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異世界龍人記  作者: Aoi
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60話 特訓と親睦会

「さてリュウヤよ。お主は今から儂とひたすら打ち合いをしてもらうぞ」


「分かりました。お願いします」


僕は今別の訓練場へとやって来ている

1つの訓練場を皆で使うには狭いので、僕等は組み合わせ別に他の訓練場へ行きそれぞれ特訓を行うこととなった


「儂は細かい説明は苦手でな。習うより慣れろじゃ。では何処からでも打ってくるといい」


そう言って構えるオルフェウスさんには一部の隙も感じられなかった

僕も急いで構え、深呼吸を1つし地面を思い切り蹴り込む

しかしやはり思うように体は動かず僕の拳は(かす)りもしなかった

連続の攻撃を試みるも難なくオルフェウスさんに全て(かわ)されてしまい、その度に反撃をくらう

体は重いわ痛いわで散々だ・・・だがそれでもめげずに打ち込んでいく


「ほれほれ、それではいつまで経っても触れることすらできんぞ」


「くっそ・・・!」


ムキになって大振りしてしまった隙にタイミングを合わされて地面に叩きつけられる

あまりの痛さに思わず頭を抱えてしまう


「こんな簡単な挑発に乗るでない。戦闘はいつどんな時でも冷静にじゃ」


「いたたた・・・すみません」


「ほれ、さっさと立って続きを始めるぞ」


「はい!」


その日はひたすらオルフェウスさんに向かっていっては地面に叩きつけられるの繰り返しで初日からボロボロな有り様だった

結局一発も当てることが出来ずに終わってしまい悔しい思いはある

しかし体を動かしていく内に、徐々にではあるが怠さが抜けていき体に馴染んでいくような感覚があった


残念ながら覚えたスキルは特にない。試しに龍爪等の覚えていたスキルを発動してみようとしたが失敗

イグニアスさんに言われた通り龍玉を意識してやってみても反応がない

龍の加護はそのままなので無くなったというわけではない。まるで固く扉を閉ざしているようだった


「では今日はこの辺りにするとするかの」


「1つ聞きたいんですが、オルフェウスさんのその体術はなんなんですか?視界から突然消えて気づいたらいつも投げられてて」


「これか?これは我流で編み出したものでな。相手の視線の動きを誘導させてその隙を突く。体術とはちと違うがの」


あぁ、なんかそんな技術を以前テレビのマジック番組かなんかで見たことがあるな

それにまんまと引っ掛かっていたということか

タネが分かったとしてもそれでどうにかなるというわけでもないんだろうが・・・


他の3人の元へ行ってみようとすると、皆もちょうど訓練が終わったようで僕がいる訓練場へと集まってきていた

クロエは僕と同じ様にボロボロになっていて、アイシャとシロエはゲッソリとやつれていた


「皆お疲れ。訓練は・・・って聞かなくても大体分かるけど。どうだった?」


「今日一日ひたすら走り込みで剣すら触らせて貰えなかった・・・後ろからおっちゃんが追いかけて来て必死に逃げてたぞ」


クロエの小さな体であの巨体に追いかけられたら凄まじい圧迫感だろうな

想像するだけでも凄い絵面だ・・・


「私はミカエラさんが操る無数の人形(ドール)を相手に戦い続けてましたがまだ複数相手出来る手段がないので中々大変で。あとあの人意味もなく笑うのでなんだか不気味です・・・」


対集団を練習するにはミカエラさんが適任という訳か

新たな弾を製作するにはまだまだ時間がかかるみたいだ

ミカエラさんとは上手くコミユニケーションをとっていくしかなさそうだな・・・


「アイシャはどうだった?」


「私は大気中の魔素が無くなるまでずっと魔法の訓練をしていました」


「何か魔法習得出来た?」


「いえ、習得する為に魔力弾を延々と撃っていただけです。ガーフ君はそれを避けたりはたき落としたりしてました」


「アウンッ」


魔力弾とは魔力を集約させて放つ攻撃の事だ

シロエが白夜で弾を放つ際、火薬代わりに使っているのと同じ要領だ

アイシャの強さに比例して成長するガーフは今のところ暇なようでアイシャの的役になっているようだ


「そっかぁ。僕も今日はひたすら投げられて終わっちゃったよ。あっでも少しだけど体の感覚は戻ったかな」


「それは私も感じたぞ」


「私は撃ってて思いましたが、一度に集められる魔力の量と質が少し変わった感じがしました」


「私もアイシャさんと同じような感覚でした」


それぞれスキルや魔法の習得とまではいかずとも収穫はあったようだ

僕等が話しているとロザリアさん達があとからやってきて親睦会を開いてくれるということでギルドの酒場へと向かう事になった

その途中でちょうど仕事が終わったミレーナさんと出会ったので、人数が多い方がいいということで一緒に行くこととなった


「すみません。全く関係ない私まで」


「そんないいんですよ。手紙の件のお詫びもあるので気にしないで下さい」


いずれ何かお詫びでもと思っていたからちょうどいい


「そうですか?それではお言葉に甘えて・・・それでずっと気になっていたんですがあの服装に銀髪を2つに結んでいる方、もしかして白薔薇の吸血姫ロザリア様ですか?」


ミレーナさんが期待するような目をして問いかけてくる

白薔薇の吸血鬼?いやニュアンス的に吸血姫か?そんな二つ名があったんだ

それを聞いていたロザリアさんが白い顔を真っ赤にしてやってきた


「ちょっ!?あなたなんでそんな昔のこと知ってるの!」


「やっぱりそうだったんですね!小さい頃母からよく聞かされていたお話の特徴とそっくりだったのでもしかしてと思いまして。お母さんも祖母から聞かせれていたそうです」


「えっ!ロザリアさんが御伽噺に出てくるあの!?」


「特徴が一致しているとは思ってましたが本物だったとは」


「へーあの話に出てくるやつか」


どうやらアイシャ達もその話を知っているようだ。かなり有名な御伽噺なのか?

それにしてもそんな昔からある話ということはロザリアさんも相当長生きしているんだろうな

すると話を聞いていたダインさんがロザリアさんの肩を叩きながら大笑いして言う


「あっはっはっは!確かに薔薇の棘みたいにツンツンしてるもんなお前!」


「うるさいわね!そんなんじゃないわよ!というかそんなに広まってたなんて初耳なんですけど」


「そうなんですか?勇者の御伽噺にも出ているので知らない人はいないと思いますが」


それを聞いたロザリアさんは手で顔を覆い(うな)垂れる

意外と恥ずかしがり屋なところもあるんだな

それにしても勇者か。この世界にも勇者って存在したのか

そういった話は全く聞かなかったからいないものかと思っていた


ここで立ち往生していても仕方ないので、一先ず移動して食事をしながらロザリアさんから話を聞くことにしようと思い酒場に入る


「あの、ロザリアさんお話を・・・」


「お酒!なんでもいいから直ぐに持ってきて!」


ロザリアさんは入るや否やお酒を注文して無理矢理タイミングをずらしにきた

ここまで拒むとなると逆に気になってくる

どうにかして話を聞こうとしようとすると、なんと1杯目の途中で完全に出来上がってしまっていた・・・かなりお酒が弱いようでテーブルに突っ伏している


「ロザリアさん?」


「う~ん・・・うふ、君やっぱり可愛いねぇ♪一目見た時から気になってたのよねぇ」


「は?え?」


先程までの強気な態度はどこへやら。二重人格かと思い困惑する

ダインさんが大ジョッキになみなみと注がれているお酒を一気に飲み干しロザリアさんの状態を見ながら話し出す


「気をつけろぉ。こいつ面食いだからな。酔うと抑えが効かなくなるからお前みたいなのは襲われるぞ。しかも酔いが醒めると忘れてるときたもんだ」


「安心してぇ。お姉さんに全部任せなさい♪」


まさかこんなところで貞操の危機がやってくるとは・・・

するとアイシャがテーブルを勢いよく叩いて立ち上がり言い放つ


「そんなのダメです!リュウヤ君は私・・・と」


途中まで言って自分がとんでもない事を口走っている事に気づいたアイシャは先程のロザリアさんに負けない位顔を真っ赤にして席に座り直した


「フォッフォッ、若さよのぉ」


「ろ、ロザリアも寝ちゃったみたいだから大丈夫そうね・・・」


「私・・・こんな大勢の前でなんてことを・・・」


赤くした顔を必死に隠そうとする仕草はとても可愛いらしかった

アイシャには悪いがもう少しこの姿を見ていたい


寝てしまったロザリアさんからは話が聞けそうになかったので、悪い気もしたがオルフェウスさん達が知っている話を聞かせてもらうことにした




読んでいただきありがとうございます

次回更新は月曜日19時です。よろしくお願いします!

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