夢見る図書館
夕焼けに染まる空の下、高校生の莉子は自転車を漕いでいた。行き先は、いつものように図書館だ。学費、塾代全てが無料になった社会では、図書館は勉強だけでなく、人々が集い、知識を共有する場所となっていた。
莉子は貧しい家庭に生まれた。かつては、学費の負担が将来の夢を諦めさせる大きな壁だった。しかし、無料教育制度が導入されてからは、どんな夢も叶えられる可能性が生まれた。莉子は、将来は医者になって、困っている人を助けたいと強く願っていた。
図書館に着くと、早速医学書を手に取った。複雑な解剖学の図解や専門用語に、最初は戸惑いを感じた。しかし、無料のオンライン学習プラットフォームで基礎をしっかりと学んでいたおかげで、徐々に理解が深まっていった。
図書館には、様々なバックグラウンドを持つ人々が集まっていた。かつては裕福な家庭に育ったが、病気で両親を亡くした青年は、今はプログラマーを目指して熱心に勉強していた。貧困から抜け出せない状況に苦しんでいた女性は、図書館で無料で学べるビジネス講座を受講し、起業を目指していた。
無料教育制度は、経済的な格差をなくし、人々が自分の能力を最大限に発揮できる社会を実現した。莉子は、そんな社会の一員として、精一杯勉強に励み、将来の夢に向かって歩みを進めていた。
夕暮れ時、莉子は図書館を後にした。街には、希望に満ちた人々の笑顔があふれていた。無料教育制度は、単なる制度ではなく、人々の未来を切り開く希望の光だった。