72話 告白
「いやぁ余裕だったなぁ♪」
あのあと僕等は1つ目の洞窟でジャイアントオーガを18体をサクッと討伐した
迷宮でのあの魔物の量を体験してしまえばこの程度は可愛いものだ
皆もそれぞれ特訓の成果を発揮して活躍を見せてくれた
アイシャは僕と同じ"並列思考"習得したお陰で複数の魔法を同時に発動できるようになっていた
更にその複数の魔法を合わせて放つ"複合魔法"という技を見せてくれた
火であれば風、水であれば雷といったように組み合わせる事によって威力を増す属性の魔法を融合させて放つ技
低燃費で高威力な技を放てる便利な技らしいが、均等に魔力を配分しなくてはいけないようでその調整が難しいらしい
多くても少なくてもどちらか片方でもズレが生じたら暴発してしまうという
しかしその問題も"並列思考"を使う事によって解決するというわけだ
クロエはダインさんと鍛えた剣技、そしてスキル"影渡り"と"かまいたち"、"ハイドビジョン"という魔法を習得していた
ハイドビジョンは自分の幻影を見せて相手の隙を作る魔法
以前にも分身系の魔法を使っていたが、あれはどうやら自分の頭の中で命令を出して動かさなければいけないらしく、細かい指示が苦手なクロエには少々荷が重かったみたいだ
この魔法は幻影であるにも関わらずちゃんとした意思があるようで、本物と遜色ない動きを見せてくるので初見で見極めるのは難しく、その隙に本体が回り込んで背後を突くという感じに使っていた
かまいたちは剣を振るうことによって発生する風の刃で影渡りは影から影へと移動出来るスキル
自分の見えている範囲ならどこでも瞬時に移動が可能なようだ
移動できるのは自分だけでなく攻撃も可能で、影に攻撃を撃ち込む事で任意の場所から攻撃を仕掛ける事が出来る
色々と幅が利きそうで使いこなせたら中々面白そうだ
シロエは白夜を改良して新たに2丁拳銃を創り出していた
複数の相手をするのに大きさがある前の形では限界があると悟り、ならばと小さくして2丁持つという考えに至ったようだ
"形状変化"の他に"形状記憶"というの魔法を覚えたようで、元の白夜の形に戻す事も可能なので威力重視か手数重視か。戦闘に合わせて変える事ができる
今後も武器の種類を増やしていくつもりらしいからどんなのが出来るか楽しみだ
弾に関しては色々な種類を試作してみたようだがこの魔物達には使っていなかったようなので次回見せてもらうことにしよう
支援系の魔法もロザリアさんから教育してもらったことで一通り習得し、より強い効果を得て戻ってきた
ガーフ、シェラに至っては元の姿はジャイアントオーガと大差のない大きさなので最早怪獣の戦いを見ているようだった
相手が巨体で群れて生活しているだけあって広い空間だったので助かった
予定より大幅に時間が空いたので、僕等はここの近くにある温泉街で1泊する事にした
お風呂では僕とシェラが一緒に入るのが最早当たり前となっていて、体を洗ってあげるのもすっかり手慣れたものだ
この温泉には体力を回復するポーションのような効能があるらしく、溜まっていた疲れが一気に吹き飛んだ
時刻は夕暮れ時で日がゆっくりと沈んでいき、辺りが夕焼け色に染まっていい景色だった
外の方がかなり賑わっていたのでお店の人に聞いたところ、今日はこの街に温泉が湧き出た日らしい
温泉が湧き出る前は特に目玉になるものもなく冒険者がたまに泊まりに来る程度で寂れた雰囲気だったが、温泉が湧き出たことによって街に活気が出てきてしかもその温泉が体力を回復するという効能付きだったので口コミでたちまち人気となり今の温泉街が出来たというわけだ
今日はその記念の祭りが催されているようなので風呂の後に皆で見て回ることにした
そして僕はある決心をしていた
今日アイシャに告白をするつもりだ
まだ一人前には程遠いかもしれないが以前に比べずっと強くなることが出来たと自負している
問題はタイミングでどう切り出すか考えていたところに舞い降りたこの祭り
ベタかもしれないがあまり奇をてらわず正面からぶつかることにした
出店がある通りは人でごった返していて普段このような人混みは苦手としているが今の僕にとっては好機
皆には悪いがアイシャの手を取り逆方向へと進んでいく
「リュ、リュウヤ君?」
中心から少し離れた街を一望できる場所までアイシャを連れてきた
途中戸惑ったような声で僕に話しかけていたが頭の中はどう告白するか、その事で頭がいっぱいだった
皆には逸れた時は宿屋に集まろうと話をしたが・・・露骨な作戦だっただろうか
けど1番の難関だったガーフもシェラの面倒を見るようアイシャが直接言ってくれたので大丈夫なはずだ
利用してしまってごめんよシェラ・・・
「リュウヤ君、どうしました?皆と逸れちゃいましたよ」
「うん、ごめん。ちょっとアイシャにどうしても伝えたいことがあって・・・」
心拍数が徐々に早くなっていく
覚悟を決めたはずだがいざ本番となるとやはり緊張する
皆よくこんな事出来るな・・・
中々言い出せずにいた僕を見てアイシャがそっと手を握ってきた
「私は待ってますから。ゆっくりで大丈夫ですよ」
その言葉を聞いて少しずつ緊張がほぐれていった
話そうと予め考えていた内容は全部捨ててシンプルで、けれど純粋な気持ちが口から自然と出てきた
「アイシャ、君の事が好きだ。僕と付き合って下さい」
「はい。こちらこそよろしくお願いします」
即答。少しは驚いたりするかと思っていたのであまりの返答の早さに逆にこちらが驚かされた
その表情を悟ってアイシャが小さく笑いながら話してくれた
「ふふっ、リュウヤ君ここに来た時から凄い顔に出てましたよ。今から何を言われるかなんてすぐ分かっちゃいますよ」
始めからバレていたなんて・・・恥ずかしすぎる。時が戻るならやり直したい
羞恥心で頭を抱えているとアイシャが近寄ってきた
「でも、リュウヤ君の真っ直ぐな気持ちが伝わってきました。私もリュウヤ君のことが大好きです」
アイシャはそう言うと僕の口元に顔を近づけ、吐息のかかる距離まで来るとそれは触れ合った
唇と唇が静かに重なり、ゆっくりと離れる
今まで感じたことのない柔らさで、髪の毛から漂う甘い香りと幸福感が僕を刺激し気づいた時には顔が真っ赤になっていた
アイシャの様子を窺ってみると僕と同じように顔を真っ赤にしながら呟いた
「やっとできました・・・けど思ってた以上に恥ずかしいですね。体がまだふわふわしている感じがします」
その表情を見て我慢できなくなり今度は僕の方からいく
アイシャは驚いた様子を見せるも抵抗されるようなことはなく、むしろ委ねてくれたような気がした
その感触の虜になった僕等は一度目より長い時間かけてお互いを求め合った
「あー!お兄ちゃんとアイシャお姉ちゃんがチュッチュしてるー!」
突然背後から聞こえたシェラの声に口から心臓が出そうになった
見られてしまった。いやそれよりここにシェラがいるっていうことは・・・
僕の予想通りシェラのあとからシロエとクロエ、そしてガーフも姿を現した
「怪しいと思ってガーフさんにお願いして匂いを辿ってきてみたらやっぱりでしたか」
どうやらシロエにはバレバレだったようだ
むしろよく持った方かもしれない
「これはもっと攻めないといけないようですね・・・」
シロエが誰にも聞こえない声で呟いた
「お兄ちゃん私にも〜」
現場を見られたシェラにキスするようせがまれる
龍の里で暮らしていた時は挨拶代わりに頬によくやっていたらしく、それならとシェラの頬に軽く唇と当てると喜びお返しにと僕の頬にもしてくれた
するとシロエとクロエがそのノリに乗っかって迫ってきたので拒もうとするも、仲間はずれだと騒がれてしまったので気恥ずかしい気持ちを抱えながらシェラと同じようにした
最後シロエにする時には「私はこっちでもいいですよ」と唇に指を当てながら囁かれドキッとした
揶揄っているだけだよな・・・?
ガーフは自分の目を盗んで逢引してた事に怒っていたが、アイシャが頬にキスをすると遠吠えするほど喜んでいた
それから僕等の間では朝の挨拶は頬にキスをするという謎の羞恥ルールが出来てしまった
読んでいただきありがとうございました
こちらの作品は誠に勝手ながらこの話をもって投稿を停止させていただきます
次回からは別作品の方を投稿していく予定ですのでよければそちらをよろしくお願いします




