表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界龍人記  作者: Aoi
68/73

67話 決闘

「ここで暫く待機するように」


衛兵に闘技場入口の門前に立たされ待機を命じられる

移送の際に手と足に手枷をつけられ、自由を奪われた状態なので非常に歩きづらい

相手の準備が整ったようなので門が上がるのを確認し闘技場の中央へと進んでいく


闘技場の最上階には陛下とフローラさんの姿があった

こちらが見ているのに気がついたフローラさんは軽く手を振ってくる

ここで手を振り返すのもあれなので軽く一礼しておいた


「リュウヤく~ん」


アイシャの声が聞こえてきた

皆を連れて最前列の場所に座って見守ってくれている

シロエとクロエにはあれから会えていなかったが特に問題なさそうで一安心だ

そこにはガーフの姿もあった

アイシャとの面会中に聞いた話だがあの騒動の直後、連行されていった僕と行き違いでアイシャの危険を察知したガーフがやってきたらしく、殺気立っていたガーフを宥めるのに一苦労したらしい

あの場にいたら僕より先にあの男、シュヴァインに手を出していたかもしれない


「リュウヤ君、頑張って下さい!」


「健闘を祈ります」


「あんな豚懲らしめてやれー!」


「キュンキューン!」


皆からのエールをもらい、軽く手を上げて答える

オルフェウスさんやロザリアさん、ダインさん、ミカエラさんまで来ているのだから半端なところは見せられないな


反対側の門が上がり、そこからシュヴァインがやってきた

体の至るところに包帯を巻き、松葉杖を使っていかにも重症という感じだった

話を聞いた限り、あの脂肪のお陰でそこまで重症ではなかったはずだけど・・・

僕の元までやってきたシュヴァインは僕に語りかけてきた


「地下牢の暮らしはどうだった。お前のような者にはさぞ良い環境であったろう」


「えぇ。とても貴重な体験をさせて頂きました」


僕の返しがお気に召さなかったのか、シュヴァインは今度は僕にふざけた提案を持ちかけてきた


「どうだ?今この場で地面に頭を擦り付けて慈悲を乞うのならば貴様の罪を不問にしてやってもいいぞ?まぁアイシャとあのエルフ2人は貰っていくがな。この私に傷を負わせたのだからその程度で済むだけ感謝するのだな」


アイシャだけでは飽き足らず、シロエとクロエにまで本格的に狙いをつけてきた

再び湧き上がる怒りの感情を鎮めシュヴァインに向けて言葉を放つ


「お前みたいな奴に仲間を取られてたまるか」


「ふんっ。ではお前にはここで死んでもらう事にしよう。これを見て後悔するなよ!来い!」


シュヴァインが門の方に合図を送る

そういえば相手は代理の者だと言っていたのを思い出し、一体どんな人だろうと門から出てくるのを待っていると予想だにしない相手がやってきた

門から出てきたのはなんとドラゴンだった


「おい!どういうことだ!何故相手がドラゴンなのだ。いや、そもそも何故こんな所にドラゴンがいる!」


ドラゴンを目にした陛下は声を荒らげた

あの慌てようからして陛下にとってもこれは想定外の事態らしい


「あのドラゴン・・・何処かで見た事あるような。気のせいかしら」


ロザリアさんが何やら呟いているが今はそれどころではない

ドラゴンの方に向き直り首元を見ると首輪がされている

その首輪には見覚えのある玉がいくつもはめ込まれていた


「あれは・・・操魔の宝珠か!」


「そうだ、こいつは私の部下が数日前一匹でいたところをたまたま見つけてな。尾行させて操魔の宝珠を使って捕らえさせたのだ。兄上に内緒で飼う為に色々手を回して苦労したものだ」


隠してドラゴンを飼っていたなんて・・・もし首輪が外れたらどうするつもりだったんだ

というかこれはありなのか?それにこれだけの大きさだと周りに危害が及ぶ可能性もある

どうしたものかと思案を巡らせているとロザリアさんが結界を発動してくれた


「そんなドラゴンさっさとやっつけちゃいなさい!」


ロザリアさんのお陰で周囲の安全は確保されたけど・・・これはこのドラゴンと戦う流れか


「ふん、まぁいい。おいさっさと始めるぞ」


枷を外してもらい開始の合図を待つ

相手は子供とはいえドラゴン。この世界に来て初めての龍種だ

本来ならもっと驚くべきなんだろうけど初めて出会った龍がイグニアスさんだからなぁ

それと比べるとどこか迫力に欠ける。まぁ子供だからこんなものなのかな


「それでは・・・開始!」


開始と同時にドラゴンが突進してきたので僕はそれを横に飛んで回避する

大きな体を使って次々と攻撃を繰り出してくるが・・・このドラゴン、動きが遅すぎる

いくら子供とはいえドラゴンがこんなにのろまなワケがない

普段相手してもらっているオルフェウスさんの速度と比べると雲泥の差だ

気になってドラゴンをよく観察してみると、どことなくやせ細っているように見えるし元気がなさそうだ。ちゃんと食事をもらっていないのか?


秘孔拳を実戦で使ういい機会かと思ったけど、衰弱状態のこのドラゴンに使うのは何だか気が引けるな

曲がりなりにも同じ龍の血を引いてる影響だろうか?


「何をやっている!いけ!」


「ギャアアアア!!」


シュヴァインの命令で口からドラゴンの十八番(おはこ)であるブレスを吐いてきた

それに対してこちらもブレスで対抗する


灼熱の息吹(バーニング・ブレス)!」


地下牢に入れられてる時間を使って丸1日龍玉の力を引き戻す事に費やした

あの場所は集中力するのにはある意味適していたのかもしれない

お陰で"灼熱の息吹"と"飛翔"を再び習得することが出来た


ブレスとブレスのぶつかり合い

僕のブレスが徐々にドラゴンのブレスを押し返し、やがてドラゴンを飲み込んだ

しかし弱っているとはいえ流石ドラゴン。炎への耐性は高くあまりダメージは入っていないようだ


「グルルルルル・・・」


「やっぱり動きが鈍いな・・・でもこっちも負けるわけにはいかないからさ」


ケテ・・・タス・・・ケテ


脳内に誰かの助けを求める声が聞こえてきた

突然の事で驚き辺りを見渡すが当然周囲に人はいない

聞いた事のない声。この中で僕に語りかける事が出来る相手といえば・・・


「この声は・・・君なの?」


「グルルルルル・・・」


ドラゴンは操られている体を動かし軽く頷く

苦しみながらも必死に抵抗してこちらに助けを求めてきた

その瞬間から僕はもう勝負よりこのドラゴンを助ける事しか考えられなかった


「分かった。少し辛いかもしれないけど我慢して」


助けるにしても暴れられては狙いが定められない

魔力感知を発動させドラゴンまで一気に距離を詰めて懐に潜り込む

懐に入った僕を潰そうとするがただ暴れ回っているだけで攻撃と呼べる代物ではなかった

急所目がけて秘孔拳を打ち込む。するとドラゴンは見るからに苦痛の表情を浮かべた

よし。しっかりと効いているようだ

僕はドラゴンが怯んだ隙に首元へと移動し、首輪目掛けて攻撃を思い切り放った

操魔の宝珠がはめ込まれている首輪は破壊され、ドラゴンの拘束を解くことに成功した


「き、貴様何をやっている!そんなことをしたらそいつは・・・!」


シュヴァインの言葉など無視して僕はドラゴンに近寄っていきそっと顔を撫でながら囁く


「大丈夫。もうこれで君は自由だよ」


そう言うとドラゴンは喉を鳴らして僕に顔を(こす)り付けてきた


「クルルルル・・・」


「ははっ。くすぐったいよ」


なんかこの感じアイシャにすり寄っていくガーフに似ているな

もふもふじゃないのが少し残念だけど・・・

とにかくこのドラゴンに戦う意思はもうない

つまりこれは僕の勝ちってことでいいんだよね?

すると最上階にいた陛下が立ち上がり高らかに声を上げた


「この決闘、ドラゴンの戦闘不能と見做(みな)す。よって勝者リュウヤ!貴殿の罪を不問に処す」


陛下の声が闘技場全体に響き渡る

これで一先ず一件落着といったところかな

シュヴァインが納得いかないのか何か喚き散らしているがもう金輪際関わりたくないものだ


闘技場をあとにして皆の元へと向かうが新たな問題が発生した

子供ドラゴンにかなり懐かれてしまったようで退場したあともべったりな状態なのだ

このまま野に放すってわけにもいかないだろうし、やっぱり親元に一度返した方がいいんだろうか


「リュウヤ君!」


するとアイシャ、シロエ、クロエ、ガーフ。そしてオルフェウスさん達が出迎えにやってきてくれた


「アイシャ!皆も心配かけちゃったね」


「リュウヤ君が無事でよかったです・・・」


「私は心配なんかしていなかったぞ!」


「お疲れ様でした。そのドラゴン、どうしたんですか?」


シロエの言葉でこのドラゴンの事をアイシャ達にも相談しようとすると、ドラゴンの体が突然光りだした

眩い光りの中心に目を凝らすと、先程の巨体がみるみる小さくなっていった


「これは"人化"の魔法ね。ドラゴンなら子供でも出来る魔法よ」


ロザリアさんの言う通り、光が消えるとそこには人の姿をした可愛らしい少女が現れた

僕と同じ髪の色をした赤髪の女の子。下に目を向けるとなんと一糸まとわぬ姿で立っていた


「ちょっ!?服!服!」


慌てて目を隠す僕に向けて少女はゆっくりと口を開いた


「お・・・」


「お?」


「お腹減った・・・」



読んでいただきありがとうございます

次回更新は水曜日18時です。よろしくお願いします!

ブックマーク、評価大変励みになります!

「よかった」「続きが気になる」など思っていただけたら幸いです


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ