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魔法使いの結婚  作者: 鳥縞つぐみ


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27/50

27 誕生日大パーティー

「まだまだ話したりないわね。ルセルは、いつまで王都に滞在するの?」


「今夜のパーティーに出席したら、明日の朝には王都を出発します」

 ルセルも、もっと二人と話したかった。


「あら、明日?せっかく会えたのに。我が家に泊まっていったらどう?」


「連れがいるんです」

 マリーが一緒では、無理だろうとルセルは思う。


「お連れの方もどうぞ。お身内?お友達?」


「いや、それが・・・世話になっている領地の男爵令嬢で」

 ルセルは、マリーをアゼリアに会わせたら喧嘩になりそうな予感がした。奔放で軽率なマリーと聡明で計画的なアゼリア、親子ほどに歳が離れているから喧嘩にはならずとも、相性が悪いことは明白だろう。


「今回でなくとも良いわ。王都に来たらいつでも家に寄ってちょうだい。私、ルセルには返しても返しきれない恩があるから」


「恩って?」

 サムスが何気なく聞いた。


「あなたはいいのよ」

 アゼリアがふふふと笑う。


 アゼリアは、ルセルが、サムスと一緒に過ごす時間を作ってくれたことに未だ恩義を感じているのだ。


「今回は無理だと思うけれど、機会があれば伺わせて貰います」

 ルセルの方こそ、アゼリアのいる学院生活で良かったと心底思っていたが、それは伝えずにいた。いつか、伝えられたらいい。


「今日、王都で行われるパーティーといえばリース王子の誕生日パーティーでしょ?男爵令嬢も王子の婚約者に立候補するの?」


「婚約者候補?いえ、違います」


「あら、今回はリース王子目当ての若いご令嬢が山程参加するのよ」


「招待状には、親しい者だけのささやかなパーティーだと…」

 ルセルは、自分の情報との違いに内心戸惑った。


「その男爵令嬢はリース王子と親しいの?」


「いいえ。誕生日の招待は、私が昔、リース王子の家庭教師をした関係で、私の所に毎年来ていました。今年は男爵令嬢が王都のパーティーに出席したいというので、初めて出席することにしたんです」


「そうよね。ルセルがリース王子の家庭教師だったことは聞いているわ」

 アゼリアが、さも納得という顔をした。


「リース王子は魔法使いとして優秀だね。王子は貴族用の学校に通っていたから魔法学院には入学しなかったけど、魔法塔に出入りして研究しているよ」

 サムスが言った。


「サムスはリース王子と面識があるの?」

 今度は、ルセルが質問した。


「ああ、魔法塔で会うときもあれば店で会うこともある」


 サムスに続けてアゼリアも答える。

「そうね。リース王子は、うちのお得意様だわ」

 そして、加えて言った。

「どうしてかしらね。私、リース王子と会うといつもルセルを思い出すわ」


「ああ、僕もリース王子と話していると、ルセル嬢と話が合うだろうと考えてたよ」

 サムスも肯定する。


「ルセルの教え子だからかしら?」

 

 アゼリアの問いにルセルは不思議な気持ちと懐かしい気持ちがした。

「リース王子とは、もう八年会っていません。大きくなったでしょうね。大人になったリース王子を上手く想像出来ないけど…」


「リース王子は、王族で唯一の成人した未婚男性だから、今、若い女性の注目の的よ。顔立ちも整っているし、真面目で…」

 アゼリアは、リース王子を褒めようとしたが言葉が続かない。


「こだわりが強いね。買い物するときも自分の気に入るものしか買わないし、気に入るものが見つかるまでとことん探す。散財はしない」

 褒めているかどうかは別として、サムスの人物評に、ルセルは妙に納得する。


「だから、十八歳で未だ婚約者がいないのよ。周りが薦めるお相手に首を縦に振らないの」

 アゼリアとサムスが互いの言葉を受けて交互に話す。


「だったら、自分の誕生日パーティーで好きな相手を選べと陛下がパーティーを大々的に宣伝したんだ。一ヶ月前の話かな」


「王家主催のパーティーだから参加資格も警備も厳しいけれど、身元が確かなご令嬢には招待状が届いているはずよ。貴族でなくてもいいのよ」


 パーティーの規模を想像するとルセルはげんなりした。リース王子には会いたいが、できれば別の機会にしたい。


「あらルセル、今あなた、今日のパーティーは欠席したいと思ったでしょう」

 アゼリアには、ルセルの気持ちがお見通しのようだ。

「今日のパーティーは警備も兼ねてスワン先生も出席されるから、ご挨拶がてらルセルもスワン先生のお手伝いをしたら?」


「何で、スワン先生が警備を?」

 王族の警備なら近衛騎士の仕事だろうとルセルは訝しむ。


「万が一行き過ぎたご令嬢がいても、年若い女性を近衛騎士が力ずくで止めるのは、いささか問題があるだろう。魔法でリース王子をガードするのさ」

 サムスがにやりと笑った。

「スワン先生ノリノリでさ。リース王子の誕生日だから魔法で一つプレゼントするらしい。スワン先生は魔法塔の研究室でリース王子とすっかり仲良くなったからね」


「スワン先生の魔法のプレゼント、私も見てみたいわ。きっと素晴らしいに違いないわ」

 アゼリアがうっとりする。

「そうだわ、私もルセルと一緒にパーティーに出席すればいいんだわ!どう?サムスも私のエスコートで一緒に行きましょうよ」


 そうして、アゼリアの思い付きで、急遽レナード夫妻はルセルと共にリース王子の誕生日パーティーに出席することになった。

 もともと、レナード商会はリース王子の御用聞きをしており、常日頃からリース王子とは夫妻共々懇意にしている。しかも、サムスは魔法塔の研究でもリース王子と縁がある。当然、招待状は来ていた。しかし、婚約者候補の若いご令嬢がわんさか来る大パーティーと聞いて、今回は欠席の返事をしていたのだ。


「『欠席で返事をしましたが、やはり、出席させて頂きます』って使いの者を出せば大丈夫よ。今日は、こういう急な変更にも対応できるパーティーだから」

 アゼリアは、ルセルに満足気に説明した。

「警備も酒や料理も、リース王子の今日の礼装も、みんなレナード商会がモリス様からの依頼で準備したものだしね」

 サムスも少し浮き立っているようだった。

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