59話 組み合わせ
僕の儀式が終わると次はアイシャがいき、その後にシロエ、クロエの順番で行っていった
3人共特に問題も起きず覚醒の儀式は終わり、僕等は帝都へと帰還しているところだ
皆覚醒が終わった後は一様に体が怠かったり重かったりと一時的な不調に陥っている
覚醒後はこうなるようで数日もすれば体が慣れるとのことらしい
僕はステータスがどのように変化したのか気になったので確認してみることにした
すると以前とは大分表示が変更されていることが分かった
まずレベルそのものの消失。これは昨日オルフェウスさんから聞いていたので分かっていたが、他にHP、MP等といった数値化されて見えていたものが無くなっているのを確認した
まぁそもそも自分の生命力や能力を数値で見れていたのがおかしかったのかもしれない
それに強力な相手になっていくとスキルや魔法を見られないよう対策をしているらしいので龍の眼はアテにならないそうだ
MPについては大気中に存在する"魔素"と呼ばれる魔力の源となるものを使用して魔法を発動できるようになるらしい
今までは自分の体内で生成された魔力を使って魔法を発動していた為有限だったが、大気中に魔素が存在する限りほぼ無限に使えるようになった
一度に扱える魔力量には個人差があるようだが、精霊の加護を持つアイシャにはそれがない
なので一部を除いてどんな強力な魔法でも扱う事ができるのだ
そして最後にスキル、魔法の取得法
レベルの上昇に応じて自動的にスキルや魔法を取得していたので必要のないものが多かったが、これからは自分のスタイルに合ったものを好きに選択できるようになったのだ
習得法は実戦あるのみ。剣のスキルを習得したいなら剣技を磨き、魔法を習得したいのならひたすら魔法の特訓を
そうすることで新たな技を習得出来るようになる仕組みになっているとオルフェウスさんが言っていた
覚醒というとやはり飛躍的に強くなるイメージが強いが、どちらかというとコツコツと強くなっていかないといけないのでこれからまた頑張らなくては
大まかな説明が終わるとオルフェウスさんは僕等にこれからの事を話し始めた
「明日からは各々に合った特訓を行ってもらうことになる。声をかけておった奴等もそろそろ到着する頃じゃろうしな」
「奴等?」
「儂がまだ冒険者だった頃、各地を共に渡り歩いた仲間じゃよ」
「へぇ。どんな人達か気になりますね」
「儂ともう1人は人族であとの2人は他種族じゃな」
今思うと人間以外の種族はよく見かけてたけどちゃんと話すのは初めてになるかもしれない
って他の人から見たら僕も他種族に含まれるんだった
なんにせよ楽しみだ
帝都に帰還し部屋に戻ると僕等は泥のように眠りについた
翌日起床後、体の重さはマシにはなっていたがまだ怠さが抜けなかった
珍しくクロエの朝ご飯もいつもより量が少なかった。それでも人並み以上には食べてるんだけど・・・
支度を整え重い体を訓練場へと向かわせるとそこにはオルフェウスさんと他に3人の姿があった
「オルフェウスさん、お待たせしました」
「ん?お、こいつらか?お前が言っていた奴等は」
「まだまだ子供ね」
「皆可愛らしいわ・・・」
2本の角を生やした大柄な男性にアイシャと同じ銀髪でゴスロリのツインテール少女。それと顔色が悪く今にも倒れそうな女性がこちらを見てそう言った
この人達がオルフェウスさんの仲間か
当たり前だが皆かなりの強さを持ち合わせていると肌で感じた
特に真ん中のツインテ少女。見た目は僕より少し歳上位と一番若そうに見えるがこの中の誰よりもずば抜けた実力を持っているように感じる
「では皆集まったところで儂の仲間達を紹介するかの。まずは鬼人のダイン」
「よろしくな!」
「それでこっちは人形操術師のミカエラ。儂と同じ人族じゃ」
「よ、よろしくね・・・」
鬼人のダインさんに人形操術師のミカエラさんか
鬼人はディグリアで何度か見たことあるが、ダインさんは袴に日本刀のような形をした剣を2本腰にぶら下げていてまるで侍のような様相をしていた
ミカエラさんはマリオネット。人形使いか
今まで見たことないタイプだから興味深い
ただ一点、彼女の服の中から見え隠れしている体の縫い目部分が非常に気がかりだ
一箇所だけでなく至る所を縫い合わせているように見えるが・・・
僕の視線に気づいたのか、ミカエラさんが自ら語り始めた
「わ、私は新鮮な死体の一部と自分の体の部位を交換しているの。この縫い目はその時ので・・・あ!も、勿論合法的にね?そうすることで寿命を延ばしているの・・・ふふっ」
こっわ。合法的にってどこまでが合法なんだ。始めはただの気弱そうな人かと思ったけどかなり危ない人なんじゃ・・・いやでもオルフェウスさんの仲間なんだから流石に大丈夫だよな?
「久々に会ったが相変わらず気持ち悪いなお前!あっはっは!」
「あ、貴方も相変わらずねダイン・・・」
「そして最後にヴァンパイアのロザリアじゃ」
「よろしく」
ヴァンパイア!こちらも初見だ
ゴスロリの姿に目がいって気づかなかったが確かに口元からは可愛らしい八重歯が出ている
しかし知っている限りじゃヴァンパイアは日光に弱かったはず。こんな天気のいい日に日よけになるものも持たずにいて大丈夫なのだろうか
「ロザリアさんは太陽の下でも平気なんですか?」
「ちょっと、私をそんな低級なヴァンパイアと一緒にしないで。私くらいになると太陽なんてとっくに克服してるんだから」
「でもお前、自分専用の特殊な日焼け止め必死に開発してたじゃねぇか」
「黙りなさいダイン!これはちょっと肌荒れするから予防として塗っているだけよ!」
ちょっと強気なところがあるけど可愛らしいところもあるようだ
こちらも簡単な自己紹介をしてお互いの名前を認知したところでオルフェウスさんが話を進めた
なんでもロザリアさんが能力鑑定という魔法を用いて僕等1人1人のスタイルを元にアドバイスをしてくれるとのことだ
それで特訓する組み合わせも決めるらしい
まずはクロエから見ていくこととなった
「クロエは素早さを上げていった方が良いわね。魔法は影魔法とあといくつか相性がいいのあるからそっちを習得していくといいわ。ひたすら走り込んでダインに剣術と間合いの取り方を学びながら魔法の訓練ね」
「よろしくな嬢ちゃん!」
「おう!よろしくな!」
クロエはダインさんになったか。ノリが似ているからやりやすいんじゃないだろうか
速さ特化手数で押していくって感じか
確かにそっちの方がクロエには合ってるかも。それ以外はシロエの支援で補ってもらえばいいだろう
「次はシロエね。あなたのスタイルは初めて見るし変に弄らない方が良さそうね。その銃?とかいう武器を使いながら味方の支援を同時並行できるようにすること。あとは攻撃手段を増やすのと複数の敵に対する対策、近接時の対応をミカエラ相手に練習ね」
「分かりました。よろしくお願いします」
「よ、よろしくね・・・綺麗な肌。ふふ・・・」
シロエはミカエラさんとか
今のままのスタイルで問題はないようだし課題もシロエ自身が前々から考えていたものだったから心配はなさそうだが・・・ミカエラさんの言動がいちいち不安にさせる
まぁシロエなら大丈夫かな?
「で、アイシャ。あなたは私とね。あなたは加護持ちらしいから私が直々にたっぷりと教えてあげるわ」
「よ、よろしくお願いします!」
まぁ妥当だな。この中で一番実力のあるロザリアさんならきっと安心だろう
ということは僕の相手はオルフェウスさんという事になるのか
ロザリアさんが最後に僕の方を向いた。どんな助言をもらえるのか期待して待つ
「リュウヤだったわね。あなたには魔法の才能がほとんどないから諦めて。龍人のスキルは優秀だからそっちに専念してオルフェウスに近接戦闘を教えてもらった方がいいわね」
僕はロゼリアさんの言葉を聞いて思わず膝から崩れ落ちた
確かに以前から僕だけが初級の魔法以外覚えられていなかったが・・・異世界の一番の醍醐味と言ってもいい魔法を諦めなくちゃいけないのか
でもスキルは優秀とまで言われているのだから仕方ないがそちらを伸ばそう
「よし、では組み合わせも決まったことだし始めるとするかの」
こうして僕等の地獄の特訓が始まった
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