42話 初めての町で
検問を無事通過し、ようやく帝国領に足を踏み入れる
当初の予定通り近くにある町を目的地とし、今日は早めに休む為馬車を走らせた
シロエとクロエ、2人が加わり僕等のってパーティも大分賑やかになった
「おぉおぉお、ここは凄いガタガタするな」
「すみません、後ろは人を乗せるような作りになっていなくて。町に行くまでの間だけ我慢して下さい」
「町に着いたら早速改装した方が良さそうだね。出来るお店があればいいんだけど」
荷台の広さは十分だから座る場所だけ改装してもらえればなんとかなるかな
あと長時間座っても疲れないようクッションのようなものも買った方がいいかも
これは御者台の分も買った方が良さそうだな
「そういえばシロエ達は町の中に入ったりするのって初めてだったりする?」
「はい、今まで山や森といった自然の中で暮らしていたので行ったことありませんね。そもそもエルフという種族自体がそういう場所を好んで暮らしているので滅多に人の住処に足を運ぶことはありません」
「どんな所なんだろうなぁ」
2人にとっては町は初体験となるのか
たくさん人がいる場所もきっと初めてだろうししっかり見守ってあげないと
今日目的地としている町、エンベルは検問を抜けると既に見える距離にあったので数十分馬車を走らせた程度で到着した
「ここがエンベルの町か。早速今夜の宿をとりにいこう。リリアーナさんがここのオススメの宿を書いてくれてるからそこに行ってみよ」
「リュウヤ、お腹が減った。ご飯が食べたいぞ」
「ん~じゃあ時間もちょうどいいし先にご飯にしよっか。2人もそれでいい?」
「はい、いいですよ」
「私も大丈夫です。クロエがすみません」
クロエの要望で先に昼食にすることにして良さそうなお店を探した
「おぉ、人がうじゃうじゃといるな」
「あそこは何を売ってるんでしょうか。気になりますね」
町の中を進んでいると2人は物珍しそうに周囲を見渡していた
きっとずっと自然の中で暮らしてきたから見るもの全てが新鮮に感じるのだろう
町の広場近くまで行くと食堂を見つけたのでそこに入ることにした
「はい、メニュー表です。この中から好きなのを選んで下さいね」
「どれどれ。たくさんあるな」
クロエはシロエと2人でメニュー表を見ながら料理を注文していく
暫くして僕は運ばれてきた料理の数に目を疑った
明らかに人数分よりも多い料理がテーブルいっぱいに並べられたのだ
「えっ、いつの間にこんなに注文したの。というかこれ食べ切れないんじゃ・・・」
「私が注文したぞ?これ位なら余裕で食べられるから安心しろ♪」
「クロエは毎食これ位普通に食べるので安心して下さい」
この量を毎食だと・・・
クロエのスレンダーな体からは想像もできない程の品数に僕は驚くことしか出来ない
一体その栄養はどこにいってるんだ・・・
もしかしてシロエも同じ位食べるのかとハラハラしたがシロエの方はバランスのとれた注文だった
運ばれた料理を口に入れるとクロエは目を輝かせた
「うんま~い!なんだこれは!こんなに美味しいものを食べたのは初めてだぞ!人間が作る料理はこんなに美味いのか!」
他の料理も次々と口に運んでいき、その度に幸せそうな顔をする
すると調理場からお店の人がやってきて僕等の方へと歩いてきた
「お嬢ちゃんいい食いっぷりだねぇ。そんなに美味そうに食べてくれたら作った甲斐があるってもんだ。ほら、これも食べな。サービスだ!」
「おぉ!いいのか!ありがとなおっちゃん!」
クロエの豪快な食べっぷりを見て店の人が気に入ったらしく追加のサービスをしてくれた
知らない人声をかけられて警戒するかと思っていたが杞憂だったようだ
確かにクロエの美味しそうに食べている姿を見ているといつもより美味しく感じてくる
シロエも気に入ってくれている様で2人の食べている表情はとても可愛いらしかった
が、値段は全く可愛くなかった
これは食料問題を早急に対策しなくては近いうちに破産してしまう・・・
「美味かったぁ・・・夜は何を食べようか」
今食べたばかりなのにもう夜の事を考えているクロエ
一先ず昼食は済ませたので気を取り直して今夜の宿へと向かう
リリアーナさんのメモを頼りに馬車を進ませて目的の宿に到着した
「結構立派な所だね」
「ここのお風呂は露天風呂で眺めがいいそうですよ」
早速中に入り部屋を確保する為受付に向かう
宿の中はゆったりとしていて居心地のいい空間だった
「申し訳ありません。ただいま1部屋しか空いてないようでして・・・幸い冒険者パーティ様向けの広いお部屋ですがいかが致しましょう?」
受付の人に確認してみたら1部屋しか空いてないみたいだ
女の子が2人増えた事だし部屋も分けた方がいいと思ったが、その部屋ならベッドも別れてるみたいだし問題はないか?
全員の確認をとりその部屋を使う事に決め、外に待機させている馬車を厩舎まで移動させてから部屋へと向かった
扉を開けると言っていた通り広々としていてベッドも個別に6台置かれていた
そして外には露天風呂もついている
「おーベッドとはこんなにふかふかしているのかぁ♪まるでガーフみたいだなぁ」
「キュウ・・・」
シロエとクロエが加入してからやけにガーフが大人しい
2人、というよりクロエに抱きつかれないよう警戒している様でアイシャの影に隠れていた
これから苦労しそうだな・・・
部屋に荷物を置いて僕は買い出しに出かけることにした
シロエ達が加わった上にクロエのあの食欲を考えると帝都に着くまでに食料が尽きてしまう為、急遽追加購入することに決めた
アイシャもついていくと言ってきたが昨夜の疲れがまだ残っているようなのでシロエ達と共に留守番を頼んだ
「じゃあ行ってくるよ。皆はのんびりしてていいからね」
「すみません。お願いします」
「頼んだぞー」
「いってらっしゃい」
3人に見送られ僕は買い出しに向かった
「じゃあ私達はお言葉に甘えてゆっくりしましょうか」
「姉さん、アイシャ、風呂に入ろう。一目見た時から気になっていたんだ」
「分かったから少し落ち着きなさい」
クロエは着ていた服を勢いよく脱ぎ捨てて風呂へと一直線へ走っていった
「お風呂場は滑るから気をつけて下さいね」
「大丈夫大丈夫。これくら・・・おわっ!」
案の定滑って転んでしまう
勢い余って頭をぶつけてしまったみたいだ
「大丈夫ですか!今ヒールをかけますね」
「いつつつ・・・ありがとアイシャ」
「全く・・・だから落ち着きなさいと言ったでしょう」
クロエに遅れてアイシャ、シロエがお風呂場にやってくる
「まずは体を洗ってそれから湯船に浸かりましょうね。背中洗ってあげます」
「おぉ、ありがとな!」
洗い場へと移動しクロエの体を洗い始める
洗身用の布で石鹸を泡立たせ優しく体を擦った
「何だこの泡。もこもこだけど凄くいい匂いがするな」
「もしかして石鹸を使うの初めてですか?これで体を綺麗にするんです。シロエちゃんも次洗ってあげますね。ガーフ君も」
「キュウ〜♪」
「ありがとうございます。いつも水浴びで済ませてたのでこういうのは初めてです。この管から出てくる水も温かくて気持ちいいですね」
ひとしきり体を洗い終えようやく湯船の中へと体を沈める
湯船のお湯は熱すぎず少しぬるい位だが、疲れた体にはこれ位がちょうどいい
シロエ、クロエもふやけた顔をして気持ちよさそうにしていた
「はぁ・・・体がじんわりと温かくなっていって気持ちいいですねぇ」
「ぽかぽかしてずっと入っていたくなるなぁ」
「ふふっ、気に入ってくれたようでよかったです」
「今度はリュウヤも一緒に入れるといいな!背中を洗ってやろう」
「だ、だからそれは駄目ですってばぁ!」
そんなやりとりをしながら3人はリュウヤが帰って来るまでお風呂でのんびりと羽を伸ばした
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次回更新は月曜日19時です
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