を確かめる

その上で、結論を一人口にした


「本物だよこれ…」


威容も確かに階段に鎮座する岩を見上げて遠回りだが迂回するか…いや、壊すか。と結論づけた時、彼に一撃で命を取る無音瞬殺の一撃が放たれた


「ッ!」


されど、第六感が反応した

もはや彼の第六感が体を動かしたかのように、時間差タイムラグが一切無い回避の動きが取られる


廊下にささった物、それは人の腕であった

もちろん、繋がっている、だが、色が異様だった


漆黒


何処迄も黎く、全身が黒の不審者と彼は相対した



「誰だ…?お前」


周囲には、誰一人存在しなかった


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