43話 怒りの鉄槌
「ただいまぁ」
「おかえりなさい。買い出しありがとうございました」
「いいよいいよ。あっ皆でお風呂入ったんだ」
ちょうどお風呂上がりだったようで、皆で髪を乾かしている最中だった
ガーフが風の魔法で3人に向けて風を送り、その風がこちらに石鹸のいい香りを運んできた
「はい、あとでリュウヤ君も入って下さい」
「眺めも良くて気持ちよかったぞ~」
「それは良かった。あとで僕も入らせてもらうよ」
その後僕も風呂に入りクロエが言っていた景色を眺めながらゆっくりと浸かり疲れを取る
夕飯になるとクロエは昼と同等の量を平らげていた
本当に毎食これだけ食べるんだな・・・と再認識させられた
夜も更け、そろそろ寝ようかという時間になるとクロエが唐突な事を言い出した
「なぁ、ベッドをくっつけて皆で一緒に寝ないか?」
「いいですね。くっつけましょう」
「全く、クロエは甘えん坊ね」
3人はベッドを移動してくっつけ始めた
そこで仲良く寝ている姿を想像するととても微笑ましい
そう思いながら僕は自分ベッドへと向かった
「ははっ、楽しそうだね。じゃあ僕もそろそろ寝るよ。おやすみー」
「なにやってるんだ。リュウヤも早くこっち来い。皆でと言っただろう」
眠りにつこうとすると、ベッドに寝転がっていたクロエが起き上がり僕に向けて突拍子もない事を言いだした
「はい?」
異性との関わり方を知らないクロエの無茶ぶりが発動してしまった
当然ここは冷静に断ろうと冷静に振る舞う
「いやいや、僕がそっちに行くのはまずいでしょ。アイシャとシロエだってそう思うよね?」
「私は問題ありませんよ」
「私もいいですよ。リュウヤ君の事は信用してますので」
2人に助け舟を求めたが無意味だったようだ・・・
3人から送られてくる視線に観念してベッドをくっつける
皆で寝ると言っても端の方に寄って寝れば問題ないだろう
そう思って端っこへ行こうとしたが何故か僕が間に挟まれる形となってしまった
「ねぇ、なんで僕が真ん中なの?」
「まぁまぁ良いではないか」
右にはケモ耳、左にはエルフっ子。そしてどちらも美少女
両手に花の状態で喜ぶべきシチュエーションなんだろうが・・・
これじゃあ寝れるものも寝れないじゃないか!
と、思っていたが昨夜の一件と買い出しの疲れからかベッドに入るとたちまち眠気に襲われ、数分程で眠りについてしまった
「リュウヤさん寝ちゃいましたね」
「なんだ色々話しようと思ったのに」
「疲れていたんでしょうね。寝させてあげましょう」
ぐっすりと寝入っているリュウヤの寝顔を見て微笑むアイシャだが、その横でクロエがおもむろにリュウヤの体を触りだすのを目撃してしまった
「な、何やってるんですか!」
起こさないよう小声でクロエを制止させようとする
「ほぅ、想像より男の体というのはゴツゴツしているんだな」
「クロエ」
「シ、シロエちゃん」
リュウヤの体を弄るクロエにシロエが声をかける
クロエのことを注意してくれるだろうとアイシャは安心するが、シロエが口にしたのは期待していたものとは真逆のものだった
「クロエ、私にも触らせなさい。後学の為に隅々まで見させてもらいましょう」
「隅々まで!?」
アイシャの予想に反してシロエまでもが参加し始めてしまった
シロエの触り方は文字通り隅々まで探るようにリュウヤの体を弄くり回していた
「う、んん・・・」
「あ、ほら!リュウヤ君が起きちゃいますよ!」
しかし2人の手は止まらず腕から上半身へと移っていく
着ていた上半身の衣服を脱がし直に触りだした
「意外としっかりとした体つきなんですね」
「な、なんだか男の体を触っているとなんというかこう・・・ドキドキしてくるな」
「2人とももうその辺にしておかないと・・・」
腕だけならまだしも上半身を直に触りだしてしまったら黙ってはいられない
2人が好意を抱いていての行動ならまだしも、興味本位で意中の相手を目の前で弄られて黙っていられる程お人好しではないのだ
上半身から次第に下へ下へと手が動いていき、2人の手は遂に下半身へと伸びていった
「ここはどうなっているんだろうか・・・ゴクリ」
「興味深いですね・・・」
警告を聞かずに続行する2人を見て遂にアイシャの堪忍袋の緒が切れた
「うぐっ!」
「ク、クロエ!?」
クロエの首に腕を回し絞めつける
咄嗟の出来事に反応出来なかったクロエは為す術もなくアイシャに捕らわれてしまう
「2人とも・・・いい加減にしないと怒りますよ」
「ア、アイシャ・・・も、もう怒ってる・・だ・・ろ・・・うっ」
絞める力を強めたことによってクロエは気を失い、ベッドに横倒しになる
そして次はシロエへと視線を向ける
「ア、アイシャさん・・・すみませんおふざけが過ぎました。大人しく寝るので許して・・・うぐっ!」
シロエの謝罪も虚しくクロエ同様捕まり絞め落とされてしまった
ぐっすりと寝ているリュウヤはまさかこんな事になっているとは夢にも思わないだろう
「ふぅ・・・それじゃあ私も寝ますかね。おやすみなさい」
そう言うとアイシャも横になり眠りについた
その光景を見て恐怖し震えるガーフはちゃんと言うことを聞こう・・・と改めて強く誓ったのだった
「ふわぁ・・・もう朝か。なんだかんだすぐ寝ちゃったなぁ・・・あれ?ボタン留めておいた筈なのに外れてる」
「おはようございますリュウヤ君。今日もいい天気ですよ」
「あっおはようアイシャ。本当いい天気だね。これなら今日も問題なく次の目的地まで行けそうだね」
アイシャは僕が起きるより早く目覚めていたようで、既に着替えを済ませていた
シロエ、クロエもちょうど今起きたようでゆっくりと体を起こす
「シロエとクロエもおはよう。よく眠れた?」
「お、おはようリュウヤ・・・気づいたら朝だったよ・・・」
「おはようございます・・・私も一瞬で眠りに落ちました・・・」
2人共よく眠れたようで何よりだ
でも心做しか何かに怯えてる様な気が・・・?
まぁ勘違いだろうと思いつつ僕もベッドから出て支度を始めた
「姉さん、アイシャに逆らうのだけはやめような・・・」
「そうね・・・命を取られかねないわ・・・」
後ろでコソコソと何を話してるんだろう
小声で話し合っている2人にアイシャが近寄る
「シロエちゃん、クロエちゃん」
「「ひゃい!」」
声をかけられた2人は背筋を伸ばしアイシャの方へと体を向ける
「着替えが終わったら朝食を食べに行きましょうね♪」
「わ、わあ楽しみだなぁ」
「す、すぐ着替えますねー」
なんだかやけに素直な気がするのは気のせいだろうか
僕が寝た後に何かあったのかな?
着替えを済ませ、朝食を食べ終えた僕等はその後エンベルの町を発った
次の村でまた一泊し、翌日太陽がてっぺんに到着する前に帝都が見える場所までやってきた
約1週間の旅ももうすぐ終わりを告げる
ここまでの大移動は初めてで途中色々あったが、何とか到着することが出来た事に安堵する
帝都に近づくにつれ、僅かではあるが潮の香りがここまで漂ってきた
きっと帝都に入るともっと香りが強くなってくるだろう
「この匂いはなんでしょうか?嗅いだことない匂いがしてきました」
「これは海の香りだね。風に乗ってここまできてるんだと思うよ」
「へぇ、これが海の匂いなんですね。早く見てみたいなぁ」
以前話した時にも楽しみにしていたからな
尻尾をパタパタと振って帝都の方を眺めている
一方シロエとクロエは、海という単語自体初めて聞いたようで不思議そうに首を傾げていた
「なぁなぁ、海というのはなんだ?」
「初めて聞きますね」
「海っていうのはそうだな・・・川や池なんかとは比べ物にならない程広大な湖とでも言えばいいかな。何十キロ、何百キロとずっと先まで続いてるんだよ」
僕の説明を聞いて興味を持ったのか、2人共目を輝かせていた
「なんだが凄そうだな!そこで泳いでみたいぞ!」
「どのような生物がいるか興味深いですね。是非行ってみたいです」
「私もですけどお2人の水着も買わないといけませんね。帝都のお店に一緒に買いに行きましょう♪」
アイシャに加え、2人もかなり乗り気な様子だ
3人の水着、楽しみにしていよう
そんな話をしているといつの間にか帝都の入口までやってきていた
海も勿論楽しみだが、僕等がここへきた本来の目的を果たさなければいけない
「さぁ皆帝都に到着したよ。中に入ろう」
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次回更新は水曜日19時です
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