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異世界龍人記  作者: Aoi
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48話 エルトピア迷宮攻略①

オルフェウスさんを先頭に扉の先の階段を下っていく

壁には外灯が設置されていて、僕等がそれに近づくと反応し足元を照らしてくれた


「着いたぞ、ここを開けると1階層じゃ。この迷宮は10階層まで続いていて、下に行くにつれて敵が強くなっていくから気をつけるんじゃな。それと休む時は安全地帯(セーフティエリア)からそこで休憩するといい」


「安全地帯?」


「迷宮の各階層には魔物が寄りつかない安全地帯というのがあっての、休憩するならそこが安全なんじゃよ」


「なるほど、分かりました。ありがとうございます」


「うむ。では一月経ったら迎えに来るからそれまでしっかりやるんじゃぞ」


そう言って出口に向かおうとするが、何か言い忘れたのかこちらに戻ってきた


「あー待て待て、これを渡すのを忘れておったわ。ほれ」


懐から白い紙を取り出し渡してきた

なんの紙かと見てみるが特に何も書かれていなかったのでオルフェウスさんに問う


「これはなんですか?」


「これは特殊な地図での。迷宮で迷わない様一度通った道を記憶してここに自動で書き記してくれるんじゃ」


つまりはマッピングをしてくれるのか

確かに何度も同じ道を通ったりせずに済むしレベルが上がりやすい場所も確認出来る。これは有難い


「ありがとうございます。よし、じゃあ皆行こうか!」


「はい、頑張りましょうね」


「バウッ!」


「足を引っ張らないよう頑張ります」


「たくさん倒すぞー!」


「しっかりやるんじゃぞぉ」


オルフェウスさんに見送られ僕等はエルトピア迷宮第1階層へと足を踏み入れた




第1階層に入って待ち受けていたのは大量の魔物

大量といってもどの魔物も一角ウサギレベルで手こずるような魔物は現れず、ひたすら湧いてくる魔物を倒し先へと進んでいった

この階層では魔物が集団で襲ってくるので一回の戦闘で数十分の時間を要することとなっていた


「ふぅ・・・あらかた片付いたかな?」


「そろそろ休憩しましょうか」


「えー!もっと戦いたいぞ!」


「何言ってるの。1ヶ月もあるんだから適度に休まないと体力が持たないわよ」


「ぶー・・・」


シロエの言う通り、この階層は肩慣らしで軽い気持ちで戦った方がいいだろう

それに今回シロエとクロエが加わっての戦闘はこれが初めてだ



迷宮に入ったところで話を聞かせてもらったが、クロエの戦闘スタイルは短刀と魔法を駆使した戦いで僕と同じ接近戦を得意としていた


初めて出会った時に使われた霧の魔法"ドレインミスト"はクロエの魔法だったらしいが、本来ああいった回りくどいやり方は好むところではないらしく前線でガンガン戦う方が性に合っているとのこと

まぁクロエらしいと言えばらしい


対するシロエは支援系の魔法に特化している後方支援タイプだ

1つの属性しか使えないとされているシロエの属性は"技属性"というものらしい

火や水といったメジャーなものと違ってあまり知られていない属性のようだが、味方に身体強化を施したり武器や防具、アイテムが持つ能力を高めたりと幅広いエンチャントの役割を担ってくれている


アイシャも能力強化の魔法は使えるがシロエの方が特化型というのもあってか、この属性に関してはシロエに軍配が上がる

その支援のお陰で華奢な体のクロエでも力強い攻撃が可能な上、短刀の切れ味も強化していることから魔物をバターのように倒していくことが出来た


「まぁまだたっぷりと時間はあるんだしこれから嫌という程・・・ん?」


魔物を掃討して一段落つこうとしていると、奥の方から地面を這う様な音が聞こえ、こちらに近づいてくる


「皆、敵が来るよ!」


探知網では数え切れない程の魔物がこちらにやってきている

僕の掛け声で座って休んでいた皆は一斉に戦闘態勢に入り、魔物を迎え撃つ

僕等の元にやってきたのはミミズの姿をした魔物"ダンジョン・ワーム"

迷宮を住処としている魔物のようだ

見た目はミミズだが僕の知っているミミズとは比べ物にならない大きさで体長は1mはある

口を開けるとドロッとした粘液が地面に滴り落ちる


「ぎゃー!なんだあのウネウネした魔物は!」


「なんですかあの動き・・・気味が悪いですね」


クロエ、シロエは魔物の姿を見た瞬間、明らかに引いている

アイシャも苦手なのか目を逸らしている

一体一体の強さは先程の魔物達と変わらないが、なにしろ数が多い

協力してもらわないと中々大変な作業になってしまうが・・・


「ガウッ!」


どうしようかと考えている隙にガーフが1人突貫していき、ダンジョン・ワームを次々と食い千切っていった


「よし、ガーフが先陣を切ってくれたから僕達も続こう。ほらクロエ」


「うぬぬぬぬ・・・あとで一杯ご飯を寄越すんだぞー!」


僕と半ばヤケクソになったクロエがガーフに続きダンジョン・ワームに立ち向かう

アイシャとシロエには変わらず後方で援護をしてもらう

動きも鈍く、大した強さでもないのでこちらに向かってきたワームは次々と倒していく

ただ、倒したワームが魔石となって消えても垂らした粘液は残るようで、地面が滑りやすくなっていた


「うひぃ。切った感触も気持ち悪いぞ・・・」


「でも大分減ってきたよ。クロエ、足元が大分滑りやすくなってきてるから気をつけて」


「靴もベタベタだぁ・・・」


粘液が付着した靴を見ながらクロエが呟く

するとワームがクロエに向かって粘液を吐き出した


「クロエ!避けて避けて!」


「え?・・・わぶっ!」


不意を突かれる形で粘液を頭からモロに被ってしまう

すぐさまクロエの安否を確認。体には特に異常はなさそうだ

が、体中が粘液まみれになってしまっていた

肩をプルプルと震わせるクロエ


「うぎゃー!お前らもう許さんぞー!覚悟しろ!」


激怒したクロエが残りのワームを切り倒していき会敵してから数十分、大量に湧いてきたダンジョン・ワームをようやく全滅する事ができた

戦闘が終わる頃には粘液まみれだったクロエの服や髪は乾いてカピカピの状態になっていた


「うぅ気持ち悪いぞ・・・風呂に入りたい・・・」


「確かにちょっと、いやかなり生臭いわね」


「酷いぞ姉さん!」


「とにかく魔物が来ない場所まで移動しましょう。ガーフ君もかなり汚れてしまったみたいですし」


ガーフの方を見るとクロエと同じく相当粘液が体に付着している

僕は粘液が当たらないようにしていたので靴とズボンに少しかかった程度で済んだ


「クゥ~♪」


頑張ったご褒美に撫でてもらおうとアイシャの元に近寄っいく


「あ、ちょっと・・・ごめんなさい」


それを手で制止し、拒否する

まぁあの状態でくっつかれたらアイシャまでベトベトになってしまうからな・・・

ガーン!という効果音が聞こえてきそうな程ショックを受けるガーフ

まぁそれは放っておいて、ここにいてはまた魔物がやってくる恐れがあるので魔物が来ない安全地帯を探す事にした

魔石は粘液まみれで回収が大変だった・・・


幸運な事に探し始めて数分で見つけることが出来た

僕等5人が休憩するには十分すぎるスペースで、オルフェウスさんの言う通りこの辺りからは魔物の気配が全く感じられなかった


「早く風呂に入らせてくれぇ」


「待ってなさい。すぐ準備するから」


そう言うとシロエはそこら辺にあった石ころを拾い集めだし、円を描くように配置していく

何をするのか興味深いので近くで見させてもらう


「いきます」


合図とともに石ころが揺れだし一気に形が変わる

先程まで片手に収まる程度だった石が岩へと変化し、瞬く間に岩風呂の形が出来上がった


「何これ!」


「"形状変化"という魔法で大きくしたり小さくしたりと自在に形を変えられるんです。まぁ石や土といった無機質な物にしか使えないので大して役に立ちませんけどね」


「いやそんな事ないよ。凄いと思う」


「そ、そうですか?ありがとうございます」


シロエは少し照れた顔をして微笑んだ

なんてったってこの魔法があればいつでもどこでもお風呂に入ることが出来る

これほど嬉しいことはない


それから地面の深さも調整し、そこへアイシャがウォーターボールで水を入れていき僕のファイアで沸かしていく

そうすることで迷宮に見事なお風呂が出来上がった


「こんな感じかしら。クロエ、出来たわよ」


「待ってたぞ!では早速・・・」


カピカピになった服をその場で脱ぎだし無造作に放り投げる

衝立(ついたて)もなくその場にいては気まずいので僕は警備をしに行くことにした


「僕は念の為入口の方見張っておくからゆっくり入ってていいよ」


「すみません。じゃあガーフ君も綺麗にしましょうね」


「キューン」






「クロエは相変わらず男の目を気にしないなぁ」


入口の方へと移動しながらオルフェウスさんにもらった地図を見直す

この階層の3分の1程度は埋められただろうか


今日は初日ということもあり、食事を済ませたら眠気が襲ってきたので就寝し明日から本格的に迷宮攻略を挑むことにした

読んでいただきありがとうございます

次回更新は月曜日19時です

「よかった」「続きが気になる」など思っていただけたら幸いです

感想やレビュー、ブックマーク等々気軽にして頂けると大変有り難いです!よろしくお願いします

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