68話 妹ができました
一連の騒動が片付き、僕等はロザリアさん達と一度別れて部屋へと戻り、ドラゴンの女の子に服を着させご飯を食べさせてあげた
捕らえられてからというもの、碌に食事を与えられていなかったようで凄いがっつきようだ
シロエやクロエより更に幼く可愛らしい見た目だが頭には龍の角、腰の辺りには尻尾が生えていて時折見せる鋭い歯がドラゴンだと再認識させられる
用意した食事を全て平らげると満足したようなので少女に話を聞かせてもらうことにした
「えっと、まずは君の名前を教えてもらってもいいかな?」
「私はシェラ。シェラ・イグニアスっていうの。お兄ちゃん」
「シェラ・イグニアス・・・え、お兄ちゃん?」
「お兄ちゃん!」
この子が何を言っているのか分からなかった
僕の事を兄と呼び抱きついてくる
横にいたアイシャは驚きの表情で僕を見てきた
「リュウヤ君に妹さんがいたなんて知りませんでした・・・」
「いや妹なんていないよ!?この子とも今日初めて会ったばかりだし」
確かに髪の色とか目つきは似てるかもしれないけど僕は龍人でこの子、シェラは純粋なドラゴンだ
それ以前に僕は転生者。だからこの子の兄ということはありえない
・・・だけど、なんだろうか。鵜呑みにする訳ではないけど不思議と親近感のようなものをこの子から感じるのは確かだ
今度はアイシャがシェラに質問を投げかけた
「シェラちゃんはどうしてリュウヤ君の事をお兄ちゃんと呼ぶんですか?」
「だってお父さんが言ってたんだもん」
「お父さん?」
「私のお父さんは龍王ですっごく強いんだよ!」
龍王ってイグニアスさんが言っていた?
その人が僕の事を兄と教えたのか。どういうことだ?
それも気になるところだが、さっきお兄ちゃん呼びが強烈で聞きそびれたがシェラの名前についてだ。イグニアスって・・・
「シェラさん、名前の後イグニアスって言ってましたが龍神様と何か関係があるんですか?」
僕が思っていた疑問を代わりにシロエが問いかけた
「お父さんは龍神様の子孫で私はその末裔なんだって」
えっ、イグニアスさんって血縁者いたのか。そんな事一言も言ってなかったぞ
なんだか思っていたよりガッツリ干渉してるんだなあの神様・・・
じゃあシェラに親近感を覚えたのも龍の加護のせいかな
加護でイグニアスさんの力を借りてるからもしかしたらその影響なのかもしれない
突然シェラが口に手を当て、しまったという顔で呟いた
「あっ、これは人に話しちゃいけないってお父さんに言われてたんだった・・・ま、いっか!」
軽い・・・
龍王にはいずれ会う予定だからその時に話を聞いてみるとするか
それにしてもシェラが先程からずっとくっついてきて離れてくれない
いつの間にか僕の膝の上に乗ってるし・・・
「そうだシェラ、お風呂に入らない?大分汚れちゃったでしょ」
「入る!お兄ちゃんと一緒に入る!」
この体勢が恥ずかしいからお風呂を提案したんだけど墓穴を掘ってしまったようだ
困ったな・・・そうだ!こういう時いつもアイシャが止めに入ってくれるはず!
そう思いアイシャの方に助けを求めるがそんな期待はあっさりと裏切られた
「いいんじゃないですか?兄妹水入らずゆっくりしてきて下さい」
「まじですか・・・」
もうシェラと兄妹という体で話が進んでしまっている
アイシャもシェラなら大丈夫だと判断したようだ
まぁ流石にシェラ位の女の子に何かする程性癖はねじ曲がっていないから大丈夫だけどさ
「分かったよ。じゃあいこっか」
「わーい♪早くいこ!」
喜ぶシェラが僕の腕を掴んで急かすように引っ張ってくる
こうしていると周りからは本当に兄妹みたいに見えるのかな
浴場に到着するとシェラが服を脱がすよう要求してくる
着せる時もそうだったが、今まで服を着る習慣がなかったようで着方や脱ぎ方が分からないみたいなので、その都度手伝ってあげないといけない
服を脱がしシャワーと石鹸で汚れを落とす。一通り洗い終えると見違えたように綺麗になった
元々可愛らしい見た目だったが汚れが落ち、髪の艶が戻ったことによってより一層可愛さが増した
・・・うん。こんなに可愛い子が懐いてくれるならもう妹でもいいかもしれない
湯船に浸かり一息ついたところで僕はシェラがこれからどうするのか聞いてみた
「シェラはこれからどうするの?」
「うーん、私はお兄ちゃんと一緒にいたいなぁ」
「でも色々危険な目に合うかもしれないよ?いくらドラゴンとはいえシェラはまだ大分幼いし・・・」
「大丈夫!私はお父さんの子供なんだから!だからお願ぁい」
そうは言っても龍王の子供になにかあったら僕等がどうなるか・・・でもシェラ1人で帰すわけにもいかないしなぁ
「じゃあさ、お父さんに許可を貰いに行こう。僕も会いに行く予定だったからさ。けどまだ暫くはここにいるつもりだからそれまでは一先ず一緒に暮らすってことでどうかな?」
「それでいい!やったー!」
暫くの間はこれでいいだろうが問題は残ってる
あいつに話をつけないといけないよなぁ・・・
浮かない顔をしているとシェラが心配して問いかけてくる
「お兄ちゃんどうしたの?」
「あ、いやシェラを捕まえた悪い奴を説得しなくちゃいけなくてね。それが気が重くて・・・」
まともに会話ができるとは思えないけど・・・話をつけずに僕達のところにいたらどんな難癖をつけられるか分かったもんじゃないからなぁ
憂鬱な気持ちになっていると反対側の露天風呂から声が聞こえてきた
「その事なら心配いらないですよー」
「その声・・・フローラさんですか?」
入口で別れた時はいなかったから後から来たんだろうか
それより気になる事を言っていたので女子風呂に向かって聞き返す
「フローラさん、心配いらないってどういう意味ですか?」
「殿下はあの後陛下がたっぷり懲らしめたので安心して下さい。その子の身柄もこちらで預かる予定でしたが・・・リュウヤさんの妹さんというのであればその子の事はリュウヤさんにお任せしますね」
アイシャ達から話を聞いたのか
でも助かった。あれと話さずに済むと思うと気が楽になる。陛下に感謝だ
その後は2人で楽しくお風呂を満喫してから皆と合流し、改めてシェラを紹介することにした
「そういうワケで一時的だけど一緒に暮らすことになったシェラです。皆よろしくね」
僕の言葉に3人は賛同してくれ、それぞれ挨拶を交わしていった
「よろしくお願いしますね。シェラちゃん。私はアイシャって言います」
「シロエです。これからお願いします」
「クロエだぞ!よろしくな!」
「うん!アイシャお姉ちゃんにぃ・・・シロエお姉ちゃんクロエお姉ちゃん!」
シェラが3人をそう呼ぶと全員の表情が緩んだ
お姉ちゃん呼びが相当気に入ったようでシェラを囲んで甘やかし始めた
僕のというより皆に可愛い妹が出来た感じだな
上手くやっていけそうで何よりだ
「そういえばまだ聞いていなかったけど、シェラはどうして1人でいたの?」
「お父さんからお兄ちゃんがいるって聞いたから私どうしても会いたくてお父さんに内緒で龍の里を出てきちゃったの。それでお昼寝してたら人間に捕まっちゃって・・・」
「えっ、何も言わずに出てきちゃったってこと?」
シェラがコクンと頷く
それじゃあかなり心配してるんじゃないだろうか?
やっぱり今すぐ帰した方がいいか・・・?
まさか娘を探してここまで来たりしないよね?
そんな事を考えていると何やら外が突然騒がしくなり始めた
普段鎧の音を殆ど立てずに歩く衛兵達が慌ただしく走っている姿を見る限り、大変なことになっているのは明らかだ
衛兵の1人を呼び止め何が起きているのか尋ねてみた
「すみません。外で何が起きているんですか?」
「龍が・・・龍がこの帝都にやってきたんです!」
僕の予想がものの見事に的中してしまった・・・
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