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1-01.転生前の選択


 異世界転生をする際に、神に『必要な要素をひとつ与える』と言われた。


 俺は思う、その答えはシンプルだと。


 ……異性愛者で、性的自認が男性で、なおかつスケベであるのなら、男が異世界生活に望む存在は『自分を愛してくれる可愛い女の子』だと。


 これから行く転生先。もしも都合良く俺好みの女の子がいたとして、その子に好かれるかどうか分からない。現時点ではいるかどうかすら不確定だ。


 ならば、チート能力なんて『一時の優越を得るだけの快楽』はいらない。もし異世界に可愛い女の子がいなかったら、何のためにイキったりドヤるのか。


 神に要望を言う前に、俺は重要な要素をおさらいした。


 ひとつ、俺のことが好きであること。それは大切な要素。……当たり前に得られる恩恵ではない。他者からの好意を得るというのは大変なことだ。


 ふたつ、生物として頑丈で長く一緒にいられること。それは大切な要素。……簡単に死に別れとかしたくない。俺は出来れば死ぬまで添い遂げたい。


 みっつ、有能であること。それは大切な要素。……さすがに足手まとい過ぎてはストレスになる。万能でなくていい。頼りにできる部分は持っていて欲しい。


 よっつ、可愛い女の子、それは必須だ。……できれば長い期間、可愛くいて欲しいし、俺好みの性格容姿であって欲しい。




 それらすべての要素は、神から認められた。そして後光が差して顔が見えない神はこう言った、なんかショタっぽい感じの声で。


「あのさ、みっつめの『有能』の部分だけちょっと曖昧だよね。


 全能は神にしか許されぬ特権だし、ぼくは自分に匹敵する存在は作りたくない。それにさ、何でも出来ちゃったら君がイラナイコになっちゃうじゃないか。


 そういうわけでさ、特技として『尖らせる部分』は指定して欲しいんだよね。


 何に特化させる? ……あー大丈夫。一芸以外ダメなポンコツにはしないから」


「ちょっと待って下さい。情報が足りないです。


 その『尖らせる部分』を決める前に聞きたいことがあります。俺は何のために異世界に送られて、そこで何を為せばいいんですか?」


「目的は『その異世界を、なんかいい感じにする』ことだよ。


 この場で具体的な内容は言わないよ。……よく転生者からクレーム受けるんだ。『説明が充分じゃなかった、だからスキルを取り直させろ』とかさ。


 そういうワガママなクレーマーを無視してるとさ、腹いせに世界を壊し始めたりするんだ。思い通りにならないと暴れ出すとかお子ちゃまかよ。


 結局は神罰を与えて『処分』しちゃうんだけど、それって後味悪いし二度手間になるんだよね。……転生者をリセマラするとか、虚無じゃん。


 なら、もう最初から具体的なことは言わないようにしちゃおうと思ったんだ。


 君が『自分で考えて』頑張ってくれることを、ぼくは期待しているよ」


 神様も苦労しているというか、お仕事お疲れ様ですって感じだな。


 とはいえ、サラッと『処分』される可能性を示唆されたからには、俺としてもよく考えて選ばなければなるまい。


 俺は十数秒ほど考えて、言った。


「では、土木関係に強い子にしてください」


「……土木? どうしてまた」


「陣地設営、進軍用の道や橋の架設、地形を利用した罠作り、戦争に必須です。


 ダンジョン内拠点の設営、ダンジョン破壊など、ダンジョン攻略にも必須です。


 家の地盤作り、治水や整地をするなど、スローライフや領地運営には必須です。


 グルメするにしても、自分で武器作成するにしても、世界を救うにしても。


 その異世界がどうであれ、土木作業は有効なはずです」


「それが君の持論かい。……わかった。希望に沿う女の子、創造してみるね」


「ありがとうございます。


 ……あと、あまりにも『俺が為すべき課題』を見付けられないときはヒントとか出してくれるとありがたいです。


 さすがにわけも分からないまま『神罰で処分』はされたくないので」


「うん。それはこっちで様子見てやることにするね。ヒマなときに。


 じゃあ、これで準備は終わり。下界に落とすから頑張ってねー。


 …………。


 ……でもこれだと、ちょっと出来る範囲広すぎだし、制約付けておこっと」


 神が最後に呟いた言葉に抗議する暇もなく、俺は異世界へと落とされた。


 ……あのショタ神、わりと問題あるタイプの神だ。

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