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とある廃校に悪魔が現れる。そんな噂が厳島高校に流れてきたのは七夕が終わるころだった。

そろそろ夏も本番で、お化け屋敷の陰謀論か何かだろうと俺は取り合いもしなかった。

しかし、俺は今その廃校にいる。

窓ガラスどころか校舎の壁までもが崩れかけている危険な場所である。

本当なら立ち入り禁止の場所ではあるが、俺にはやらなければならないことがあるので許してほしい。


実は昨日、彼女に振られたのである。

いや別に絶望して自殺に来ているわけではないので安心してほしい。

そのときに怒り狂った彼女が俺の大事なスマホを全速球で投げたのである。

この廃校に向かって。

唖然とした俺の耳に窓ガラスが割れる音がした。


絶対に壊れた。

そうは思っても、取りに行かないという選択肢はない。

もしかしたらデータは無事かもしれないし。

まだ昼間だし大丈夫だろうと、俺は門の隙間から忍び込むと、校舎の前に立つ。


昼間なのにおどろおどろしい、いかにもな雰囲気がある。

怖くない、怖くないと暗示をかけながら正面玄関の割れたドアから入る。

蜘蛛の巣に引っかかる感覚に思わず体を手で払ったが、蜘蛛の巣など付いてなかった。

それどころか、明るかった外が急に暗くなったのだ。


俺は慌てて外に出ようと思ったが、バリアがあるかのように先ほど通れた隙間が通れなくなった。

俺は焦りに焦るが、どうすることもできない現状しか待っていない。

スマホが生きていれば、ワンチャン助けを呼べるかもしれない。そんな一縷の望みにかけて、震える足を動かしスマホを探すことにした。



彼女はゴリラだ。・・・もちろん比喩だ。

そんな彼女が投げたスマホが1階や2階に落ちているわけがないとあたりをつけて、3階から見回ることにした。

校庭側の窓付近を見ればあるだろうと、割れたガラスや壁などに注意しながら進んで行く。

結局スマホは最上階の5階にあった。

「うっわ、やっぱ壊れてるか」

電源を入れたり、切ったりするが、うんともすんとも言わない携帯に絶望が隠せない。


「おいっ人間! そのけったいな物体はお主のか」

その時、突然声が聞こえ俺は肩をビクつかせる。

しかし声はすれど姿が見えない。幽霊なのかもしれない。

俺は体が震えて来る。足は生まれたてのバンビのようだ。

「下だ、下! 無礼者めが」

妙に甲高い声に幽霊っぽさがなく、俺は言われるがままに下に目線をやる。

そこには2頭身の2足歩行の狼男がいた。およそサイズ15cmである。

「なにこいつ」

「こいつとはなんだ下賤者よ」

ミニチュアサイズの生物に俺は恐怖心を無くしてしまった。



「お主のそのけったいな物体が体に当たったおかげで、魂の一部が飛び出してしまったのだ。責任を持って回収して来るのだ」

「は?」

俺は狼男とスマホとを見比べた。

あいつが投げたスマホがここで止まるのもおかしいのかもしれないので、この生物に当たったのは本当かもしれない。

「魂の一部ってなんだよ」

俺は少し罪悪感がありそう尋ねると、狼男は胸元から七色に輝く小さな球を取り出す。

ラムネのお菓子より小さいじゃねぇか。

「これだ。見てみろ4つしかない。これは7つあってこその魂なのだ。4つしかないとオレが魔界に帰れないではないか」

責任を持って飛んで行った3つを見つけてこい。と続ける。狼男だが、ラムネより小さいものを探すのは無茶というものだ。


「そう遠くへは飛んでおらん。せいぜい半径30cmほどじゃ」

ってめっちゃ創作範囲狭いじゃん。

俺は、そいつの足元をかがんで見てみる。

キラキラと床の一部が輝いており、その輝きをつまんで見た。

「これか?」

「そうじゃ。あと2つじゃ」

俺は同じ場所にある残りの2つも拾い上げ、ミニチュアサイズの生物に渡す。



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