第二話 ケントとリンと学園と
ども、twiceです!
第二話目ですので残念です
気を付けてください!
ジージージーと梅雨が明けた真っ青な空に蝉の鳴き声が響く
今日も活発に活動している太陽が彼…火村無名は憎らしい
頭を焼き尽くし、将来に絶望の影を翳らせるような紫外線を避けるようにして通学路の影に入る
通学路といっても周囲に学生は居ない
当然といえば当然だ
なにせ時間帯が違う、今は丁度3時限目が終わった頃だ
何故こんな遅い時間に登校…というのはまぁ色々理由があるから割愛する
後ろからなぜかいつも同じ坂を上るあたりで彼の友人である武藤賢人が後ろからすたすたと追いついてくる
「よう」
「うむ、誠に今日は暑いな」
「相変わらずイラつくな」
「そう言うな」
陽炎が華麗にダンスしている坂を上り終えるとすぐ目の前に新築同然の校舎が視界に飛び込んでくる
二人並んで校門のすぐ前に立つ
何故そこで止まるのか…理由がある
「今日も遅刻ね…火村、武藤」
「五月蝿い、俺の勝手だろ。つか授業どうした」
「その通りだぞ、生徒会長…いいや、相川凛」
校門の影から現れたのは黒髪ポニーテールの眼鏡美少女生徒会長の名を欲しいままにした生きる伝説が彼女だ
「五月蝿いわね!あんたらのためにさぼってあげているのよ!感謝なさい!」
「いや、さぼりの口実に俺らを使うなよ。わかってるんだぞ、お前が不良なのも」
「俺の事が気になってしまうのはよおく分かるが…溢れる気持ちを律せなければ真の女性とは言えないぞ」
そう言いはなって男二人は目を合わせる
「今日は抜かせないわ…私が今日こそ勝つ!」
「おい、目的変わってるぞ」
つい無名が突っ込むが、彼の革靴はこげたゴムの匂いを残し爆ぜた
「じゃあな!」
校門の右側の塀に飛び乗り、生徒会長を残して二人は逃走を始めた
________昼休み
「これが…生徒会の力か…」
「賢人…お前結構体力あるのな」
屋上に行く階段に座り込み、無命はコーラを、賢人は(無理もないこんな味を飲む奴が居るのかヒーハー味)という缶コーヒーを飲んでいた
首筋には汗の雫がふたりとも出来ていた
是非もない
彼らは昼休みが始まった瞬間、廊下に飛び出たのだ
そして
「火村と武藤を捕らえろ!我らが生徒会長を侮辱したぞ!!」
「なにぃ!!!!!!!!」←クラスの男全員
「賢人!3-Cの連中が謀反だ!」
「それどころか校内全員の男全員が反逆したぞ!」
「「「「「「「「「我らが生徒会長を侮辱した奴らに死の鉄槌を!」」」」」」」」」
鬼気迫る形相で男達は無命と賢人に迫る
「脱出するぞ!」
「これが…戦争ということか…」
「犠牲にするか」
「やめて!ボクを捨てないで!」
(……………)
「(ダッ!)」←無言で走りだす無命の足音
「本気で行ったというのか…」
「「「「「「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」
「………仕方がない…此処から先は!行かせぬ!!」
武藤の死亡が確認されませんでした
「…………ってことがあったよな…」
「分からぬ…火村無命の思考回路がわからぬぞ…」
「気にするな、さて…ここも次第に見つかるぞ…賢人、どう動く」
「ふむ………無命ならば、或いは…できるやもしれん」
ごくりっと生唾を飲み込む音が周囲に響いた
「策を教えてくれ…」
_______昼休み終了5分前
「居たぞ!火村無命だ!武藤賢人も居るはずだ!屋上に急げ!!」
「「「「「「「「「「おおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」」」」」」」」」」」
階段を上る百人単位の生徒を影に隠れて見送るのは…武藤賢人だった
屋上に続く扉を蹴破り、素早く鶴翼の陣を引く生徒共
「武藤がいないぞ!どういう事だ!」
「つかお前ら練度高すぎだろ…というかそこ!一年が先輩を呼び捨てかよっ!!」
「関係ねえ!火村だけ捕らえて女王に捧げるぞ!」
「なんという熱い闘志…これが…歩愚倭亜津学園の底力か…だが、」
無命も熱すぎる熱気と太陽の容赦ない頭皮攻撃によって汗を滴らせる
そして…汗が床に落ちた瞬間…蒸気が立ち昇る
「すごく熱くなってる!駄目だ!此処は調理場に成っているってことかよ!」
勇者の一人がそれを見て叫ぶ
「「「「「「「うははははははははははっ」」」」」」」」
高笑いする馬鹿
「俺は此処から脱出してみせる!あばよ!馬鹿共!!」
無命は蒼穹の広がる空に手を掲げる
開いた手の中には…
「た、卵だと!!しかも大量にだ!!やめろ無命!それをこんな所でぶちまけたら…俺らは…俺らはどうなると思ってるんだっ!!」
痛々しいほどの哀願の叫びも…彼の耳には届かなかった
「じゃあな、馬鹿共!」
数十個にも渡る卵が放り投げられる
そこに突っ込む…勇者が一人
「やっぱてめえが来るよなぁ!筋肉マスター、不動!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっ!!!!!!!!!!!!」
制服の所々に赤の刺繍
中のYシャツには筋肉の文字!
彼こそ不動凌太、筋肉マスターの異名を持つ肩力250kgオーバーの化物であり、無命の悪友だ
卵が降り注ぎ、着弾と共に目玉焼きが出来る屋上で
筋肉マスターが遂に無命のシャツを掴む
「甘いぞ!不動!」
だが、シャツのほんの一部に光り輝くラップが一枚
不動の指先がつるりと滑る
「くそぉおおおおおおお!」
だが、彼は手を伸ばす
さらなる…一撃を加えるために
「チェックメイトだ…不動」
だが、彼の鼻先に卵が突き付けられる
腐った卵が
「ぐおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」
馬鹿よな…屋上に置いておいた卵がくさらんでか…不動は目にも沁みる一撃で戦闘不能になった
そして…
無命は迫り来る勇者勢に背を向けて屋上から飛び降りる
「「「「「「んなっ!」」」」」
「あばよ!とっつあん!」
落ちる最中で左手を校舎に伸ばす
その手を掴む、武藤賢人
「任務完了だ。よくぞやったな…無命よ」
「さぁ、授業をサボリに行こうぜ」
「ああ」
短い言葉を交わして真の勇者は扉を開ける
「あら、授業をさぼるの?火村君、武藤君」
武藤も火村も止まる
プレートを廊下に出てよく見てみる
目を擦ってみてみる
3-A
生徒会長の根城であった