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ティーン・オブ・ザ・デッド

作者: 木こる

ハイスクールに通うヘザーはスマホを教室に置き忘れた事に気がついた。

時刻は深夜であり、薄暗い校舎を一人で歩く勇気がなかったので

恋人のロイ、元恋人のダニエル、親友のテレサに同行してもらった。


「それじゃあ、僕が取ってくるから

 みんなは車で待っててよ すぐ戻る」


ダニエルの提案にロイが反発した。


「おいおい、『すぐ戻る』は死ぬ奴のセリフだぜ?

 俺もついてってやるよ映画オタク野郎」


ロイがダニエルの肩を押し、ダニエルが押し返し、

2人が同時に動いたところでヘザーとテレサが止めに入った。


「私たちを置き去りにする気?

 一緒に行くに決まってるでしょ!」


ヘザーの発言により、当初の予定通り4人で校舎へ向かった。


深夜のハイスクール。

どんな敵と遭遇するかわからない。

ヘザーはホームセンターで購入したチェーンソーを装備していた。

ロイは野球バット、ダニエルはライター、テレサは聖書で身を固めた。


4人は窓から侵入しようとしたが鍵が掛かっており、

正面玄関のガラスをバットで割って侵入に成功した。


廊下の電気は誘導灯以外全て消されており、

昼間とはまるで別世界だった。

ここには何かがいる。そう確信した。


「暗いわね…… これじゃ教室がどこにあるかわからないわ」


ヘザーの発言にダニエルが策を講じた。

テレサの聖書を破り、それに火を点けた。聖なる炎だ。


彼らは教室とは反対方向へと進み、体育館にやってきた。

ロイはコートの片隅に転がっていたバスケットボールを拾い、

ドリブルをしながらダニエルに指招きのジェスチャーを送った。


ダニエルは相手にしないつもりだったが

投げられたボールをついキャッチしてしまい、

そのままスリーポイントシュートを決めた。


「ちょっと2人とも! 遊んでる場合じゃないでしょ!?

 早く教室を見つけて、こんな不気味な場所からは立ち去りましょう!」


「ヘザー、少しくらい好きにさせてもいいんじゃない?」


ヘザーがテレサの肩を押し、テレサが押し返し、

2人が同時に動いたところでロイとダニエルが止めに入った。


「探索を再開する前にシャワーを浴びてもいいか?」


ロイの提案に異論はなかった。


ロイがシャワーを浴びているとテレサが乱入してきた。

現場を目撃したヘザーはショックを受け、その場から逃げてしまった。


暗い廊下を走るヘザー。

走っているうちに自分の居場所を見失ってしまった。

恐怖で逃げ出したいが、窓には鍵が掛かっている。


「ヘザー!そこにいたのか!」


「イヤアアアアァァ!!」


暗闇の中、追いかけてきたダニエルに驚いたヘザーの悲鳴が響き渡った。

その声はロイとテレサ、そして警備員にまで聞こえた。

ロイはすぐに服を着てヘザーを探しに向かった。


「ロイ!どこへ行くの!?

 あんな女ほっときなさいよ!」


ロイはヘザーを裏切った事を後悔し、再会したら謝ると心に誓った。

暗い廊下を走っていると人影が見えたが、それはヘザーではなかった。


「こらキミ!こんな時間に何をしてるんだ!」


「ウオオオオオォォ!!」


ロイは警備員に驚き、バットをフルスイングした。

警備員は咄嗟にしゃがみ、そのままタックルをして制圧した。最初の犠牲者だ。


ロイの悲鳴を聞いたテレサは怯え、シャワー室のカーテンを閉めて息を潜めた。

そしてしばらくすると扉の開く音が聞こえ、足音が近づいてきた。

そのまま通り過ぎて欲しいという願いは叶わず、勢いよくカーテンが開かれた。


「ギャアアアアァァ!!」


「うわっ!? …テレサ!僕だよ!ダニエル!!」


「テレサ!無事だったのね!

 さあ、行きましょう! 急いで!」


3人は駆け出した。

ロイはもういないけれど、この3人で生き残ると誓い合った。


テレサが転倒した。

2人は起こすのを手伝おうとしたが、

奥から来た警備員に気付いてテレサを諦めた。


「こらキミたち!待ちなさい!

 何を考えてるんだまったく!」


「ヘザー!ダニエル!

 私を置いていかないでえぇっ!!」


テレサはもう手遅れだ。二人目の犠牲者が出てしまった。


「ダニエル…… 私たち、もう助からないのかしら

 ごめんなさい、私のせいでこんな事になって……」


「ヘザー…… 君のせいじゃない! 君は何も悪くない……!」


2人は抱き合った。

次の瞬間、追いついた警備員がダニエルを確保した。


「ダニエルぅぅぅ!!!」


「ヘザー!! 僕にかまうな!!

 君は逃げて、生き延びてくれ!!」


「キミたち何言ってんの!?」


「ダニエル!! 逃げ場なんてどこにもないわ!!

 私たち、もうおしまいよ!!」


「鍵を…… 窓の鍵を開けるんだ!!」


「キミたち何言ってんの!?」


「鍵の開け方なんてわからないわ!!」


「右のガラスと左のガラスの真ん中にある出っ張りがあるだろう!!

 その、上に向いてるやつを下に下げるんだ!!」


「キミたち高校生だよねえ!?」


「ダニエル! 私…… 頑張るわ!!」


「ヘザー! 君ならできる……!!」


「誰でもできるよ!!」


ヘザーは渾身の力を込めて窓の内鍵を開けた。

そしてガラスをスライドさせ、出口は開かれた。


「ダニエル……」


「いいから行くんだ!

 君は生きてくれ……!」


「なんなのコレぇ!?

 どういうことなの!?」


ヘザーは窓から脱出し、車まで走った。


しかし車のキーを持っていなかったのですぐに捕まった。

そもそも運転の仕方がわからなかったので逃げ道はなかった。


後日、4人でガラスの弁償をしました。

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