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イマドキ忍者くのいち  作者: 山本太蔵
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忍びたいけど目立ちたい‼

りぼんがある日、忍者村の広場に友達のおたま、もくめ、でんこの3人を集めた。


りぼん「みんな!」

おたま「りぼん、今日は何?みんな集めて、改まってさ」


おたまは、またりぼんがなにか変なことを言いそうな、嫌な予感がしていた。

それは見事に的中する。

そんな冷めたおたまをりぼんは目を輝かせている。


りぼん「私…YouTuberになる!」

おたま「はあ?」


もくめは何も知らないくせに…


もくめ「おおお!」


と、とりあえずなんか盛り上がった。


おたま「もくめ、『おおお』じゃないから…」

りぼん「YouTuberだよ!YouTuber!」

おたま「私たち忍者なんだよ!」

「忍ばなきゃいけないのに、自分から人前に出てどうすんのよ」

りぼん「それが逆にいいんじゃん!」

おたま「逆ってなんだよ。」

りぼん「2023年、忍者もYouTuberをやる時代だよ!」

おたま「いやいやいやいや…」


この4人は、誰にも見つかってないだけで現代にもいるという“忍者”の生まれの

“くのいち達。You Tubeを始める始めないの前に、忍者は人に見つかっては忍務が務まらないのである。

それにも関わらず、なんの根拠もなく、なんならいま始めても時代的に遅いと思われるYouTuberを始めたいと言っているりぼん。

そんなりぼんに乗っかる厄介なもくめは、バカみたいな顔をして


もくめ「YouTuber…メントスコーラのやつだ…」


と、目を輝かせている。

りぼん「じゃあ、あとはでんこちゃん、よろしくぅ~!」

おたま「こらこら。人の話聞いてんの?」

でんこ「とりあえず、Twitterアカウントは今作った!」

もくめ「おおお!」

おたま「おいおいおい…Twitterの話なんか一回も出てきてないんですけど」

でんこ「動画アップしたらTwitterで告知しないとさ」

おたま「ちょっと見せて!」


おたまはでんこのiPhoneを覗き込んだ。


おたま「てめー!ふざけんなでんこぉぉぉ!!!」


おたまの怒号が忍者村に響く。

なんとそこにはおたまの横顔を共に…

『YouTuber始めます。よろしくおねニャいします。』とツイートされていた。


でんこ「『おねニャいします』がまずかったか?おたま、

ネコ好きだからいいかなぁと思ったんだけど」

おたま「そんなんじゃねーよ…なんで私の写真上げてんだよ…早く消せよ!!!」

でんこ「まあそう言わずに」

おたま「お前、私が忍者って事がバレたらどうすんだよ!てか、

なんで私がYouTuberやるって事になってんだよ…」

りぼん「大丈夫だよ!みんなでやるから!」

おたま「そういう問題じゃねぇんだよ…」

もくめ「私、こういうお面被ったYouTuberになろうかしら」

おたま「なんでなる方向で話が進んでんだよ…」

りぼん「インスタも始めなきゃいけないし、チックタックも始めなきゃいけないし、

    でんこちゃん忙しくなるね!」

でんこ「あれでティックトックって読むんだけどね」

おたま「とりあえず私の写真を早く消せ!ママに見つかったらどうなるか…うぅ…」

でんこ「おっ!」



どうやらでんこのファインプレーなのか『#女忍者』『#猫好き』『#コスプレ』という

何個かのハッシュタグのおかげでTwitterに反応があり、

いいねやリツイートがされていたのである。


でんこ「『かわいい女忍者さん』『かわいい』『コスプレ似合う』おおおおお…

軽くバズってる」


そう、おたまは絶世の美女なので、それを見つけたコスプレファンに見られて、

投稿がバズってしまったのである。


おたま「おいおいおいおいおいおいおいーーーーー!どうなってんだこれ!」

でんこ「うまくバズりましたな」

りぼん「すごいよ!おたまちゃん!」

もくめ「おたまちゃん、ちょっと嬉しそうですね。」

おたま「嬉しくない!!!」


顔を赤らめながらも、まんざらでもない様子のおたま。

かわいいと言われるのは、真面目なおたまとは言え、年頃の女の子は嬉しいのである。


おたま「せめて全員載せろ!私だけ怒られるの嫌なんだけど!」

りぼん「私、これにしようかな」


胸にばってんのガムテープを貼ったりぼんが、なぜか堂々と立っている。


もくめ「わ、エガちゃんだ!」

でんこ「肛門に筆入れて書道から始めないとだね」

おたま「いや、なんなのその下品な動画~~~!!!」


という事で始まってしまったくのいちたちの

“忍ばなくてはいけない4人の自己顕示欲爆発のYouTuber活動”。

一体どうなってしまうのか?

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