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人気度が高いバンドはより一層舞台で輝ける

放送委員:「最初の演奏者は――『Astral Youthアストラル・ユース』の皆さんです!観客人気はナンバーワン!今回唯一のガールズバンド、皆さん、盛大な拍手でお迎えください!」


登場してきたのは、予想以上に露出度の高い衣装に身を包んだ美女たち。

その中には、片瀬と浅野の姿もあった。


片瀬は、慣れない衣装に明らかに緊張している様子だ。

なるほどな、こういう格好は確かに男子にはウケがいい……いや、俺の視線がどうとかは関係ない。気のせいだ。


その瞬間、観客席からは大きな歓声と拍手が巻き起こる。


藤沢:「比企谷、お前……目線がやらしいぞ。どこ見てんだよ?」


雪ノ下:「比企谷くん、他校の女子高生に発情するのはやめなさい。ただでさえ捻くれてるのに、今度は犯罪者にまで成り下がるつもり?」


比企谷:「ちょ、待て待て!俺は断じて見てない!あの、慎ましやかな胸など!」


由比ヶ浜:「胸って言っちゃってるし!ヒッキー、やっばー!」


そんなやりとりの中、ステージ上では――強豪ガールズバンドの演奏が始まろうとしていた。


Mrs. GREEN APPLEの楽曲にはキーボードパートが欠かせないが、バンドメンバーにキーボード担当はいないらしく、代わりにスタッフらしき人物が鍵盤を担当していた。


最初に演奏されたのは「ライラック」。

ギターのイントロはかなり難易度が高いが――浅野はそのすべてを、まるでプログラムされたかのように正確かつ滑らかに弾きこなしていた。


比企谷(……こいつ、道具だけじゃなくてギターも機械仕掛けみたいに完璧に弾くな)


イントロが鳴った瞬間、会場は一気に盛り上がる。

観客ウケ最強バンドの実力、恐るべし。


葉山:「いきなりこの盛り上がりかよ……」


藤沢:「あいつら、見た目は華やかなガールズバンドって感じだが……演奏力は『蒼刃』に劣らねぇ。かなりのもんだ」


藤沢(心の声):(姫華……お前、いつの間にこんなに上手くなったんだよ。あの頃、一緒にドラム叩いてたときより格段に上手くなってやがる……)


葉山:「彼女、すごいな。藤沢、お前の彼女さん、かなりの腕前じゃないか」


藤沢:「だから、まだ彼女じゃねぇっての!」


戸塚:「えっ、“まだ”ってことは、これから彼女になる予定があるってこと?」


葉山:「おお、これはもうライブ後に告白するしかないなぁ~」


藤沢:「うるせぇよ!そういうんじゃねぇし!」


比企谷・戸塚・葉山・材木座:「(爆笑)」


そんな和やかな空気の中――

次に始まったのは、同じくミセスの「青と夏」。


戸塚:「ギタボの子、すごく上手い……。ミセスのボーカルにほとんど遜色ないくらい、再現度が高いね」


藤沢:「流行曲を完コピしてくるあたり、観客のウケをよく分かってる。正直、かなり厄介だな」


比企谷(心の声):(確かに、こいつらは上手い。演奏もミスなくこなしてるし、完成度も高い……が)


(技術だけじゃ、人は惹きつけられない。ミスがないってだけじゃ、観客の心までは動かせない)


藤沢(心の声):(ギタボは確かに歌もうまいが、表現力はまだまだだな。ギターも“弾いてるだけ”って感じだ……)


(ただ――リードギター。浅野だけは、群を抜いてる。あいつだけは、別格だ)


葉山:「あれ….姫華さっきからサビのところドラムちょっともたついてるな..」


藤沢:「まじか….まぁ『青と夏』ってまあまあテンポ早いからな…ちょっとドラムが走りがちになるのは初心者のうちは仕方ない…」


藤沢:(姫華は中学の時よりはかなりうまくなっているが、中学で触れたときはあくまで遊び程度だ….正式に始めたのもおそらく高校に入ってからだろうな…そんなかではよく頑張ってるぜ..姫華)


材木座:「ふむ!ベースはミスなく弾けていて、とてもうまいでござる!」


比企谷:「ああ。まぁ少なくともお前よりうめぇよ…」


材木座:「グハァ!...我…撃沈…」


比企谷:(確かにベースはうまいな、けどあのギタボの子みたいに表現力はそこそこってところだな…てか浅野がうますぎるんだけど…....あいつバケモンかよ!なんなんだあいつは…..)..


そしてCメロに入り、その後半——浅野が、さらっとギターソロを差し込んできた。


……聞いた瞬間、わかった。


このバンドの中心は——浅野だ


そしてラスサビでは、オクターブ奏法に加えて、さらにソロをアレンジしてぶち込んできた。


マジかよ……これ、その場で思いついて弾いてんのか?


……いや、ミスが一切ない。まるで最初からこの曲に組み込まれてたみたいに、自然に、完璧に弾きこなしてやがる


葉山:「やるじゃん、比企谷の彼女」


由比ヶ浜:「えっ!?ヒッキーに彼女!?」


なぜかこの瞬間、由比ヶ浜と……雪ノ下が、妙に動揺していた。


比企谷:「ちょっと待て!今の発言、色々と誤解生むからやめろ!てか何回言わせんだ、俺の彼女じゃねぇっての!」


藤沢:「でもさ、連絡先交換してるし、LINEも続いてんだろ?」


由比ヶ浜:「えっ……!?まさかの確信犯ヒッキー!?」


雪ノ下:「他校の女子をいやらしい目で見たうえに、連絡先まで“特定”……これはもう犯罪者ね」


比企谷:「ちょ、ちょっと待て!?なんで俺がストーカー扱いされてんの!?聞かれたんだよ、向こうから!浅野に!」


由比ヶ浜:「えっ……?ホントに?」


比企谷:「おい、なんでそこで“疑いの目”なんだよ!?今ちょっとだけど俺、心にダメージきたぞ!?」


雪ノ下:「つまり、比企谷くんはその浅野さんが自分に気があると勘違いして……妄想のなかで連絡先を交換したと」


藤沢:「お前、どんだけ信頼ねぇんだよ……逆にすげぇわ。ここまで女子に信用されないやつ、見たことねぇよ」


比企谷:「もうやめろ!!ほっとけ!!俺のライフはもうゼロだ!!」


なんだかんだで、次の曲が始まる――その直前。


ステージに立ったギターボーカルがマイクを握り、MCタイムが始まった。


富水:「皆さん、こんにちは〜!アストラル・ユースです!」


この瞬間、観客席からは大歓声が湧き上がる。


富水:「まずはメンバー紹介からいきますね!ギターボーカル、富水愛香!ドラムの姫華!リードギター、美緒!ベースの舞!よろしくお願いしまーす!」


それぞれが軽く手を振ったりポーズを決めるたびに、観客は一段と盛り上がっていく。


富水:「……てかさー、みんな、バンドメンバーの“恋愛事情”とか……気になったり、しない〜?♡」


\うぉおおおおお!!!/


観客、まさかの話題に一斉に反応。…いや、MCってそういうのアリなんだっけ?ていうか、プライバシー大丈夫か……?


富水:「実はなんと……ドラムの姫華に!好きな人ができたみたいなんですよ〜!!」


\キャーーーッ!!/


男性陣A:「ふざけるなーー!!」


男性陣B:「誰だよ!羨ましい!!」


女子陣は由比ヶ浜を含め、かなり盛り上がっている一方で、男性陣の一部では嫉妬の嵐が巻き起こっていた。


富水:「しかもライブ終わったあと、デートに誘われたらしくて〜!一緒に楽器屋巡りするんだって〜!」


片瀬(姫華):「ちょ、ちょっと愛香!言わないでってば、恥ずかしいよ〜っ!」


姫華が顔を真っ赤にしてバタバタしてる一方で、観客席では藤沢も思いっきり顔を赤らめてうつむいていた。


葉山:「おーい藤沢、よかったじゃん。完全に両想いだぞこれ」


藤沢:「……う、うるせぇって……」


戸塚:「ふふっ、なんかロマンチックでいいなぁ〜。青春って感じ!」


そのあとも富水がちょっとだけ恋愛事情を掘り下げていくたびに、観客はざわめきと歓声で応える。


比企谷(心の声):(……なんか、すごい盛り上がってるけど……これ、曲始まるまでに引っ張りすぎじゃねぇか?)


そして、時間を気にしていたのか、MCはあっさりと切り上げられ――曲が始まった。


富水:「さて!お待ちかね!次の曲は――結束バンドの『青春コンプレックス』です!皆さん盛り上がっていきましょーーーっ!!」


\うぉおおおおお!!!/


観客は再び爆発的な歓声を上げる。

そしてその中に――俺もいた。何故なら、俺も立派なボサロファンの一人だからだ!


比企谷:「愛してるぜ……ぼっちちゃーーん!!」


材木座:「さぁ皆の者!サイリウムを手に共に戦おうぞ!ボッチ・ザ・ロックの信徒として!」


\うぉおおおおお!!!/


気がつけば、材木座の周囲に見知らぬオタクどもが集結し始めていた。そして……なぜか俺もその輪の中に混じっていた。


藤沢:「え……何だこいつら……?」


葉山:「知らねぇけど……なんかすげぇな、勢いが」


由比ヶ浜:「なんかちょっとキモい……けど……楽しそう……かも?」


藤沢:「それ、ディスってんのか褒めてんのか、どっちだよ?」


由比ヶ浜:「もう、うるさいな!どっちでもいいでしょ!」


藤沢:「はいはい……ったく。俺らもちょっと応援してやるか。なんか、あいつら見てるとこっちまで胸が熱くなるぜ!」


戸塚:「それ、いいね!みんなで盛り上がろうよ!」


由比ヶ浜:「なんかこういうの、いいね!青春って感じ!」


雪ノ下:「……私は遠慮しておくわ」


由比ヶ浜:「えぇ〜っ!?ゆきのんもやろうよーっ!」


雪ノ下:「……はあ。……仕方ないわね」


そんなやりとりをしている間に、ギターのイントロが鳴り響いた――その瞬間。


オタクたちの動きが一斉に加速し、材木座が中心となってサイリウムを振りかざす。そして、俺も自然とそれに呼応するように身体が動いていた。


比企谷(心の声):(やべぇ……浅野が……浅野がぼっちちゃんに見えてきた……ギターヒーローかよ、マジで……!)


この時のリードギター――浅野は、特に輝いて見えた。

ぼっちちゃんと全く同じスタイルの構え、同じフォームで、Aメロ、Bメロ、サビ……すべてを完璧に弾きこなしていた。


比企谷(心の声):(てかよくあれミスらねぇな……この曲、ギターむっちゃくちゃ難しいんだぞ……?)


そしてギターソロに突入する瞬間――

浅野は、足元のエフェクターを勢いよく**ガチンッ!**と踏み込んだ。


比企谷(心の声):(あれ、BD-2……ブルースドライバーか?)


その瞬間、浅野の表情が一変した。目がギラリと光り、まるでギターヒーローのようなオーラを放ち始める。


比企谷(心の声):(うおっ……完全に“覚醒”した……)


響き渡るソロは、どこか耳馴染みのある旋律――

まるでぼっちちゃんがその場で弾いているかのように錯覚するほどの原曲再現度だった。

音が掻き鳴らされるたび、会場には美しい旋律が風の如く流れ込んでいく――その音色は、観客の心を確実にさらっていた。


比企谷:「この忠実さ……浅野の、原曲へのリスペクトを感じるな……」


葉山:「すげぇな……あんな難しいフレーズをサラッと弾きこなすとか、浅野って一体何者なんだよ……」


藤沢:「ああ。見ててわかった。あいつ、他のメンバーとは格が違う。今、この会場内は完全に――浅野の領域に支配されてるぜ!」


比企谷:「あいつ……マジでギターで領域展開してんじゃねぇかってくらいの迫力だな……」


葉山:「お前それ言いたいだけだろ(笑)」


由比ヶ浜:「えっ、ヒッキーが珍しく流行りのアニメに乗ってきた!」


比企谷:「俺だって、流行りのアニメくらいチェックしてるっつーの!」


雪ノ下:「そうかしら? あなた、いつも意味不明なマイナー作品のネタばかり持ち出して会話を台無しにしてるイメージだけど?」


比企谷:「ちょっと待て、それは偏見だ!あとマイナーじゃねぇだろ、Gガンぐらい……たしかに昔のアニメだけど……」


藤沢:「おいおい、それ普通にだいぶ前の世代のやつだぞ(笑)」


葉山:「やっぱお前の趣味、俺には一生理解できないわ」


比企谷:「別に理解されようと思ってメタネタ入れてるわけじゃねぇよ!自己満足だよ、自己満!」


藤沢:「ほんとかよ? てかそのネタ唯一理解してくれる材木座は、アニメ知識に関しては完全に領域展開してるけどな」


葉山:「お前ら、もうライブ中に領域展開すんの禁止な!」


そして会場内は、完全に浅野の“領域展開”に呑み込まれていた。その圧倒的な支配力は、ギターソロを皮切りに終盤まで加速し続け、気づけば彼女は——観客も、審査員も、心ごとさらっていくような旋律を奏でていた。

浅野、恐るべし――。

果たして俺たちは、あの“化け物”に勝てるのか。それとも、彼女の支配するこの舞台で、ただ沈むだけなのか——。

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