4話 巨角ウサギとの戦い
「ハッ!・・・ふぅこれで30匹目か」
朝食を終えた僕はすぐさま準備をし、作物を荒らす一角ウサギ倒しに勤しんだ
レベルは11まで上がった。スキル龍爪に付加されていた飛爪斬は龍爪の爪に魔力を纏わせ放つ技だった
龍玉の力とはまた違うもう1つの力、魔力を使う技で始めは上手くいかなかったが要領は一緒だったので使い慣れるまでは早かった
戦闘での立ち回りも大分慣れてきてウサギが何体出て来ようが問題なくなった。レベルの上がり具合も悪くなってきたしこの辺りでのレベリングは打ち止めかな
「さて、魔石の回収も終わったし一旦村長さん家に戻るか」
今朝、村長と話した時に魔石は僕が貰っていいとのことだったので有り難く貰っておくことにした
魔石を回収し終わり村へ帰ろうとしたその時、1体のウサギが小麦畑から飛び出して来て丘の方へと走っていった
「あのウサギどこへ行くんだろ。もしかしてこの近くに棲み家でもあるのか? 付いていってみるか」
もしかしたら一網打尽に出来るかもと考え、後をつける
ウサギを追っていくと丘を半周程した所に窪地があり、そこに洞穴を作り棲み家にしていた
そして棲み家には、今までのウサギよりずっとデカい車位の大きさをしたウサギが2体潜んでいた
「でっかいなぁ。あれがウサギの数が多くなった理由かな とりあえず場所は確認できたし一旦立て直してから挑もう」
戦うにしてもどの程度の強さか分からない相手には万全な状態で挑んだほうがいいだろう。村に戻ってしっかり回復と報告をしてからにしよう
すぐさま村へと向かい、村長のダンさんにこの事を話した
「それは巨角ウサギだな。一角ウサギより何倍も大きく巨大な角を持っている。繁殖力も通常よりずっと高いんだ 通りで倒しても倒しても減らなかったんだな」
「その巨角ウサギの強さはどれくらいなんでしょうか?」
「この村には剣を扱える者が3人で、その3人で1体てところかな」
あの洞穴で確認できたのは2体。もう1体を僕が相手したらなんとかなるか?
「あそこの棲み家で確認できたのは2体でした。1体はそちらにお願いしてもう1体は僕が仕留めます」
「リュウヤ君1人でかい? 君の戦闘を見ていないから言わせてもらうんだが危険じゃないか?」
「大丈夫です。洞穴で奴の動きを見ましたが素早くはなさそうだったのでなんとかなると思います」
「そうか・・・分かった!もう1体は君に任せる。準備が出来たらその洞穴に向かおう」
ダンさんは早々と昼食を済ませ、剣を扱える人達を呼びに行った
小一時間程経過し、回復した頃にダンさんが後ろに2人を連れて戻ってきた。3人共防具を装備し帯剣していた
「剣を扱える1人ってダンさんだったんですね」
「ああ、こう見えてこの村では一番強いんだよ。それじゃあ準備も出来たことだし行こうか」
こうして4人で巨角ウサギの棲み家へと向かうことになった。道中、ダンさん等は一角ウサギを倒しつつ巨角ウサギと戦う際の段取りを決めていた
(なんかああいうのいいなぁ。僕にもいつか仲間ができるといいな その為にはもっと強くなっておかなくちゃ)
なんてことを考えていたらあっという間に洞穴にたどり着いた。各々が戦闘準備に入り洞穴へと入っていく
「見つけた・・・!都合がいいことにあいつら壁側向きで寝てるな。よし、奇襲で先制しよう。奴らは耳が良いから出来るだけ音を立てずギリギリまで近づいてそこから一気にいくぞ」
ダンさんの指示に僕等は頷き、そぉっと近づいていく。20m位まで近づいた時、巨角ウサギの耳がピクッと動いた。こちらの足音を察知したのだろう
それに気づいた僕達はダンさんの合図で一斉に走り出し一気に距離を詰め、巨角ウサギに攻撃を仕掛ける
「龍爪!」
応戦する為に体を起こそうとしているところに龍爪を喰らわせる。巨角ウサギは皮膚が厚いのかダメージは入っているものの致命傷とはいかなかった
だが怯ませるには十分だったようで相手は後ずさりしていた。それを見てすかさず追い打ちをかける
「飛爪斬!」
龍爪からの一旦距離を離し遠距離からの飛爪斬で相手の分厚い皮膚を切り刻んでいく。少々卑怯な気もするが力が有り余ってるあの巨躯で暴れられて無駄に一発喰らうより確実に弱らせてから接近戦に持ちこんだ方がいいだろう
「キュイイイイイイイイイイイ」
数発撃ち込むとたまらず叫びをあげ、壁際に後退りする巨角ウサギ。こちらの攻撃で大分弱ってきている そろそろ接近戦に変えてとどめだ
地面をグッと踏み込み一気に距離を詰める。こちらが接近してきてるのを察知して立ちがって前脚を振り下ろして攻撃してくるが、既に弱りきっている相手の大振り攻撃を避けるのなんて容易いものだ
「これでとどめだ!龍爪!」
相手の懐に入り込み、相手の喉元に龍爪を放つ。致命傷を負った巨角ウサギは力なく倒れ魔石となった
巨角ウサギは一角ウサギより大きいだけあって魔石のサイズも中々のサイズだ。魔石を回収する前にダンさん達の状況を確認する
ダンさん達は上手く連携をとって相手に着実にダメージを与えていた。加勢しようかと思ったが自分が入ることによってリズムを乱すのも良くないと思い、取り巻きの一角ウサギの対処と周りの警戒をすることにした
程なくするとダンさん達が巨角ウサギを仕留めた。こちらも最後の取り巻きウサギを仕留め、巨角ウサギらとの戦闘が終わった
「ふぅなんとかなったなぁ。リュウヤ君が周りの一角ウサギの対応をしてくれたお陰で集中できたよ」
「お疲れさまです。こっちが思ったより早く終わったのでダンさん達の援護ができてよかったです」
「しっかしお前さん、龍人だったのか 驚いたわ」
「龍人は我が強く気位が高くて接しにくいなんて聞いてたけど君見た感じ全然そんな感じしないな」
魔石回収を終えた男性2人が話しかけてきた。僕の戦闘を見ていたのだろう
「そ、そうですかね? あっ龍人って言ってなかったんですけどマズかったですかね?」
異種族を嫌うケースがあるのを忘れてた。そういうのは前世では縁がなかったから全く考えていなかった
「別になんの問題もないよ。異種族だからって何も変わらないしないよりリュウヤ君はいい子だ。なんの心配もしてないよ」
ダンさんの言葉にホッとする。それにしても龍人て他にもいるのか・・・同族なら機会があれば会ってみたいな
「それより仕事は終わったからさっさと帰ろう 疲れちゃったよ」
ダンさんがそう言って村へと歩き始めた。僕も村へ帰ろうと歩こうとすると、最早お馴染みとなったレベルアップの音が聞こえた
「結構ステータスも伸びたなぁ・・・ん?これはえーと龍の眼。対象のステータスを視ることができ、素材、アイテム等の名前や効果も分かるのか これは便利だな! あっ!魔法も習得してる!」
初級魔法の火魔法「ファイア」に回復魔法「ヒール」の2つを習得することができた
こうして巨角ウサギを倒し新たなスキルと魔法を習得出来て満足な結果で終わり村へと帰還するのであった
ナグモ リュウヤ 15歳(男性)
Lv15 種族:龍人
HP:560 MP:90
攻撃力:95 防御力:120 敏捷性:90
魔法攻撃:56 魔法防御:78
スキル:龍爪+飛爪斬、 龍の眼、龍の加護
魔法:ファイア、ヒール